
代表作といわれる『二十四の瞳』と同年である1954年に公開され、黒沢の『七人の侍』を抑えてその年のベストテン2位にランクインした作品。(もちろん1位は『二十四の瞳』だ。)未見だったので、ようやく見た。(今回の木下恵介シリーズの5本目になる。)
それにしても凄い映画を怒濤のように連作していたのだな、と感心する。40代の一番脂の乗っていた時期の作品だ。54年は彼のキャリアの頂点だったのかもしれない。連作されたこの2本の映画もまた、合わせ鏡のようにこの世界の2面を浮き彫りにした。『二十四の瞳』の郷愁と『女の園』の現実。彼はいつだって時代を複眼で見守る。
これは女子大での学生運動を描く作品。女子学生たちが寮の理不尽な規則を変えようと学校に反発する。自分たちの権利を突き付ける。女性の地位向上を目指すとか、そんなプロパガンダではないけれど、冒頭の講堂へと押し寄せる女子大生たちの姿から始まり、ラストの展開まで、2時間20分を超える大作なのに、一気に見せる。力のこもった作品だ。ただ、今回見た60年代の大傑作である2作品と較べると、若さゆえか、それほど凄いとは思えない。こういう社会派的な映画に於いてもメロドラマ的な展開を見せるところは木下監督らしいけど、全体のバランスに欠く。『二十四の瞳』も含めてこの2作品は2時間越えの長尺で、それは気合の入った仕事だということの証明にはなりそうだが、1時間40分ほどにまとめた『永遠の人』や『二人で歩いた幾春秋』のレベルには及ばない。