ここまでで終わりにしてもいいくらいに完成度は高い。お話の落とし所は、もうなんとなくわかっているから、着地点には興味はない。ただ、このまどろみの時間(でも、彼らにしてみれば凄い冒険!)をたゆたっていたいだけだ。でも、もう450ページも楽しませてもらったので、結構まんぷくである。第5夜がスタートしたところで、上巻は終わる。お話の途中で、「続く」と出る。いいところで、終わる。なんだかいやらしい。でも、上下巻同時発売だったから、この後すぐに続きは読める。
こういうおとぎ話を川上弘美が書く。しかも、上下で1000ページに及ぶようなファンタジー大作だ。でも、まるで大作感はない。ささやかなお話だ。少年少女が七つの夜を冒険する。ただそれだけ。日常世界と不思議な世界とを往還し、少しずつ成長していく。図書館で偶然見つけた古ぼけた本、『七夜物語』。この本は読んでも、読んでも、読んだ後ですぐにどんな話だったのか、を忘れてしまうという不思議なお話だ。
70年代を舞台にして、(もちろん川上弘美本人の少女時代がモデルだろうが。たぶん。「ふくだたけお」とか出てきた時点で調べれば、時代背景なんかすぐにわかるのだが、まぁどうでもいい)おとうさんのいない女の子と、おかあさんのいない男の子が、不思議な世界を冒険するのだ。けっこうドキドキしながら、読める。子供向けの童話みたいな小説なのだが、それだけではない。彼らの抱える痛みと、それを自分の力で乗り越えていく姿が描かれる。これはなんだか勇気の出る小説なのだ。
こういうおとぎ話を川上弘美が書く。しかも、上下で1000ページに及ぶようなファンタジー大作だ。でも、まるで大作感はない。ささやかなお話だ。少年少女が七つの夜を冒険する。ただそれだけ。日常世界と不思議な世界とを往還し、少しずつ成長していく。図書館で偶然見つけた古ぼけた本、『七夜物語』。この本は読んでも、読んでも、読んだ後ですぐにどんな話だったのか、を忘れてしまうという不思議なお話だ。
70年代を舞台にして、(もちろん川上弘美本人の少女時代がモデルだろうが。たぶん。「ふくだたけお」とか出てきた時点で調べれば、時代背景なんかすぐにわかるのだが、まぁどうでもいい)おとうさんのいない女の子と、おかあさんのいない男の子が、不思議な世界を冒険するのだ。けっこうドキドキしながら、読める。子供向けの童話みたいな小説なのだが、それだけではない。彼らの抱える痛みと、それを自分の力で乗り越えていく姿が描かれる。これはなんだか勇気の出る小説なのだ。