『爆笑オンエアバトル』も気がつけば99年スタートですから、もう、世紀を跨いでまる8年やってるんですね。その間、もちろんこの番組でネタに磨きをかけ認知度を高めて世に出て行った芸人、ユニットも数多い反面、03~04年頃の、いま思えばピークの非常に短かった、民放番組主導の“お笑いブーム”の最中はどっちかというとカヤの外だった感が。
一方“ネタ見せは義理程度で、結局は受けた芸人をバラエティの賑やかし役に引き抜いて使い捨てるだけ”が露骨な民放のお笑い番組もすぐ飽きられ、その中でブームの前も後も頑固にフォーマットを変えなかったことで『オンバト』は逆に生き残ってきました。
しかし、アンジャッシュもアンタッチャブルもタカアンドトシも力量通りの成績を上げて卒業勝ち抜けしてしまったいまとなっては、正直、“マツイもイチローも松坂も、井川までメジャーに行っちゃった後、目玉が田中マーくんぐらいしかいなくなった日本プロ野球”のような眺めを呈しています。しかもマーくん楽天だし、みたいな。
昨日(18日24:10~)のオンエア組では、唯一のオーバー500を出したハマカーン、さすがに現状の“負け残り組”の中に入ると抜群の安定感。序盤・中盤・終盤とダレなく笑いのピークが嵌め込んであるし、何よりこのコンビ、ボケはボケ切り、ツッコミはツッコミ切っている。この当たり前のことができず「!!…ムニャムニャ」→(語尾かぶって)「!!…ムニャムニャ」の繰り返しになっているコンビ・ユニットが最近目について仕方がないから。
それにしても今日のネタで505キロバトルは玉入り過ぎでしょう。彼らの実績と当日のメンバーを考えたら460くらいでいいと思う。「チャンピオン大会帰りの彼らには、これくらい断トツの存在であってほしい」という会場の希望値かな。
この日2位オジンオズボーンも、どう考えても497キロバトルは取り過ぎ。やはり会場審査員が、「お馴染みくんたちに、なるべく玉入れてあげたい」という次期ブレイカー待望ムードにあるんだろうな。童顔と勢いで好感度は高いものの、やっぱり「こう言うたら何ナンズツ(何なんです)けど」「早めのシュズツ(=手術)」「レッツボーリ(=ボウリング)」など、特にボケ篠宮が発声・滑舌的にボケ切れていないフレーズが気になる。勢いが売りなら、語尾ヘタれちゃいかんだろう。隅々まで勢い行き渡らせていこうよ。
こちらもチャンピオン大会帰りのエレファントジョンは、ボケ森枝がヴィジュアル的に近いから?アンタッチャブル山崎の芸風で行こうとしているのかな。だったらやめたほうがいいと思う。ツッコミ加藤と、森枝の声質が近似しているので、協奏したとき“山崎のガハハ声&柴田の甲高シャガレ”のアンタッチャブルの味には絶対ならないから。ボディアタック・ヒップアタックも、アンタ並みに“ボケのほうが明らかにガタイがいい”、あるいはその真逆な体格差ある2人じゃないと可笑しさが出にくい。
父の再婚ネタ→突然犯人説得→「要求は…再婚のコントをやってくれ!」「わかった!」のくだりがよかったけど、気がつけば愛知・長久手立てこもり事件が20:00台に収束して、放送時間に影響がなくてよかったね。
この日2連勝のエンジョイワ→クスは初めて見ましたが、結成してどれくらいになるのか、まだコンビが互いの持つ面白さに関して手探りで、漫才の格好にまとめきれていない感じ。ボケ“達っちゃん”関口の“生まれてくる瞬間の田中邦衛”、天使と悪魔の戦いの間の「オ~ケイ」が強烈すぎて、中身の印象があまりなかった。終盤の「やっぱり亀はミドリガメ」「ゼニガメもいるよ」はよく意味がわからなかったけど、関口のヴィジュアルの強烈さに、ネガティヴな拍車かけただけだったんじゃないかな。なぜあえて“亀”持ってくるか。
この日のオンエア組でいちばん異彩を放ったのは末高斗夢でしょう。芸風としてはダンディ坂野的な“滑り芸”“ハズし芸”なんだけど、ガリヒョロな身体で1人で持ちきれないほどのネタ入りバッグを持ち込んでの登場姿でもうだいぶ持って行きました。何よりこの人、声が出てるんだな。受けようがすべろうが、最後まで言い切れてるんです。
「この30秒地獄でした」「ホラ戻った」「さぁ楽しくなってきた」等のひとり合いの手もさることながら、合いの手を言った後に聞こえるか聞こえないかの付録のようにつける「こんなに大きいのに、ねぇ」「内緒にしといてください」等の“合いの手の合いの手”が面白い。ミズノミキはバッグから出したときのガサの、まさかの大きさが笑えました。「落札価格5,000円」で会場から「え~(同情)」の声が上がったのも笑ったな。
で、冒頭の「おっ玉下駄~」で思い出したんだけど、この人、この番組では初見だったものの、昨年の昼ドラ『偽りの花園』でスナちゃんネタ見せの場面で相方役で出てましたね。そうか、「当時の浅草で受けるかどうかギリギリ」というところを買われてあの役に抜擢されたのか。現役の芸人としては痛し痒し。痛し痛しか。
スベリ、スベリ、受け、の三拍子みたいな間に挟むクチ三味線「♪すえたかとぉむ~」が往年の早野凡平さんの帽子トランスフォーム間の「♪はっや~のぼんっぺ~」を思い出させました。ここまでアナクロに徹すると、滑り芸もいっそ新鮮ではありますが、やはり何度も演って飽きられることなくコンスタントに好得点というタイプの芸ではないし、チャンピオン大会進出してセミファイナル→ファイナルで新ネタ連打もキツそう。平均400行くか行かないかの低~中空飛行で、他の組の得点次第でたまさかオンエア、ぐらいのポジションがいいところかも。たぶん、ネタ終了後、バッグにネタ戻して撤収するときに、いちばん会場が沸いてるんじゃないかな。
新年度からの司会神田愛花アナもだいぶ慣れてきたようだけど、敗者コメント終了後の『今日のオンエア』は本当に要らないな。メガネっ子萌え狙いみたいな女教師風コスプレが邪魔だし、この人は内面のモティヴェーションが表に出にくいタイプと言うか、ぶっちゃけ、ゴムっぽい顔をしているので、何言っても「言わされてる」感が漂う。もう少しくだけて、早く塚原愛アナぐらいの“ツッコんでるつもりで芸人にイジられトーク”ができるぐらいに成長してほしいものです。
さて、今夜は優駿牝馬オークスの検討ナイト。ウオッカ(ダービー出走)、ダイワスカーレット(感冒)の回避で、こんだけどこからでも狙えるGⅠも年間そうはないなってぐらいの混戦になってしまいました。現時点では、長い低迷から東京で息を吹き返したアドマイヤコジーンの娘で、同じく東京得意のトニービンを母父に持つアドマイヤスペースを重視したいのですが、前走も前々走も平場の減量起用なので、今回一気に負担重量が4キロ増になるのが気がかりです。
同じ父系で芦毛仲間のローブデコルテのほうを厚く行っとくか。月河は“牝馬はデカ、牡馬はチビ”が好きなので、本当は出走18頭中唯一520~530キロ台をキープしている爆弾ボディ・ザレマに勝ってほしかったのですが、タネ…いやヤネが武豊になっちゃったしなぁ。前のレースで落馬して乗り替わってくんないかな。