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ドアの向こう

日々のメモ書き 

線だけで

2012-12-13 | アートな時間

丸沼芸術の森所蔵  ベン・シャーン展 -線の魔術師-                             
       埼玉県立近代美術館で  1月14日まで

   画像は拡大できます)

 リルケ「マルテの手記」より 《愛にみちた多くの夜の回想》 1968年

 「一行の詩のためには、あまたの都市 あまたの人々、あまたの書物を見なければならぬ… 」  リルケ「マルテの手記」 新潮文庫 大山定一 訳

 すてきなポスターをもらったとき 壁に飾ろうと考えた。
  震えるような線が忘れられない。 こころに届く画家の思い、 やさしさやつよさや哀しみをのせて走る線がこころを揺らすからだ。 筆は毛を間引いている。 ひたすら線に思いをこめて、 かすれたり震えるような線、 太くて力強い線もある。 線だけで描くせかいを楽しんだ。 深い思いが伝わる。

 「丸沼芸術の森」は ワイエスのコレクションでおなじみになった。 鉛筆やコンテによる作品、 油彩、水彩、 テンペラ、グワッシュ、 ドローイング、リトグラフなど ポスターもありベン・シャーンの魅力を紹介。 展示 292点。

  パンフレットによれば

 ベン・シャーン(1898 − 1969) 1930年代から60年代にかけて、アメリカで活躍した画家。 リトアニアのユダヤ人家庭に生まれ、8歳のときに家族とともにニューヨークへ移住。 移民の子として貧民街で育ち、 少年の頃から石版画工房で働きながら美術を学んだシャーンは、 一貫して人種差別や迫害、 貧困をテーマに制作。 ポスターや本の装丁など、グラフィック・デザインの分野でも活躍。
 描くものに対して、 つねに鋭い批判の眼差しと 深い愛情を投げかけた。

 「私は憎むものを描く。 私は愛するものを描く」

19世紀のフランスで無実の罪をきせられた大尉のこと、 第五福竜丸の被爆のシリーズを手がける。  「出航」「網元、日本の男」「ニュース報告」 「彼の妻-久保山夫人」etc。

    

 独特の線の魅力は、日本の画家やグラフィック・デザイナーにも大きな影響を与えた。 

← ポスター裏面

 「一行の詩のためには… リルケ「マルテの手記」 より) 《扉Ⅰ》 1968年

 

 

  

 

 

 

 

 

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白い花

2012-10-10 | アートな時間

 純白の花は 遠くからも目を惹く。 日比谷公園のユッカランが盛りだった。 春秋、二度咲き。 花は夜咲く と「花おりおり」。 うつむく花が鈴なりに積み重なって重そうだ。 花柱は倒れているのもあった。 
 乳白色の開花は、 今し方鑑賞したばかりの京焼かな、 美濃か、それとも肥前窯か。
 

  東洋の白いやきもの --純なる世界  出光美術館

 その最後にあった 「日本の白いやきもの」のうちのひとつ、 「白磁如意頭文輪花杯」 (江戸時代前期)が気に入り。  調べて解ったのが、 如意頭とは 仏具の「如意」。 頭部にみられるトランプのスペードに似ている形状がやきものの文様につかわれる如意頭文。 縁のやわらかな曲線と面はまるで花びら、 透けるようにうすい器が花を思わせた。
 

 陶器質の白磁、磁器質の白磁 のちがい。
 始めのころは 白い粘土や 白くない粘土に白土を塗って透明な釉薬をかけて作っていた。 
 やはり磁器質の白磁、 より白く硬質で美しい。  青白磁も知った。 白磁の透明釉は無色透明であるが、 文様の凹凸に釉薬がたまり厚くなると、青はより深く、 浅い部分では淡くなる。 ゆえに 影青(いんちん)とも。 

 皇帝の白磁。 青味の残らない白磁を甜白(てんはく)といい 宮廷の祭器は景徳鎮で製作されるようになった。
 白磁暗花蓮唐草文僧帽形水注  中国 明「永楽年製」 銘
 以前 上海博物館で同形、 無地のを見ている。 やはり明永楽の表記があった。

 やがて庶民向けに 素地の表面に白土を塗ることで安価な品を大量生産される。


 ひっそりとした白、 青みのある白、 混じりけのない純白、 黄みのある白、 貝殻を砕いた胡粉色… 黒や赤にもあるような、 少しずつニュアンスの違う白。 生成りの白さがすき。 それは乳白色に近い。 温もりのある白だ。

  最近は 白い器をよく使う、  キャンバスに見立れば盛りつけは自在だ。

 

 

 

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熱い一日

2012-08-05 | アートな時間

真珠の耳飾りの少女  

  3日 マウリッツハイス美術館展の少女に会った。 蝉時雨を浴びて 9時15分東京都美術館到着。
 幸い混雑も無くゆっくり観られた。 瞳がどこまでも追ってくる、 心を静かにノックする。

 第1章 美術館の歴史 マウリッツハイスはオランダ語で「マウリッツ邸」、 17世紀に建てられた個人の邸宅。 上質な作品800点所蔵、建物は「絵画の宝石箱」と呼ばれる。
 第2章 風景画 ヤーコブ・ファン・ライスダール(漂白場のあるハールレムの風景) 
 第3章 歴史画(物語画) ペーテル・パウル・ルーベンス(聖母被昇天(下絵)) 
  フェルメール(ディアナとニンフたち)
 第4章 肖像画と「トローニー」 トローニーとは、 モデルに似せるのではなく、 人物の表情や性格をさぐるため、 画家が自由に創作した人物画。 ヨハネス・フェルメール(真珠の耳飾りの少女) 訴えるような瞳。 2004年4月に見た映画のこと。 肖像画が残っていないフェルメールの顔。 十数人の子供…
 第5章 静物画 ヤン・ブリューゲル(父)(万暦染付の花瓶に生けた花)カレル・ファブリティウス(ごしきひわ) アーブラハム・ファン・ベイエレン(豪華な食卓)
 第6章 風俗画 ヤン・ステーン (恋わずらい) ピーテル・デ・ホーホ(デルフトの中庭)
  ヤン・ステーン(親に倣って子も歌う)

朝一番に出かけて正解。 11時こちらが帰るころ、 ロビーに長蛇の列が渦巻いて 
熱気を伝えた。 外では灼熱の太陽が待ちかまえている。 
  真珠の耳飾りの少女を いちど模写してみよう。 
画家とモデルの声が聴きたい。


 

 旧岩崎邸(重要文化財 設計ジョサイア・コンドル)庭園


   洋館(北側)と 棕櫚の佇まいに情緒がある。 もっと下がって撮れば良かった。

 南側 列柱が並ぶベランダ イスラム風デザインのタイル。
  1階列柱トスカナ式、 2階列柱 イオニア式装飾。

  
 壁紙は 金唐革紙…  桜材の版木棒、 和紙に打ち込み。 
 随所で見られる 17世紀ジャコビアン様式、 全体はイギリス・ルネサンス様式 

 広いお庭をまえにして、 抹茶金時白玉かき氷を頂く。 座敷をそよ風が抜けた、 それとも庭園を吹く「時の風」。 ギョウジャニンニクの真っ白な花がポツポツと揺れた、 黒い実も出来ている。 ヒマラヤスギが陰をつくって、 青紅葉が爽やかに映る。  
 
 不忍池に蓮がチラホラ  明日の開花を待っている、 陽のかたまりが背中を押す。  

 


 

 ※ 河鍋暁斎より日本画を学ぶコンドル、 師より贈られた「大和美人図屏風」のこと

 

 

 

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漂う音

2012-07-20 | アートな時間

 午後の空いた時間 ブリヂストン美術館で ドビュッシー、 音楽と美術 展を観た。 印象派と象徴派のあいだで と副題がついている。

 絵を見れば 心地よい音楽が響いたり、 音楽を聴けば荘重な絵が浮かんだりする。 音楽は色を奏でるのだ。   

    

上段左から  モネ「嵐、ベリール」  モネ「雨のベリール」 下段  ・マルセル・バシェ 「クロード・ドビュッシーの肖像」  ・ドビュッシー「海」 楽譜  ・葛飾北斎 「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」

 ・マネ 「ステファヌ・マルラメ」 ・アンリ=エドモン・クロス「黄金の島」
・モーリス・ドニ「イヴォンヌ・ルロールの肖像」 ・ルノワール「ピアノに向かうイヴォンヌとクリスティーヌ・ルロール」

 

 画像はパンフレットから

  ドビュッシーの肖像画や写真(実は水彩画) 手紙など 作曲家の実像に迫る。 
 楽譜をみたが、 小さな文字が書き込まれ、 細かな五線紙に列なる点のような音符、 重なる音が響き合い匂うようにやさしい。
  眼に見えるものは物ではなくて 光りの束… 印象派の絵のように 

  ドビュッシーは 音の色彩を明滅させた、  
  象徴派の詩も彼に大きな影響を与えた。  手許の古い資料によれば

  象徴派の詩は  ことばを日常的な意味や社会性から洗い清め、 個々の単語は「感覚の記号」として、 また「響き」として把握し、かかるシンボルどうしの触れあいから生ずる象徴的な感覚をつなぎ合わせ モンタージュすることによって新たな世界をつくり出す。
 (戸田邦雄) 

 却ってややこしくなったが

 
和音を 純粋に「響き」や「色合い」として  感覚的にとらえる

 つまり ふんわりした 透明な音楽。 「音と香りは夕暮れの大気に漂う」 音楽は香のごとくたゆとう。 ドビュッシーの音楽に魅かれる理由はここかも知れない。 
 絵画的なタイトルを読むだけでも詩を感じる。 

  「亜麻色の髪の乙女」  「美しき夕べ」 「海」 「月の光」 「光と色」 「雨の庭」 「レントより遅く」 「沈める寺」 「ノクターン」

 アール・ヌーヴォーやジャポニズムの影響(二人のクローデル)、 文学、 彫刻、 工芸、 舞台芸術などすべてに響き合う。

 オルセー美術館、オランジュリー美術館、 そしてブリヂストン美術館の所蔵作品を中心に150点の作品。 まとめは引用が多くなった。

 第1章 ドビュッシー音楽と芸術
  肖像画や写真かと思うほど細緻な情景、ピアノを弾くドビュッシーの姿。
  アンリ=エドモン・クロス「黄金の島」 遙かな島々、水や砂のグラデーション、きらめきはまさに音楽を奏で、 ドビュッシーの作品に重なる。
 第2章 「選ばれし乙女」の時代
  ロセッティの「選ばれし乙女」に共感して作曲された。 
  エドワード・バーン=ジョーンズ、モーリス・ドニが描く女性像も影響を与える。 
 第3章 美術愛好家との交流- ルロール、ショーソン、フォンテーヌ
    交流を通して ドガ、ピュヴィ・ド・シャヴァンヌ、カリエール、ヴュイヤール、カミーユ・クローデル、 ロダンらの作品に関心を抱く。 
 第4章  アール・ヌーヴォーとジャポニズム
  エミール・ガレの優美なガラス 「たまり水」 「蜻蛉草花文花瓶」
 第5章 古代への回帰 「牧神の午後への前奏曲」
  古代美術への関心が作品を生む。 メイヤーが撮影したニジンスキーの舞台写真など。

 
第6章 ペレアスとメリザンド
  ドビュッシーが残した唯一の歌劇  楽譜、 舞台装飾 衣装などの写真
 第7章 「聖セバスチャンの殉教」「遊戯」
 音楽劇「聖セバスティアンの殉教」 バレエ音楽「遊戯」を作曲
  さまざまな芸術家が関わった。  
 第8章 美術と文学と音楽の親和性
  小説家ポール・ヴァレリーやアンドレ・ジッドらと交わした手紙が残っているそうだ。
  「おもちゃ箱」 「花火」 「ため息」など作曲のためのエスキス。
 第9章 霊感源
としての自然-ノクターン、海景、風景
  風景によって呼び覚まされた曖昧な感覚、  心地よい幻想を音で表現

  モネ「雨のベリール」「黄昏ヴェネツィア」 マネ「浜辺にて」
   ガレ「海」。ゴーガン、ボナール、エミール・ベルナールなど
ドビュッシー 「水に映る影」
 第10章 新しい世界 
  シニャック、 マティス、ヴラマンク、モンドリアン、クレー、カンディンスキーの作品との交響 (カンディンスキーの「二本の線」は 以前背景に使ったポスターの絵によく似ていた)

 本展覧を楽しみにしていた。 会場は部屋が入り組んでいて行ったり来たり、順序が解らなくなった。 矢印をふやして 誘導して欲しい。
  音楽と絵画と… おなじ感性や感覚が響き合う、 芸術すべてに交響する。
 常設展も愉しみました。 
 

 

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林檎のように

2012-05-30 | アートな時間

パリとプロヴァンス セザンヌ  国立新美術館  

 すべてセザンヌ。 油彩、水彩、デッサンなど約90点。 アトリエの一部を復元し、作品に描かれたオブジェ、 モティーフとなった藁飾りの壷、 引き出しのある机、 白いコンポートなど展示。 

     

初期の重厚な静物画、「砂糖壷、洋なし、青いカップ」  
   
        砂糖壷、洋なし、青いカップ

水彩のような油彩画、「葉を落としたジャス・ド・ブッファンの木々」「大きな松の木と赤い大地」

 緑の描き方、とらえ方。「オワーズ川岸の風景」 木の間より望む風景、手前の水辺、 映る赤い屋根。  「サント=ヴィクトワール山」 エクスの旅を思いだした。 アルルの松は傘のよう


 「自画像」   

  赤いひじ掛け椅子のセザンヌ夫人        

「赤いひじ掛け椅子のセザンヌ夫人」 人物は手の描写に尽きると思い重点を置いてみる。 
 モデルの微妙な動きを嫌ったセザンヌ、 揺るぎなくおなじ姿勢で座り続ける妻を、「林檎のようにポーズをとる」と。 (すばらしいモデルだ。母は座るたび姿勢が変わった。 手の位置も、 向きもまったく違う、 ほんとうに描きにくかった。 70過ぎて初めてのモデル… 無理もないのだけれど、 わたしは母の肖像を苛立ちながら描いていた。 今頃詫びてもはじまらない。)

 静物では平板になりがちな背景の処理、 絵画的な奥行きのある壁面、 色彩による動線、 分割など、 描くように観た。

 

マティス(赤い部屋)ポスターから 大エルミタージュ美術館展 
   世紀の顔 西欧絵画の400年

          

第1章 16世紀 ルネサンス:人間の世紀

 

第2章 17世紀 バロック:黄金の世紀
レンブラント・ファン・レイン 《老婦人の肖像》
アンソニー・ヴァン・ダイク 《自画像》

老婦人の肖像

第3章 18世紀 ロココと新古典派:革命の世紀

繊細で優美なロココ形式

・ジョシュア・レノルズ 《ウェヌスの帯を解くクピド》

第4章 19世紀 ロマン派からポスト印象派まで:進化する世紀
ウジェーヌ・ドラクロワ 《馬に鞍をおくアラブ人》  ルノアール   セザンヌ

第5章 20世紀 マティスとその周辺:アヴァンギャルドの世紀

                   

 マティス  少女とチューリップ1910年(絵葉書)

  華やかな色彩が目立つ作品の後は 心を癒すような静かな絵
  フォーヴィスム(野獣派)と言われることを嫌っていたという

 

  デュフィ  ドーヴィル港のヨット(絵葉書)

 軽やかなタッチ 音楽が聞こえそうなデュフィの作品が好き 

 ルネサンス、 バロック、 ロココ、 新古典派、 ロマン派からポスト印象派、マティス  アヴァンギャルド… 
美術史の勉強になった。  これらは 建築や工芸、彫刻、 服飾、文学、 音楽などすべてに交響していく。ワクワクする。

 

 

 

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里帰り

2012-05-23 | アートな時間

    それぞれにカーソルを当てて拡大できます。

  東京国立博物館140周年 特別展 ボストン美術館 日本美術の至宝

 
(自分宛のメモながら)  

プロローグ コレクションのはじまり
・ビゲローの肖像  ・岡倉覚三(天心)像
 フェノロサ・ウェルド、 岡倉天心とともに日本美術の調査研究・収集   
 ウィリアム・スタージス・ビゲロー コレクション寄贈 

第1章 仏のかたち 神のすがた 
 海の向こうの正倉院…  平安・鎌倉時代の仏教絵画
  ・法華堂根本曼荼羅図(奈良時代)  ・普賢延命菩薩像 (平安仏画の傑作)
  ・弥勒菩薩立像 快慶作 鎌倉時代 
 
第2章 海を渡った二大絵巻
・吉備大臣入唐絵巻(キビダイジンニットウエマキ) 平安時代
  遣唐使 吉備真備が唐人の難問に不思議な力で立ち向かう。 
 阿倍仲麻呂の霊に出会い、 助けられて、 文選の解読をし、囲碁の名人と勝負し勝利する。
  遣唐使船で唐に渡るようすや、 高い楼閣に幽閉されてしまう吉備大臣や、宮殿で試験問題を盗み聞きするようすなど 漫画のようなたのしさ。

  楼閣に幽閉された吉備大臣       試験問題を盗み聞き 

・平治物語絵巻 三条殿夜討巻 
  ドキュメンタリータッチで凄惨な戦闘場面が描かれている。 さながら実況中継だ。 
何台ものカメラで 場面を切りとる。 折り重なる死体、 炎がせまる。
阿鼻叫喚、 疾走する馬、 牛が暴れ、犬が吠える。

 
第3章 静寂と輝き 中世水墨画と初期狩野派
・白衣観音図 狩野元信筆(流麗な衣の線)
・京名所図等扇面 狩野松栄筆  金山寺、清水寺など

第4章 華ひらく近世絵画
・竜虎図屏風   長谷川等伯  ちょっと可愛い虎 ユーモラスな龍の顔
・松島図屏風   尾形光琳  波濤の表現   明るい色彩
・芥子図屏風   宗達派  金地に描く芥子    
・鸚鵡図      伊藤若冲  繊細な羽根 

第5章 奇才 曽我蕭白
 「風仙図屏風」 中国の仙人が 池にひそむ龍を追い払って天の水門を開け干ばつを救う場面。 剣を持つ陳楠(チンナン)、 突風は勢いよく走り昇る。 掴みかかる手指のような波の描写。 流れ込む水、 勢いを増し激しく渦を巻いている。 風に靡く木々、 吹き飛ばされた従者の表情、 臨場感たっぷり、 面白い。
 
「雲龍図」(34歳の作) 大きさに驚く。  つよさ、 迫力、 躍動感、 困ったような龍の眼差し、 構図、  切り取りの妙。 大胆な筆さばき、 すごいスピード、 迷いのない線、 なぞっていては絶対に出ない切れの良さ。 下書きなど無くて この大きさにもかかわらずスピード感を持って描ききったのだろう、 線の勢いを持続させるのも大変なこと。
 眼の直径30センチ、 まさに 本展の超目玉作品。 
 黒々とした闇 真黒な墨の色(後日 NHKの「極上美の饗宴」により 削墨と知った。 蕭白は 奇怪、 怪獣、グロテスク、 悪魔的、エキセントリックな絵師と。) 
 
 豪放磊落、 繊細さを合わせ持つ、 面白いひと。 常識や理性では説明できない圧倒するすごさで。 芸術家として魅力にあふれている。 もし 実際に逢ったとしたら、 その掌を見せて頂きたい。 一気呵成な筆捌きの「雲龍図」、 印象は強烈、 胸がすく。
 
 一方 「鷹図」 繊細、 これもおなじ蕭白なのだ。 羽根の緻密な描写。  首や胸の多彩な模様。 精悍な目つきに身震いする。 大きな風切羽や腹部の羽、 尾羽など、 部分部分の描き分けもすばらしく、 美しい。 鋭い爪でガシッとつかむ。 鷹の緊張感が伝わってくる、 蕭白という絵師の際限のない大きさを息を止めてみつめた。
「商山四皓図屏風」 スケールの大きさ、迫力、自由さ   

第6章 アメリカ人を魅了した日本のわざ 刀剣と染色
 ・梨地家紋散糸巻太刀 
   組紐 金蒔絵 彫金など それぞれの職人が技を凝らした総合芸術だと思う
 小袖 白綸子地松葉梅唐草竹輪模様 (松竹梅は伝統的な吉祥模様、 大きな松葉、竹輪、梅唐草など個性的な模様)
  帷子(カタビラ ひとえもの) 染分麻地御座船梅竹模様
  唐織 紅地流水芦菊槌車模様  
   (刺繍のように見えるが 織り出された模様。  華麗な能衣裳。

  吉備大臣入唐絵巻の絵葉書とクリアファイル(至宝が20点くらい掲載されている)を購入。  「まぼろしの国宝、 ニッポンに帰る… 」 さすがに 面白かった。 

 

 clear fileの写真から  龍虎図屏風 長谷川等伯 (部分) 

 

 

 

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永遠の魂

2012-05-04 | アートな時間

  草間彌生  永遠の永遠の永遠    
                  ~5月20日  埼玉県立近代美術館

   無限の宇宙を探しても、 こんな芸術家はほかにいない

  入口からして 「新たなる空間への道標」 が わくわくさせる 
 

  水玉は 壁をつたい 浮遊するように階段を昇り

パンフレット

  幻想の世界へと いざなった。
「魂の灯」ミクストメディアでは 小部屋に入って 草間ワールドが体感できる。 
 長い行列が出来ていた。
 
 エネルギッシュな創造。 水玉や網目が集積する作品。 梯子や1966「スーツケース」(MOMASコレクション)に、 繰り返し描かれるもの。 目玉や女の横顔、 原生動物のようないきものが増殖する版画 (カンバスにマーカーペンでで描かれた原画をシルクスクリーン技法で転写した)。
 生命感あふれる FRP(繊維強化プラスティック)による彫刻  「大いなる巨大な南瓜」 など

   大いなる巨大な南瓜      チューリップに愛をこめて、永遠に祈る

圧倒され 軽いめまいを感じた。  
 具象でも抽象でもない、 不思議な魅力がある。
  モダンでカラフルな作品をスカーフにしたい。
   
 「果てしない人間の一生/2010年」 「命の消滅/2011」

混雑していたので 「魂の灯」は 次回のたのしみに取っておこう。  

 作品紹介はこちら    パンフレット  

  5月4日午後 来場者数2万人突破!  

 連休明けに こんどはゆっくり。 

    5月12日 来場者3万人突破!!

 

 

 

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値千金

2012-04-04 | アートな時間

 特別展 
  桜 さくら SAKURA 2012 -美術館でお花見!- 山種美術館

メモ) 桜の絵画に 平安以降詠まれてきた和歌や俳句、 画家たちの言葉が添えられて鑑賞が深まった。 爛漫の桜 山かげのさくら 歴史を物語る桜 闇に映える桜 月光や朝陽に照らされる桜など堪能。 詳細はこちら
 
 行けども行けども 桜 またさくら SAKURA…

 雲のように 連なる桜  枝に籠もるさくら  花の雪  散りのまがいに佇んで
ただよい流れ  のどかな山里の たった一本の桜が心をやすめる 

ゆくみずに風の吹きいるる桜花消えず流るる雪かとぞ見る   紀貫之(古今)

水のおもに うきてながるる桜花 いづれをあわと人は見るらん 凡河内躬恒(玉葉和歌集)


花の色に ひかりさしそふ春の夜ぞ 木のまの月は見るべかりける 上西門院兵衛(千載和歌集)


 
横山大観「山桜」 速水御舟「夜桜」 
 石田 武 「吉野」花の雲 花の峯 常緑のコントラスト
   「春宵」 「月宵」 「千鳥ヶ淵」(手前の桜 奧行 水面) 
 奥村土牛「醍醐」(切手でもお馴染み)  東山魁夷「春静」  冨田渓仙「嵐山の春」
 橋本明治「朝陽桜」 川合玉堂「春風春水」

  能「百萬」を題材にした森 田曠平「百萬」
   観阿弥の「嵯峨物狂」を世阿弥が改作  
       物狂いの女   百萬は笹の変わりに桜の枝を…

広尾の桜



夜は サントリーホールへ
 トヨタ・マスター・プレイヤーズ,ウィーン 
       ウィーン・プレミアム・コンサート

J.シュトラウスII世: 春の声 Op.410  (ソプラノ/天羽明惠 )
J.シュトラウスII世: 喜歌劇「こうもり」序曲
J.シュトラウスII世: 喜歌劇「こうもり」より (ソプラノ/天羽明惠 )
   “侯爵様、あなたのようなお方は”   “田舎娘の姿で”
シューベルト: イタリア風序曲 ハ長調 D.591
シューベルト: オッフェルトリウム 「心に悲しみを抱きて」ハ長調 D.136
  (ソプラノ/天羽明惠 )(クラリネット/ペーター・シュミードル )
 クラリネットのソロと ソプラノの交歓  

 楽器の音色と  その流れのうえを転がるように弾むソプラノ
 春の声を聴く  清らかな美声に夢心地です
 



ベートーヴェン: ロマンス 第2番 ヘ長調 Op.50
(ヴァイオリン/フォルクハルト・シュトイデ )
モーツァルト: 交響曲 第40番 ト短調 K.550  

アンコール
・ ケルビーニ   アヴェ・マリア  (ソプラノ/天羽明惠 )
・ J. シュトラウスⅡ  騎士パズマンのチャールダッシュ  
・ J. シュトラウスⅡ  トリッチ・トラッチ・ポルカ

嵐のあとの広尾のお花見!  春の夜のコンサート 
  春宵一刻値千金 …

  徐(オモムロ)に 眼を移しつつ初桜  虚子

 家の方でも ようやく咲きはじめました

 

 

 

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新春狂言

2012-01-28 | アートな時間

新春狂言  万作・萬斎の世界

解説:石田幸雄

一、 昆布売(こぶうり)
大名      野村万作
昆布売     高野和憲 
後見       中村修一

 (あらすじ) パンフレットから
 供を連れずに出かけた大名。 たまたま通りかかった若狭の小浜の召し(献上)の昆布を売る男を脅し、 太刀を持たせて供とする。 はじめはしぶしぶ従っていた昆布売りだが、大名が油断した隙に 太刀を抜き、逆に脅された大名が昆布を売ることになる。 物など売ったことのない大名は、昆布売りにさまざまな注文をつけられ…。
 立場が逆転した昆布売りと大名。 

昆布召せ こぶ召せ おこぶ召せ…  若狭の小浜の 召しのこぶ… 

 昆布売りに脅されながら、  謡節や浄瑠璃節、 踊り節にて売りあるく大名。  
 浄瑠璃節では つれてん つれてん… 三味の音 (自分で歌う)が入り、 
踊り節では  しゃっきしゃ  しゃっきしゃ  しゃっき  しゃっき しゃっきしゃ… と調子が良い。 これは、 あらかじめ学び全員で合唱していたので気分も高まる。 脅したつもりが 脅されて… 大名が哀れで可笑しい。 中世の流行歌謡が取り入れられている。

二、 仁王(におう)
 博奕打    野村萬斎
 何某      石田幸雄 
 参詣人    月崎晴夫 
  〃      中村修一 
  〃      村井一之 
  〃       内藤 連 
 男       野村万作 
 後見      高野和憲 

 博奕で負けつづけの博奕打が、 財産も尽きてしまい知人に相談すると、 博奕打を仁王の格好に扮装させ、 仁王が天下ったと触れ回って 信心深い人々から供え物を騙し取ろうと提案する。 早速仁王の相を作って待っていたところ、 期待通り参詣人が次から次へとやってきて、さまざまな願い事をかけては供え物を置いていく。 味をしめた博奕打はそのまま次の参詣人を待っていると… (あらすじ パンフレットから)

 光背をつけ、 金剛杵(コンゴウショ)を手に仁王像になりきる賭博打、 迫真の形相だ。 それがかえって可笑しい。 かっと見開く眼  口を開いて阿形の仁王。 参詣人がつぎつぎ現れて願い事をしお供えをする。 名作だ、 まるで生きているようだ と。
  痛めた足をひきずって来る男  動かないはずの仁王が、 こっそり動く。  
 不審に思った男は ためしに…  あとは ご想像ください。 

 このあたりの~ ものでござる~~   抑揚をつけ 歌うように

  狂言は 想像のせかい。 装置も 音楽も無い。 集中して見つめよう。 演目はそれぞれ短いが、 美しく  面白く 楽しいもの(野村万作) である。
 磨かれた技をみるのは、やはり気持がいい。 朗々と名乗る声が隅々まで通る。 すり足や  舞台上の着替 (ものみ)や 後見のこと。 前日夕刊に載った 萬斎さんの「きょう.げん.き!!」足袋の話(狂言の足袋は黄色、 生活感あふれる、地に足のついた狂言の登場人物にはぴったりなのである)など思いながら愉しんだ。 伝統芸能を味わう、 こころゆたかなひとときだった。
  揚幕 橋懸 老松 鏡板。 目付柱のこと。

 狂言講座では すり足、 演ずるのもむずかしい茸の動きなど  子どもたちと女性が舞台上で体験した。    


 
 

 

 埼玉会館の彫刻 

 鏡面に 歪んだけしきが映っていた。 

 

 

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薔薇と

2011-12-09 | アートな時間

離れ屋(ジェルブロワ)1927  アンリ・ル・シダネル展  埼玉県立近代美術館

   離れ屋(ジェルブロワ)1927 (カーソルをあて拡大できます)

 アンリ・ル・シダネル(1862-1939)、 20世紀初めに活躍したフランスの画家。 日本でその全貌が紹介されるのは初めて。  

  薔薇の庭、 木漏れ日、 青いテーブル、アトリエの窓の前に置かれたテーブル、月明かりの庭や夕暮れの家々の窓の灯り 雪の中の家 など 
 どの作品も、 静かな雰囲気でホッとする。 人物は描かずに、 いままでそこに座っていたり、 テーブルを囲んだ人たちの気配がする。 アンティミスト…身近なもの、特に室内画を情感を込めて描いた。

 

  港のカフェ  1923

  ひっそりと、 どことなく寂しげ、 でも温かい。
 点描の穏やかなタッチ、 優しい色の混じり合いがそう感じさせるのだろう。 傍らの友が 「光りの微粒子…」 と呟く。 浮遊するやわらかな色彩が観る人を包み込む。   

 1901年 シダネルは中世の面影が残るジェルブロワという村に住み、自宅の庭を、さらには村全体を薔薇でうめつくそうと提案、やがて実現すると 「フランスでもっとも美しい村」に選ばれた。
 



  青いテーブル 1923

 プルーストの 「失われた時を求めて」の中で 登場人物のお気に入りの画家として アンリ・ル・シダネルが出てくる。 印象主義や新印象主義を継承して独自の画風を確立した。 近代日本の洋画家にも影響を与えた。 (美術館ビデオ 及び パンフレット参照)

    

   アトリエの窓の前に置かれたテーブル  1936

  そのほかの作品   

  拡大してどうぞ    左から ・朝 「モントルイユ=ベレー」1896
 ・運河「アミアン」 1901  ・室内「ジェルブロワ」1903
 
  旅をしながら その土地の光を描いた。

  月明かりのなかの輪舞 1899  リトグラフ


きのう私たちも リンゴなど並べ油彩を描いた。 シダネルの絵が頭から離れない。
とくに タッチや色彩のこと。 シダネルの幸福で穏やかな作風を真似たくもなるが、 これも個性。 その人らしい絵がよいのだ と思い直した。

 

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Q Ei

2011-10-30 | アートな時間

瑛九「春」1959 

                瑛九 「春」  油彩

   生誕100年記念  瑛九展   

   夢に託して-     うらわ美術館
   宇宙に向けて-  埼玉県立近代美術館

  多岐にわたる足跡を 8つのトピックに分類  2館同時開催 
   (以下に パンフレットから ご案内します)     

Topic 1   文筆家・杉田秀夫から瑛九へ―――― うらわ美術館
本名 杉田秀夫(1911-1960) 10代の頃から美術評論や写真評論、 物語を発表
  印画紙を使用したフォト・デッサン集「眠りの理由」を機に 瑛九(Q Ei)の名が生まれた
 
Topic 2  エスペラントと共に―――――――― 埼玉県立近代美術館

 世界の人々がおなじ言葉を話せば争いも起こらないと 
 人類共通語「エスペラント語」を広める活動
  

Topic 3  絵筆に託して――――――――――  うらわ美術館
 生涯にわたって油彩画を描く。 様々な実験をくり返しながら到達する点描までの
変遷をたどる。 影響を受けた他作家など

Topic 4  日本回帰―――――――――――― うらわ美術館
  ある時期 制作に行き詰まって東洋的思想に関心を持つ。 芭蕉、良寛にひかれ
  墨絵を描き 俳句を詠んだ 

Topic 5  思想と組織 ―――――――――――   埼玉県立近代美術館        
 権威主義に抵抗し、自由と独立の精神で制作することを目指す。
 宮崎での美術団体「ふるさと社」 「自由美術家協会」、 自ら主催する
「デモクラート美術家協会」 設立に関わる。 

Topic 6   転位するイメージ―――――――――  埼玉県立近代美術館
 フォト・デッサン コラージュ 吹きつけ作品など 
 使われた材料や道具の展示

瑛九「過去」1953   
     瑛九 「過去」 エッチング
 
  

Topic 7   啓蒙と普及――――――――――― うらわ美術館
 美術教育  
   版画の講習会を開き 子どもたちに絵を教えたり
   多くの人に美術を広めようと活動

Topic 8   点へ・・・――――――――――――  埼玉県立近代美術館
 瑛九の最後の冒険が築き上げた独自の世界。 
晩年の3年間に見られる
 点描の変遷過程を紹介 
     

        -☆- 
(鑑賞メモ)
 瑛九の作品について 勝手なイメージをつくっていた。 よく見ないで、前衛的 挑戦的だ、 難解だと決めていた。 でも 今なら分かるような気がした。  趣味で絵を描きつづけ、 創造の愉しさ 難しさを知り、 変化にとんだ表現や発想に心が動く。 自由な価値観をたいせつに思うこのごろだ。  疾風のように駆けぬけた49年を見直した。

 ・友人、 兄、 婦人宛のエスペラント書簡 心がかよう同志たち。
 パリやストックホルム、イタリイ、チェッコ、イギリス、アメリカのレン中と意見のコウカンをすることは田舎生活の唯一のなぐさめです…

  ・初期の油彩にこころが安らぐ  真似たい表現もある。 ・「りんご」油彩 ・宮崎郊外(油彩1943) ・窓をあける(1949) ・タバコを吸う女(油彩1935) タッチや色づかいに共鳴する ・海(油彩1950)など
 ピカソの影響やフォーヴィズム キュービズムなど。 色鮮やかな抽象画、 今もモダン、新しい。 渦巻く点描の迫力、 奥深い、 そのなかにやさしさを湛えている。  宇宙へ誘われる。  色彩の調和など学んだ。  作品はおもしろくて ゆたかな気分。 強烈さばかりではない。 イメージが全く変わった。  

藝術とは 意識して思考の究極のかなたにある現實を感得することである  瑛九

11月5日 追記
 色々試して新たな作品が生まれた。 エッチング作品 「過去」が フォト・デッサンのもとになり全くあたらしいバージョンを生み出す。 おなじ型紙が油彩や吹きつけ、 コラージュに使われたり、 ジャンルを行ったり来たり、 表現の境界はなく限りなく発展してゆく。

 網目が点に変化し、 大きな円は花びらになり やがて点々になり ……になり さながら水族館で見たゴンズイの群れのように かたまり 崩れ 散り散りになった。 嵐が来て
押し流され 求心力にひかれて渦巻き 吹き荒れるさまを、 透明な椅子に腰掛けていつまでも眺めてきた。 大作は圧倒する力で 見る人を取り囲む。 まんまと 瑛九の罠にはまった。 愉しかった。

  

 

 

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秋の空

2011-09-07 | アートな時間

  ようやく、 からりと晴れて青空がのぞいた。 深い青のセルリアンブルー。 そんな青を湛えるガラス瓶は、 出張先シリアのお土産として、 1999年次男から届いた。 高さ9センチ、底径4.5センチ ラメ入り模様はエナメル彩、 先日学んだばかりだ。 吹きガラスの製法を発明したのはローマ帝国時代のシリアだった。

 

  天秤テンビンとガラスの花は、 イランのものか。 
 
  
 

  安価な土産も並べてうれしい、 知らない土地の風が吹く。

      青柚子の葉よりも青き九月かな    青龍

      秋の空露をためたる青さかな      子規

 

 

 


  

 

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ビエンコ

2011-09-05 | アートな時間

 日曜美術館アートシーンで 国立エルミタージュ美術館所蔵 皇帝の愛したガラスが紹介された。 うろ覚えだが、 展示品のなかに金の蓋が付いた硝子瓶があり、 絵は細い筆で内側から描かれたと紹介していた。 前におなじような品を見たような気がして、図録をめくり 鼻煙壺(ビエンコ)をつきとめた! とは大げさな。
 玻璃内絵鼻煙壺(総高6cm)の細緻な絵柄 拡大して見られます 

 鼻煙壺とは、手の中にすっぽり収まるほどの小さな壺。 嗅ぎタバコ(煙草の葉を粉末にして発酵させ、香料を加えたもの)を入れるための容器。 嗅ぎタバコは、17世紀に献上品としてヨーロッパの王室から清の宮廷に献上されたもので、皇帝や宮廷の貴人らを魅了した 。(故宮博物院図録より) 

 

   こちらは中国の土産店で買った小瓶。 高さ5センチ。 表と裏のデザインがすこしちがう。 赤くて尾の長いのは 何ていう鳥?

 裏に返すと ニワトリの背景も変わり  花や鳥の種類も変わる。 
 この絵も瓶の内側に描いてある。 先の曲がった竹の筆を これまた小さな瓶の口から差し入れて描くそうだ。 何の鳥か訪ねると、 店員は鵲(カササギ)と言ったが 青い鳥がそうだろうか。  

  コロンとしたちいさな瓶はペットのように、掌でここちよくなじんだ。  @ 50元

 博物院の「玻璃内絵鼻煙壺(総高6cm)」 細緻な絵柄 ただよう詩情…
 小さなものにこめる想い  ロシア皇帝からはじまって
 またひとつここでも繋がった  

 

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アイスグラス

2011-08-26 | アートな時間

 先日もガラスのコースターに再会し、 TVで青木繁の作品など見ながら乳白色に惹かれました。 それにしてもランプの表現、 ゆたかな色彩感覚にドキドキしますね。ランプ 青木 繁 あこがれはますます募って。
 夏の終わりに 涼しげなアートは如何でしょう。   (メモにて

 あこがれのヴェネチアン・グラス 
   サントリー美術館

 第1章では、 一気に花開いたヴェネチアン・グラスの技の数々をみる

・ダイヤモンドやガーネットによるポイント彫り 細緻な線で、風景や植物 獅子像 オリーブの枝などの文様
・耀変ガラス(銀イオンによる。 ガラスというより やきもののようにみえる)

・エナメル彩   コブレット ↓

         

  1500年頃

 ・水晶のように透明な部分と乳白色が織りなす レースグラス (拡大写真 コブレット部分) 繊細で優美

 ←  蓋付瓶 レースグラスにさらに襞を寄せている。 すごい技!   

・アイスグラス (ヒビに覆われたグラス。 高温のガラスを急激に冷やすことでヒビ、亀裂が入る、 陶芸の貫入に似ている。 罅に光をためて氷のようにキラキラと耀く)
  蓋付コブレット(薊型) ビーカーなど 

・ガラス片を溶着してつくるモザイクガラス。  
 モザイクのティーポット(リチャード・マーキス作)は とりどりのパッチワークがすばらしい。

 第2章では  ヨーロッパ大陸における様々なヴェネチア様式のガラスを紹介

第3章 日本に渡った貴重なヴェネチアンの資料と、和ガラスの造形的な共通性 

 八王子城より出土したヴェネチアン・レースグラス。 破片は5㎜から2.3㎝、 よく見つかったと感動する。 小さなかけらは物語を呼んで、 全体像を想像する。 

 ・藍色ちろり など

第4章では、伝統と近代性とが融合したヴェネチアン・グラスの新たな道のりを紹介。 
 美術館や博物館展示のため レプリカ

第5章 現代アートへの影響 
  現代作品の中に、 ヴェネチアへの憧憬が

 ・海の形 デイル・チフーリ 1989年  

 ぜひともこちらから 大きくしてご覧ください

・STELLA NUVOLA 三嶋りつ恵 2008年

・雨のち虹  江波冨士子   7×14列に並んだ98個のグラス それぞれに繊細な雨滴の表情  おなじものは二つとない  

 
 
   ・大切な自然を守る女神   植木寛子  2011年

  ・吹きガラス(型に吹き込んでつくるものと 型がなくて 宙吹きでつくるものとある)  
 展覧会概要  クリック拡大で 主な作品も見られます。

デザインもさまざま。 脚付の鉢や杯  細身のフルートグラス 酒器  香水撒き瓶 
 なかにはしゃれっ気のある愉快なものも。 鹿型パズル・コブレット(鹿の角が鼻に当たって、 とても飲めない。 台座のつけ根にある小さな穴をふさぐと飲めるしかけ。 サイフォンの応用) 日本には可杯(ベクハイ)がある。 これには台座がないので飲み干さないと置くことができない。 

 15世紀 秘密保持、火災の拡大防止のため、ムラーノ島に限って行なわれていたガラス製造。 ムラーノ島地図、 製造術、 吹きガラス製法などの書物など。

パンフレットも  拡大してご覧ください

  画像など パンフレットよりお借りしました
   以前にも サントリー美術館で まぼろしの薩摩切子展  水と生きる など
  ガラス器を堪能した。    

 

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動く絵

2011-06-22 | アートな時間

 国立新美術館でアート鑑賞 
  水槽の底から外光を仰いで 暑さを忘れるひととき 
  詳細は こちら   メモ書きにて

 エドゥアール・マネ 「鉄道」
  煙にかくされた鉄路の音  匂い  眠る子イヌ  青い葡萄の演出  
  主題を明確にしない  想像をする愉しさ  次なるシーン 

 マネ 「キング・チャールズ・スパニエル犬」 
   眼がいい 小刻みに震えるからだを支える足。 毛並み
 マネ 「プラム酒」 テーブル面とグラスの輝き  頬杖をつくモデル

 エドゥアール・マネ  「オペラ座の仮面舞踏会」

  どよめく人びと  話すたびにかしげるシルクハット  
  黒と 白いバルコニーの コントラストが目を惹く 
    絵の中に 本人がいる
  

  ゴッホ  「薔薇」 
 涼しげな色合いだ が 
 説明によれば、 全体に退色して ゴッホが意図した赤と緑の対比的な効果が薄れている。 エネルギッシュな筆遣いが際立つ。

   色調は 別の作品を思い出させた。  
   ポーラ美術館の 「アザミの花」 だ。 

 

        

 セザンヌ  「レヴェヌマン紙を読む画家の父」

 印象派・ポスト印象派 
  大胆な色 自由な筆遣い 光が踊る。 奥行き 画面構成など  とても勉強になった。 背景と人物の関係、 肩の線 肩を面で。 はみ出す色が時間を伝える。 補色の魅力。
 停まったかのような画面のなかは ざわめき、 生き生きとした リズム感がある。 描くように観てたのしい。 画家のタッチをなぞる。 

 コローの絵には 樹木が重なり 風が吹いている
 クールベ 「ルー川の洞窟」 闇と光、荒々しさと滑らかさ。 
 ラトゥール「皿の上の3つの桃」 桃の質感
  しずかな心地よい筆致 テーブルの切り方

  他の作品は こちらで 拡大して説明文をどうぞ

 

 

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