今年のキャンプサイトにはフランスのキャンパーが圧倒的に多い。これはここタヴィラだけでなくオルニャオのサイトでも同じだとダイアン夫妻が言っていた。モロッコはフランスの植民地だった過去があり、例年フランスのキャンパーはモロッコへ集中しているが、昨今のイスラム教の締め付けが強く、今まで外国人の飲酒におおらかだったモロッコも昨年秋から入国時に徹底的にアルコール類を撤廃することになった。ワイン王国のフランス人にとって何か月もワインも飲めない生活は考えられないのだろう。それでフランスキャンパーも安くて暖かいポルトガルへ集中することになった。
以前にも書いたが、このキャンプサイトはもともとリスボンの警察官と陸軍兵士のためのトレーニングキャンプで、ジム設備のみならず大きな水泳プール、バスケットボールとテニスコートも備えている。気温の低い冬はプールに入る人はいないが、日中元気な人たちはテニスやバスケット・ボールに打ち興じている。
フランスの国技ではないかと思われるこのボールゲームは、太陽さえ出ていれば毎日フランス人が集まって楽しんでいる。
12月の初旬から始めた私のジムのトレーニングも毎朝9時過ぎにレギュラーが集まり、1月からラジオ体操を一緒にすることにした。遅くに来た人たちにもと,2-3回も体操する日もある。
エドモンド夫妻は毎朝必ずやってくるフランス人で、ご主人はよたよた歩く年寄りに見えたが、奥さんの話によると昨年スキー事故で医者からもう歩くこともできないだろうと宣告されたそう。それでもマイペースでトレーニングしている。奥さんのエドモンド(イギリスでは男性の名前)は今年60歳になるという。彼らの娘が英語の先生だとのことでエドモンドは片言ながら英語を話す。
アニーはフランス人で12月から一緒にトレーニングしているが英語が話せななくて会話ができない。彼女はゴルフが趣味でジムの周りに植えられているオレンジでゴルフの真似ごとをしたりする陽気な人。ほかに3人のフランス人と2人のオランダ人がやってくる。
1月末にこのサイトを去ったバネッサとディヴ夫妻は英国領ジャージーから来た若いカップルで、2年前彼女42歳彼が55歳で退職しそれ以来人生を楽しんでいる面白い人たち。
バネッサとは短い期間ながら一緒にサイトの外までジョギングし、ジムでトレーニングして親しくなった。彼女の両親は50代で早世しているから、人生を楽しむためには早く退職し、好きなことをしたい念願かなってこの巨大なキャンパーに趣味のバイク4台と自転車2台、猫2匹でヨーロッパを旅行している。フランスのキャンプサイトにキャラバンを置いてあるから帰りに寄るようにと住所を呉れた。そんなに早く退職して人生が楽しめるなんてなんとラッキーな二人であろう。
ジムの周りのオレンジやミカン、レモンは少しづつなくなってゆくから皆試しに取ってゆくのだろうが、売っているオレンジより格段に酸っぱい。いまではオレンジの収穫真っ盛りで5kgが2-3ユーロ、毎朝食後1個づつ食べるのが楽しみ、やっぱり採りたては何よりもおいしい。
腹筋ベンチのそばのアーモンドの花も1月末に満開だった。腹筋トレーニングでバテて見上げた空にアーモンドの花が華やかに咲いている。
先週2日間、15人の警察官がトレーニングにやってきた。彼らはキャンプサイトのシャレーに分宿し、朝9時半サイトの道路を一周ジョギング、その時は私のトレーニングも終わっての帰り道で出会ったから、みな制服姿で元気いっぱい、一緒に走ろうと誘って走って行った。
翌朝私が腹筋70数回をしているときに、周りにずらっと並んだ警察官たちが腕立て体操を始めた。皆5回でへたばってしまい、彼らからは私はどんな風に見えるのだろうと思ってしまった。私はすぐ帰ってしまったが、その後に捕り物トレーニングなどがあってずいぶん面白かったという。