出がけ高齢家族が見てウケていた『のりゆきのトークDE北海道 賞金持ってけ1番歌い切りで1万円・電話でカラオケ選手権』(フジ系の当地ローカルUHB9:55~)にしばし釘付け。主婦向け生番組で“カラオケ”ですからねぇ。昔の『ルックルックこんにちは』の“ドキュメント女ののど自慢”みたいのだったらヤだなぁと思って後片付けをしながら耳だけ立てていたんですが、ふと見ると、画面の絵柄がめちゃめちゃ面白いではありませんか。
横テーブル一列にMC佐藤のりゆきさんと審査員4人が並んで座り、目の前に1台ずつ黒電話。昭和40年代頃で消滅したようなダイヤル式のでかい純黒電話。挑戦者からの電話がつながると、全員、受話器で歌を聴き、「不合格」と思った審査員はその時点で受話器を置く。受話器を置かれずに1コーラス歌い切れば、サブMC水野悠希アナ(←えー、当地以外の皆さんにご説明しますと、結婚退職したフジテレビ中村江里子元アナを大陸的にしたような感じ)が鉦(かね)を叩いてくれて、賞金1万円獲得。
審査員で月河が知っていた顔は、ツアーかイベントで来演中らしき葉加瀬太郎さん、80年代初期に『ペガサスの朝』などで全国チャートを賑わした地元出身シンガー・ソングライター五十嵐弘晃さん。あとは金髪グラサンの元ヤン風の人と、昔の名前で出ています風なダンディースーツ&帽子のお爺ちゃん。まぁ、素人のど自慢の審査員らしいっちゃらしい絵ヅラの面子。のりゆきさんも3~4年前CD出してるし。
電話がつながった後、希望を訊いて、希望者にはプロのアコギ伴奏もつけてくれる。
いかにもプロな風体の人たちが黒電話の受話器越しに素人の歌を聞き、TVのこっち側で聞いてる視聴者が「こ、コレはちょっと放送に耐え…」と思うと、案の定1人、また1人と受話器を置いていく。置いた審査員の数だけ、『ヘキサゴン』みたいに画面下に赤い×印が付いていく。それがなんとも可笑しいったらないの。
五十嵐さんなどは、受話器を置く時「もーお腹いっぱい」とばかりにその都度軽く合掌、一礼。歌ってる最中の人が画面見たら、かなりヘコむと思うよ。中で総じていちばん“見切り”の早かった金髪ヤンキー風の人は、いったん耳から受話器離しかけてから、「イヤかわいそうだからもうチョット聞いてやっか」と言わんばかりに戻したり。挑戦者の歌より、審査員さんたちのそういう挙措がいちいち失笑、爆笑。
「ギター伴奏は要りません」と断って歌った挑戦者も何人かいましたが、ギターの人(先日格闘技宣言した兄弟デュオ・狩人の弟似)は断った人にもコードだけは鳴らしてくれて、結構、素人に親切。やってみたことはないけど、電話越しに聞こえる伴奏やコードに合わせて歌うのって、現場でカラオケ流しながらより難しいと思うんです。挑戦した人はなかなか勇気があると思う。しかも朝10:00台。早起きしたとしてもまだ声の出にくい時間ではないでしょうか。
それでも、歌のうまい素人さんって結構居るもんです。40分ばかりの間に、3人の挑戦者が見事歌い切って1万円。もちろん皆さん主婦です。
水森かおりさんの『鳥取砂丘』を歌った人は、電話越しでもビンビン空気震わせるくらいコブシ回ってたし、『上を向いて歩こう』の人はR&B風の発声でメロディフェイクも織り交ぜて、アメリカ人のスキヤキソング・カヴァー版といった味。葉加瀬さんも「ジャズってますねぇ」と感嘆してました。トリを飾った人はザ・ピーナッツの『恋のバカンス』、ちょっとテンポがモタり気味でしたが、工藤静香さんばりのほどよく重ったるい甘い声で、サビの転調も正確に歌い切りました。この人は、声質や節回し的にアン・ルイスさんの曲なんかも得意としてそう。『麗わしき鬼』の主題歌『雨夜の月に』を歌わせてみたいな。
歌が始まって、オッこの人は上手いなと思うと、のりゆきさんも審査員諸氏も、自然と身体がリズムに乗って揺れ出すのね。いい大人、て言うかおっさんたちが、受話器耳に当ててユラユラ。これも笑える風景。
何と言っても、この企画、電話を昭和の黒電話にしたことが勝因でしょう。これだけでTV的に絵ヅラがそこはかとなくおもしろく、可笑しくなった。
あと、この番組、その日のテーマによって「腹立ったこと」「恥かいたこと」「迷惑してること」など視聴者の生電話をほぼ毎回受け付けるのですが、今日、電話かけてきた人たちはみんな電話の声がよく通り、のりゆきさんとの挨拶のやり取りから聞き取りやすかった。歌自慢の人って、日常会話でも“声が出てる”ものなんですね。
時間帯が平日午前中だけになかなか参加まではできない番組ですが、この企画、二度めがあったら、月河も挑戦の電話かけてみるかな。最近のレパートリー、ダニエル・パウター『Bad day』しか無いな。五十嵐弘晃さんが審査員レギュラーで定着してくれるなら、『ディープ・パープル』当時得意だったんだけど、同情票でどうにかなんないかな(同情票って)。アコギ伴奏は…どうしよう、断るか(←すっかりその気)。