ベニスに死す

2013年05月21日 20時08分06秒 | └映像ソフト

昨夜は雷が鳴っていた札幌から、ren.です。
春の嵐……というわけでもなく、今日は一日いい天気でした。
ただ、まだ風は冷たいなぁ。

 

さて、特に話題もないので、先日、中古店で買ったDVDでも紹介しましょう。

● 「ベニスに死す」
https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/bf/b9f812ba64c421db4b3b26d8d28be3e1.jpg?random=7c283219fb40a601a63a0c92941d5903

トーマス・マンの同名小説が原作の、1971年の名作映画。
一部には、「真正な美少年映画」としても有名(w

───── 観客にも友人にも自分の音楽の芸術性も否定され、そのうえ心臓を病んでしまい、失意のままベニスへと静養にやってきた老作曲家、グスタフ・アッシェンバッハ(モデルはグスタフ・マーラー)。
ホテルまでの道々でも、次々と気の滅入る出来事が連続し、さらに熱波に中り、さらに気分は落ち込んでいく。
眠れば友人のアルフレッド(モデルはマーラーの喧嘩友達であったアルノルト・シェーンベルク)との音楽論で自分のもつ"美学"を否定されたこと、その言葉に迷わされて失敗した売春宿での経験、そして幼くして疫病で亡くした娘のことを夢に見て、汗まみれで飛び起きる。
そんな中、ホテルのラウンジで見かけた美少年・タージオに、グスタフは"感覚の美"を見出し心を奪われる。
しかし、タージオへと傾倒する強い想いは、やがて彼を破滅へと導いてしまう。

私が好きなシーンは、中盤。
グスタフがタージオに引かれている自分自身に恐怖と嫌悪を感じて、ウィーンに逃げ帰ろうとする場面。
駅の手違いで荷物がスイスに誤送されてしまったことを理由に、すぐホテルに戻るときの笑顔ったら(w
ありますよねー、些細な理由で、自分の行動を正当化して納得することって。

戻ってきてからのグスタフは、以前より多少は自分の気持ちに素直になるものの、いざタージオを前にしてしまうと声をかけることも出来ない小心者ぶりは変わりません。
しかし、想いだけは募り、やったことといえば結局はストーキング(w
タージオ自身もクスタフに目をつけられていることは気がついているのですが、果たして、彼の心境は。
作中にしてみれば、ある意味ではグスタフを堕落させていく悪魔のような存在ですが。

ちなみに、このグスタフとタージオの関係は、実は実話だったといいます。
それは、原作者のT・マンと、彼がベニス旅行中に出合った美少年がモデルだそうです。
T・マンの死後、その美少年がポーランドの男爵子息だったことが判明したのだとか。

前述通り、美少年映画として有名な作品ですが、いまどきは実際に観たことのない人が多いのではないかしら。
多分、そういう人は期待はずれな展開の内容かもしれない(w
しかし、この切なさ炸裂な物語は、絶対にツボにはまるはずです。

コメント
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