97年の正月初売りで購入したポケットラジオが昨年、部品製造打ち切りで修理不能を言い渡されてしまい、同じS社製の後継機種と思しき02年型に買い換えましたが、製造年度にして6年ほどの間に結構、進化したらしく、形状がよりコンパクトになっただけでなくいくつかのマイナーチェンジがあります。
まず巻き取り式のイヤーレシーバー(イヤホン)がいちだんと軽量、て言うか華奢に。旧製品使用中、故障修理に出した数回すべてがこの部分の断線、接触不良によるものだったことを考えると、この部分は、むしろゴツいくらい頑丈にしてほしかったなぁ。
それに、先端のイヤーピースも思いっきり薄形化したので、耳穴にいちだんとおさまりがいい…を通り越して、月河には若干小さいです。早足で歩いて移動したり、台所仕事の作業中に、頻繁に外れてくる。もっと大柄な、耳穴も大柄(?)な成人男性などは、もっと頻繁に外れるんじゃないかな。
このイヤーピースと格闘して気がついたのですが、人間の耳穴自体、入口付近の形状が左右対称ではないんですね。月河は右利きなので、上着やパンツの左ポケットに本体を入れて聴くことが多く、特にイヤーピースの左が外れやすいのはそのせいかと思って、試しに右ポケットに入れてしばらく聴きながら作業、移動などしてみたこともありますが、やはり外れやすいのは左のほう。
ただ、最近は、イヤーピースの角度のちょっとした工夫でかなり安定感が増すことがわかりました。
電源も、形状コンパクト化に伴い旧製品は単4×2個だったのが1個に。稼働時間はFM・TVで29時間、旧の仕様説明書が手元に残っていないので比較できませんが、数時間短くなったかも。2個が1個になったんだからそのくらいは当たり前だし、何よりチューナーの性能が向上して、旧製品ではほぼ受信不能だったマンションやビルのエレベーター内でも聴けるのは、災害時などを想定すると心強いです。
いちばん変わったなと思うのは、電池切れ時の作動のしかた。旧製品は、まず「あれ?音割れ?ノイズ?」と思う時間が1時間、2時間あって、さらに聴き続けていると液晶画面の電池マークにスラッシュが入ったアイコンが点滅、ここで初めて「あぁやっぱり電池切れだ」とわかりました。
新製品はその「音割れ?」と思う1~2時間がありません。普通に鮮明に聞こえていて、いきなり“ピーーーッ”と警告音が鳴り、自然にスイッチOFFになります。ポケットやポーチから出して見ると、その時点で初めて、電池マークが点滅しているのがわかる。
どちらが良い、悪いは一概に言えませんが、製造哲学が完全に1枚変わったな、と思います。「とにかく、質の悪い音が出る状態には1時間、1分たりともしない」という哲学。「鮮明な音が出せないのはラジオの恥だ、そうなる前にいさぎよくOFFしろ」みたいな。なんか、「生きて俘虜の辱めを受けず」に近いような。…それほどでもないか。
昨日は99年山口県光市母子殺人事件の差し戻し審初公判のニュースが。被告人の大弁護団が、正気とは思われない論旨でいまだに「殺人ではない、傷害致死で、しかも被告は悔悛し謝罪している」と言い張っているらしい。
事件から8年、世間から忘れ去られない程度のインターバルをおいてマスコミに顔を出し訴え続けている被害者の夫・Mさん、画面で拝見するたび気の毒なくらい人相が狷介になってきている。不条理な犯罪で家族を奪われた上、司法が被害者にまったく惻隠の情を持ってくれない理不尽に、8年間さらされると人間はこんなに外貌からして変わってしまうものかという、これはTVカメラの前で行われる一種の“精神に対する公開殺人”だと思います。
第一審の後の会見で「私の世界でいちばん大切な家族の命を亡きものにした人間に、司法が死をもって報いさせることができないなら、いっそ釈放してほしい。私が彼を殺すから」と言っていたMさん、その後「妻と娘がどんなに自分にとって大切な存在だったか、私たちがどれだけ強い愛の絆で結ばれていたかを、日本中の人に知ってもらい、そのかけがえのない2つの命を奪った事件の残酷さ不条理さを考えてもらいたい」と、出会いから恋愛→婚約時代の往復書簡、娘誕生後の妻の育児日記などをまとめて出版もされました。
月河は当時「ここまですることはない、いくらなんでもこの旦那さん、羞恥心ってものはないのか」と思ったこともありましたが、ひとりの人間にここまでさせてしまう、他人からは推し量りがたい精神の極北に追い込むほどのむごい犯罪だったのだ、ということを思い知るべきでしょう。
当時18歳だったという被告は、2人の命を手にかけただけでなく、いま3人めを精神的に殺そうとしている。死刑が確定しても、手遅れにならない保証はありません。
日本は法治国家のはずですが、法律はおろか、地域の条例や学校の校則、公共の場所での社会常識すら平気で踏みにじられるケースがどんどん増えている。法治国家ならば、常に法が民にとって“遵守し甲斐のある”ものであってほしいと思います。そうでなければ、“ルールなんて破ったもん勝ち、甘い汁吸ったもん勝ち”の風潮がますます助長されていくと思う。
さて、『麗わしき鬼』第40話、悠子が本格的に洵子と水上の結婚阻止に動き出しました。「あんな男はダメ!」って、水上は本当に動機が不純でダメだからなぁ。「あの男は不愉快だが、不愉快なだけではサカリのついた若い2人の仲に踏み込めん」とブーたれる英矢も洵子には不純。そしたら結局「この世でたったひとりの身内、大切な妹がろくでもない男のものになっては」と案じいろいろ策謀めぐらす悠子がいちばんマトモ?…と思いきや、そう…でもないんだな、これが。
「この戦いに、正義はない。あるのは純粋な“願い”だけだ」
…唐突に『仮面ライダー龍騎』最終話を思い出してしまいます。
今日は、悠子が洵子のために見立てた付けネイルを「病院に届けて、なんだったらサイちゃん付けてあげて」と夫・犀一(松田賢二さん)に託すときの留美(嘉門洋子さん)、それを犀一が洵子の医局に持ち込み「ホラこうやって付けるんだよ」とプレゼンしているときの背後の席の水上、悠子が眉川家で洵子に「ネイルって不思議でしょー、ねぇ」と施術しているときの啓子、それぞれ「ワタシを、オレをさしおいてコイツらだけで何盛り上がってんの!?」という“カヤの外顔”がいちばんおもしろかった。この2人にかかわってくと、どんな人でも、ある時点で内心こういう顔になると思う。
特に、ネイルアーティストとして身を立てる過程の悠子にずっと仕えてきて、洵子との再会までは「妹」と呼ばれ可愛がられてきたらしい留美の“糟糠の若妻”感がなかなかです。久しぶりにドラマでお顔を見る嘉門さん、突然現われた洵子に“先生”の寵愛を奪われ憮然たる表情に、切れ長の目の下のクマのジットリ感がぴったりマッチ。何となく、この数作後、東海ドラマで、今度はヒロイン級での出演もありそうな気がします。