オペラやバレーは8月中は開催しない。2週間前の水曜日、この秋初めてのオペラを映画館で見てきた。
これがロイヤルオペラハウスのアィーダーだった。1990年代初めてオペラなるものをテレビで見て以来大ファンになったのがアイーダだった。
その時の出演者がいったい誰だったのかは全然覚えていないが、アイーダと恋人のラダメスが地下の石牢で愛を語りながら死んでいく場面で、ラダメスを恋い慕うエジプトのお姫様アムネリスが舞台の上のほうでメゾソプラノで歌っているのが、素晴らしく記憶に焼き付いて、アイーダを見るたびに、あの感激のシーンを期待してしまう。
ところが今回はあまりの差にがっかり・・・・・まず舞台が現代版、まるで北朝鮮を彷彿とさせる。ソロで歌う人たちは8人だけだが、その他のコーラスグループのたくさんの出演者がみな軍服姿。アイーダの父親がラダメスに助けられて逃げてきたのがまるでテロリストみたい。石牢の代わりにミサイル倉庫に閉じ込められて死んでいく二人。あんなにたくさんの巨大なミサイルの模型を作って、最後はどうするのだろうといらないことを考えていたり、あの二人あれじゃなかなか死なないだろうなと友達と話し合った。オペラ歌手で一番さえなかったのがラダメスでだった。
何よりもまずかったのが、この映画館での放映にサブタイトルが出なかった。2010年くらいから始まった映画館で見せてくれるオペラには必ずサブタイトルがついている。
ストーリーはよく知っているけどいったい何と歌っているのか分からないと、興味半減する。
それで2日後に文句を言いに行った。マネージャーにサブタイトルが出なかったから返金してほしい旨を言ったら、返金はできないが次のオペラかバレーの映画では無料にしてあげるというので、2週間後の今日10月22日のメトロポリタンのオペラのチケットをもらった。
メトロポリタンのオペラも2010年から何度も見ているが、いつもロイヤルオペラハウスより一段格が上と感じる。今まで見てがっかりしたことがない。
今日の出し物は過去にはあまり上演されなかったギリシャ悲劇をオペラにしたもので、作者はルイジ・チェルビーニ。そのタイトルもメディア(Medea)という。行く前にしっかりストーリーを読んで行った。
ストーリーは簡単に言えば、夫をよその女に奪われたメディアはリベンジのため相手を魔法で殺し、かわいいわが子2人も夫へのリベンジのため刺し殺すという恐ろしいオペラ。
出演者皆が素晴らしい歌唱力で誰も甲乙つけがたし。舞台設定も素晴らしく、さすがメトロポリタンだと感激して帰ってきた。そしてすぐロンドン北の映画館で同じ映画を見てきたはずの友達に電話して、良かったねーと言ったら、返事の声が沈んでいる。
なんと彼女の行った映画館では、サブタイトルが出なかった。
彼女もすごく期待していたから、サブタイトルの出ないこの映画はいったい何を言ってるのから分からないと、すぐに出て返金してもらったそうな。
アメリカと同時中継のオペラだから、また同じ出し物が出るのに何年後になるだろうか?
日本でも1か月後くらいに日本語のサブタイトルをつけて上演される。
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