習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

石田衣良『6TEEN』

2010-02-10 21:19:25 | その他
 前作『4TEEN』の4人組が16歳になって、帰ってきた。前作は4話からなるオムニバスだったが、今回は10話もある。その分、各エピソードの密度が薄くなる。さらりとして読みやすいし、恋愛の話が中心で、軽いタッチの作品が多い。その分、物足りない。

 今回の主人公は明らかにテツローになっている。(もしかしたら前回もそうだったかもしれないが)彼を中心にして、彼の1人称で、話は展開していく。もちろん彼と3人の仲間たちの話だ。

 高1になった彼らが14歳の時と同じようにつるんで(学校はみんな別々になったけど、放課後や、休みの日は地元で遊ぶ)くだらない話をして、過ごしている日々が綴られていく。そんな中で、いくつもの恋に出会う。というか、いろんな人たちと出会っていく。その中には恋のようなものもある、というだけの話だ。そりゃ、出会えるのなら女の子がいいし、とびきりかわいい女の子とステディな関係になることが理想だ。そう言う意味でも、『ウォーク・イン・ザ・プール』が一番すてきなエピソードだ。

 とても常識的な青年であるテツローがしっかりいろんな人と向き合っていく。ホームレスの老人なんかもいるし。作品としては前作のような重さがなくなっていて、食い足りない気もするけど、この爽やかさはけっこう好きだ。廣木隆一監督が『4TEEN』に続いてこれも映画化してくれたなら、とてもうれしいなぁ、なんて思った。。その時は、この中から、どのエピソードをチョイスしてくれるのだろうか。そんなことも考えながら、読んでいた。

 とてもいい感じだ。軽やかさが物足りないとも思ったが、最後まで読んだ印象では、このくらいの淡さがちょうどよいのではないか、と思う。


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