イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

水・砂糖・ピザ

2008-01-24 16:09:56 | テレビ番組

いささか出遅れましたが18日(金)放送の『爆笑オンエアバトル』

出遅れたのはそのせいと言うわけじゃないけど、どうにも再生していて爆笑に誘われない回でした。

まず第1位の493kbがいきなり玉入り過ぎ。声も出ていて演じ切れていたのは今回のオンエア組の中ではいちばんと思いますが、「おまえメンズじゃねーか」までの掴みがゆるかったし、「全然できてねーじゃねーかオマエ」の繰り返しで増幅して行かなければならないのに、そうならない。「もう子供要らない」でネタ終了かと思った。

あと、今回のこの人たちで笑えなかった一番の原因は、『アブラハムの歌』って、アレ、お子さんたちにはポピュラーなの?…歌詞も曲も全然知らない、一度も聴いたことがなかったので、どこが可笑しいのかさっぱりわからず、ここであらかたノリっぱぐれてしまった。自分が元歌を知らなくても、観客のノリが目立って良ければつられて笑ってしまうこともあるのですが、そこまで盛り上がってもいなかったし。

ただ、敬語使いのお父さんが「今日から優介くんのお父さんになりました」「なにその昼ドラみたいな展開」はちょっと笑った。このネタのこの箇所がというのではなく、先だっての『エンタの神様』でのタカアンドトシの浮気探索コントや、ギャロップの「本当のお父さんじゃないんだ」でも思ったけど、「若手芸人くんたち結構観てるのね昼ドラ」という、そのことが可笑しくて。

歌ネタと言えばオジンオズボーンですが今回は445kb5位。ぶっちゃけ歌自体あんまりうまくないし、歌ネタにこだわる理由がわからない。

歌で始めたばっかりに「名曲を作る人は心がピュア」という2ndパートへのつなぎも強引になったし、財布拾って「ピロリロリーン」「デンデンデンデン」の天使と悪魔ネタは、一昨年のM1決勝でザ・プラン9がやってたのとそっくり。設定大枠そっくりでも料理のしかたが新鮮ならまったく構わないのですが、「ゴミッ財布ゴミッ財布」リフレインの最後のほうで篠宮が半笑いになっていたように演じ方も雑。「閻魔様と神様」「オマエ舌抜かれてるやないか」以降のくだりが、もっと前に来ていれば、も少し上昇感があったかなと思いますが時すでに遅し。オチ落差の乏しい「もうええわ」になってしまった。

同点445kb5位なら、4回目の正直で初オンエアのアイデンティティのほうがネタの質が高かった。「右に出るヤツは今井」「今井さん連れてきてよ」のやりとりとか、ツッコミの「原理がわかんない原理が」、「さりげなく帰るなさりげなく!」などのフレーズ・抑揚、「だってオレが親切できるって言うからオマエ付き合ってくれてんだろ!?」と逆ギレする辺りに軽くタカアンドトシ風味も感じられましたが、観ててタカトシっぽいなと思える箇所が、口惜しいけど(口惜しいのか)いちいちおもしろいんだな、この人たち。さりげなく帰るところと、「逆立ちしてたじゃないですか」「知らないですね」と「レッツゴーチョモランマ爺さん」「どこ行きゃ手に入るんだ」で今回オンエア全組中いちばん笑った。

ただ、やはり4回目でやっと初オンエアという現実が示す通り、声の出かたが「ガシャンガシャンガシャーン」などいかにも硬くて小っさいし、ネタ中意味なく前髪に手をやったり、演じ慣れしていないところも目につきました。コンタクト落として踏まれてパリーンとか、駐輪場でガシャンガシャーンとか、言うなれば“ネタ世界の狭さ=日常チャハン事ワールド”に徹することを持ち味にしつつ、場数を踏んで行けば、結構伸びるかもしれません。

ななめ45°は前回オンエアのマラソン追っかけネタと同じく、“車掌の決まり文句がいちいち男女の修羅場話に平行移動”という着眼はとてもおもしろいんだけど、またしてもリズムが悪い、悪すぎる。ネタとネタ、フレーズとフレーズの間が空き過ぎるので、観客が“待って”しまい、待たされた結果笑いに意外性がなく萎んでしまう。

鉄っちゃんが上手から突き飛ばされて出てきて、着替えろと言われて服着ると車掌の格好になるまで、男と女装の会話だけで一箇所も笑いどころがない、助走の無意味な長さも前回のマラソンと同じ。

あと、トリオでお芝居コント主体の組はほかにもいますが、この人たち、3人の演技のタイプがなんかバラバラな気がする。ひとりひとりが別方向にリキんでいる感じ、有機的に盛り上がってこないのです。

笑いの大きさとは別に、いちばん安心して見ていられたのはやはり477kb2位のタイムマシーン3でした。「その気持ち会費にぶつけろ」「カネ取んのか」のきれいなオチっぷりも全組随一だったし、パッと出の客席とのアドリブ(かな?)やりとり「衣更え?それ日本語?」「カッコいいなオマエ」ひとつとっても、やっぱり同じ悩みごとネタ・デブネタ勝負でも響に比べると一日も二日も長があるのは認めざるを得ません。長友と関太の汗の量を見ても燃費差、つまりキャリア差は歴然。ま、太ってる人にも汗っかきタイプとそうでないタイプがいることは確かですけどね(そういう問題じゃないか)。

でもこの人たち初めて見たのもオンバトだったのですが、関太は以降も“一目瞭然レベルのデブキャラ”を維持しつつ、際限なく膨張して行きそうでもないし、いい感じで“高原状態”を保っていますね。前にも書いたけど、関太との比較で動きが少ないため、前提としてキャラが薄くなっているツッコミ山本が愛嬌全開するネタを、一度ぐらい見たいな。

チャンピオン大会出場権枠も徐々に埋まってきていますが、今季は“そろそろ卒業してほしい”常連組はともかく、出場有力ゾーンに楽しみな新顔が少ないのが残念。勝ちあがって行けば新ネタ2本を必要とするだけに、高いハードルですがサプライズな新人くんたち出ないかな。

あと、ここへ来て、現チャンピオンNON STYLEの迎撃を結構楽しみにしている自分もいることに気づいた。M1グランプリではまったくカスリもしなかったし、年末年始花盛りのおバカバラエティでも、コーナーMCぐらい任されてもいいポジションだと思うのに顔が見えませんでした(こっちがあまりリアルタイムTV視聴してなかったせいもあるが)。『オンバト』が現在、彼らのネタを見られる事実上唯一の機会です。歴代でいちばん“在位”中の露出あるいは磨り減りの少ない“温存度”の高いチャンプと言ってもいいかもしれない。

M1優勝のサンドウィッチマンは、明けてすぐのテレ朝系情報番組で優勝ネタ、さらに新ネタを披露する機会ももらって、持ち前のトッぽさヤクザっぽさも、一間のアパート同居からいきなりブレイクのテレ・初々しさといい感じにミックスされ、徐々にお茶の間に受け容れられてきているようです。

ここはNON  STYLEもオンバトという看板の名誉にかけて、ぜひ昨年のアレがフロックでなかったというところを見せて欲しいものです。

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悠さん2連発

2008-01-22 22:45:10 | テレビ番組

パーソナルコンピュータ、略して“パソコン”。

この略称が定着してどれくらいになるんでしょう。

少なくとも、『太陽にほえろ!』に石原良純さん扮する水木悠刑事が参入した時分は、あくまでも“マイコン”刑事であって、“パソコン”刑事ではなかった。

当時月河は中心街のオサレな洋服屋さんで働いていて、隣接のメンズウエア店・グッズ店と恒例の前倒し忘年会兼歳末商戦がんばろう会を盛大にやり過ぎ、二日酔い紛れの高熱とカラオケ歌い過ぎの喉痛で休んだ金曜日だったので、結構鮮明に覚えているのですが、1984年(昭和59年)11月からの登場だったはずです。

当時は“マイコン”という一語で“理系”“高学歴”“でもアタマデッカチの現場音痴”みたいなイメージをじゅうぶん喚起する力があり、08年のいま現在ほどバラエティや報道番組で揉まれていない、無論演技経験も浅い、言うなれば“ボス(石原裕次郎さん)のリアル甥っ子”という以外なんの取りえもなかった頃の良純さんにある意味ふさわしいキャッチではありましたが「それを言うなら“パソコン”だろ」とは誰も思わなかった。

接頭辞として人物のキャラを想像させたり規定したりする力において、“パソコン”という語はまだ“マイコン”に何枚も劣っていたのです。

なぜそんなことを考えたかというと、最近、職場の若年チームと会話していると、“パソコン”をさらに略して“パソ”と言っているのが耳についてきたからです。

あるアイテムに興味を持って携帯で当該サイトにアクセスしたがつながらない、と誰かが言うと「パソでやってみれば?」、あるいは「うちのパソ昨夜フリズっちゃって(=フリーズしちゃって)さ」「夜は旦那がいっつも遅くまでパソ使ってるからワタシ使えないんだ」など。

なんとなく文脈からたどると、彼ら、彼女らの中では“ケータイ”こそが何をさておきファーストコミュニケーション・検索ツールであり、そこにさらに“わざわざ”あるいは“オフィシャル”“大仰”なニュアンスが加わったセカンドが“パソコン”であるという序列がある様子。

いま“パソコン”という単語に“刑事”でも、あるいは任意の単語“少年”“少女”でも“主婦”“代議士”“ヤクザ”“女優”でも、何を付けてもさしたるイメージ規定力は無いでしょう。

日本人の誰であれ、パソコンを持っている、日常操って使用している、ということ単体では何の珍奇さも有難さもなくなった。

“パソ”という略し方には、“パソコンあるのが、使えるのが当たり前”の時代に育ってきた世代独特の、距離感と言うか飽和感と言うか、とにかく乾いた感じが漂っているように思えます。

しかしおもしろいのは、やっぱり“パソ”ですかね。そうなりますか。

“パコ”にはならないんだ。“ーソナル・ンピュータ”なのにね。

再放送『真夏の薔薇』は第42話まで来ました。脳梗塞で倒れ言語障害の戻らないまま亡くなった巴お祖母ちゃん(鳳八千代さん)の、最期の力を振り絞ったダイイングメッセージ“うそ”が怖かったなあ。特に“そ”。麻痺した手でチカラいっぱい書いてるから、紙も突き破れる勢い。なんか“怨”の字に似てましたよ。夢に出てきたら前後関係なくてもあの字だけでうなされるな。字だけの夢ってのもないだろうけど。

「昨日からしきりに、書くものが欲しいって」って看護師さん、その意思はどうやって聴取したんだ。麻痺して書けないのわかってるんだから、看護師なら指差し示せる50音ボードみたいのあげるだろうによ、って話ではあるんですが。

『偽りの花園』での瑠璃子・ユリエの呪い暗示におびえて突然死、『麗わしき鬼』での留美・生霊となって憑依→失踪など、中島丈博さんは中世の絵草子や伝承物語を思わせる超自然モチーフをひとつまみ取り入れるのも得意ですな。

巴さんがどうしても碧に言いたくて言えずにしまったすべての意味を、ただひとり知っている郁子さん(姿晴香さん)の「意味なんてあるのかしらねぇ、さっぱりわからないワ?」ってな平然っぷりも別な意味で怖い。某大物女性占い師さんなら速攻「地獄に落ちるわよ!」攻撃来るね。

ところで先週、40話で巴さんが倒れて搬送された病院の担当医役が、この枠でおなじみの沼崎悠さんでしたが、同じ週の本放送中『安宅家の人々』第10話では宗一母・綾子(一柳みるさん)の担当医役も演じておられました。本放送ベースでは足かけ13年。いずれもヒロイン“親より上世代”担当のお医者さん役というのもすごい。

もちろん別枠のドラマや再現VTRでもよくお見かけするベテラン俳優さんですが、『女優・杏子』では杏子に隠れ家レストランレポートを依頼するTVディレクター、『偽りの花園』では露子にちょっかいを出すお節介な酔客…この人が“1シーンも出演してない東海昼ドラ”を挙げるほうが難しいかもしれません。1シーンで“こういう人いそう”と思わせる普通さが貴重なんでしょうね。

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いつか…未来で

2008-01-21 15:35:35 | アニメ・コミック・ゲーム

今年もそろそろ戦隊&仮面ライダー代替わりの季節。新番組の予告を見ようという、ただそれだけの動機で、『仮面ライダー電王』最終話を録画視聴。いやー不純ですんませんね。2話で早々脱落後、約1年ぶりのスーパーヒーロータイムです。

なんでこんなに早くあきらめたんだろう。2話観た時点で、何か「見逃せない!」気持ちになれなかったんだな。05年『響鬼』・06年『カブト』と、2作続けて後半の盛り下がりを経験した後だったからかもしれない。

02年『龍騎』・03年『555』・04年『剣(ブレイド)』では秋風が吹く頃から息詰まるようなテンションになって行き、正月休み跨ぐ頃は最終話の落とし所、誰が、どのキャラが生き残るかを考え出すと夜も眠れないノリだったのに。

ライダー戦隊は11年ですから、乗ると決めたら春夏秋冬、弛んでもハズしても、すっ転んでも走らなければなりません。外れも1作ならどうにか期待が途切れませんが、2作、2年裏切られると体温も冷めます点も辛くなります。

初っ端からコスプレ女子キャラ声優さんガワ萌え要員(イマジン)、ミルクディッパーに出入りするイケメン連と、“痒いところに手が届く”あからさまなサービス精神満載っぷりも冷めの原因になったかもしれない。

良太郎=佐藤健(たける)くんが自転車でデンライナーを見送るラストシーンとてもいい顔になってた。収録の都合上、ラストシーンがオールアップとは限らないのですがね。近年のどのライダーくんも、第1話の顔と最終話の顔を比べるとみんな歴然と良くなっているものですが、佐藤くんは昨秋、収録が詰めに入る頃に自然気胸で休養を余儀なくされたりもしましたから、この1年で10年分くらいの経験値アップ成ったのではないでしょうか。こちらも録画前1%弱だった「3話以降も観ときゃよかった…」指数が15%ぐらいアップ。1話で健くんのカッコよさ、ナサケナ可愛さに直球萌え~となった人たちが、いちばん本編を楽しめたかもしれませんね。

愛理姉さんの未来の恋人・桜井侑斗役の中村優一くんの『響鬼』からの瞠目の成長ぶりは昨春『美味(デリシャス)學院』でじゅうぶん堪能させてもらったので悔いなし。

ガワ萌え、声萌えと言えば、黙って見てたら最終話、不気味カッコいい味方イマジンが増えてる増えてる。赤鬼モモタロス以降は公式サイトか紙媒体のみで、動いてるのを見るのは初めてでしたが、こりゃ玩具屋さんは売れ売れで大喜びでしょう。なんたってみんな、おもしろくて性格が良くて、一流声優さんの声で決めゼリフ喋るんですから。

1話初登場時、萌えキャラなわりに妖精的ではなく、濃いめで肉体派?と思えたハナ役白鳥百合子さんの姿は見えず、代わりに少女体コハナの松元環季ちゃんが。80年代アイドル風のレイヤー入りロングヘアにレースタイツで、お父さんたちのハートもキャッチか。最後まで視聴者想定層へのサービスに徹した姿勢、それはそれで見事。

来週27日からは『仮面ライダーキバ』が始まります。予告映像や公式サイトで見る限り、フォルムは『アギト』風で格別の目新しさはありません(近年、初見のインパクトでは『555』を上回る造形は難しそう)が、ストーリー・キャラの下敷きが“ヴァンパイア”という点、なかなかそそられます。

鍵を握るヴァイオリンの名が“ブラッディ・ローズ”とは、98年公開のカナダのフランソワ・ジラール監督の映画『レッド・バイオリン』をも想起させる。Violinという綴り自体に、“生命”“血”の匂いが漂っています。毎作人類存亡の危機を扱う仮面ライダーワールドにおいて、これは料理し甲斐のあるモチーフを選んでくれました。

特撮→昼ドラチームから『響鬼』の斬鬼=財津原蔵王丸役松田賢二さんが『偽りの花園』『麗わしき鬼』を経て“帰還”。昼ドラ2本はともに、強くブッ飛んだ女性を書いてこその中島丈博さん作品だったこともありますが、ヒーローとは対極にあるお間抜けナサケナ青年で、そろそろまた侠気あふれるカッコいい松田さんが見たいと思っていたお母さんたちには嬉しいニュースでしょう。

『龍騎』のキャラ躍動感、『555』のダーク感、『剣(ブレイド)』の切なさを兼ね備えて1年、走ってくれるといいのですが。

1年間っていうと、観る側にも作る側にも、浮き沈み、縦揺れ、横ブレ、いろいろありますからねぇ。

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押すな押すな

2008-01-18 21:14:45 | テレビ番組

先週、第1話を録画忘れで視聴し損なった『交渉人』2話(テレビ朝日系172100~)を録画視聴。

12話で一エピソード式の作りでなく純連続ものだったら、1話録画忘れた時点で、縁がなかったものと思ってまるっとスルーし通したかも。ドラマの第1話は制作サイドにとっても重要でしょうね。

まーしかし、なんだかとっ散らかったドラマだなあ。

主演米倉涼子さんを紅一点に陣内孝則さん筧利夫さん高橋克実さん高知東生さん、ちょっと離れて笹野高史さんと、濃いぃ顔ぶれ(最年少でフレッシュ担当も高岡蒼甫さん。なんか重い)集めて踊る大捜査線的な“強烈キャラが衝突し合いながらチームワークする警察組織もの”か、“流血を避けるべく交渉術を駆使して事件解決するお仕事プロもの”か、はたまた“過去のトラウマや私生活の問題と戦いながら男社会で奮闘する女刑事もの”なのか。

スタッフ間で“ウケそうな方向性”のアイディア出し合って、ぜんぶつなげて企画オン、みたいな感もあり。

2週がかりの立てこもり犯(クワガライジャー姜暢雄さん)をめでたく生かして逮捕、の時点で放送時間が10分あまり残ってるってのはいかにもバランスが悪い。自由でわがままな妹(林丹丹さん)やおバカで手前勝手な女友達(安めぐみさん)とのプライベートな絡みは、この先本筋への重大な伏線でない限り、合わせて1分ぐらいのフラッシュでたくさん。因縁あるらしき死刑囚(にしては髪型が行き届いた城田優さん)とのいわくありげな会話も正味1分でいいな。あとはびっしり、たたみかけるような交渉術で息もつかせぬサスペンスしてほしい。

米倉さんを主役起用の意味解釈も間違っている。彼女の色気は、『けものみち』や『わるいやつら』、はたまた『女系家族』でも見せたように「これだけの美貌とスタイルがあるなら、脱ぐなりしてオンナの武器使えばもっと簡単に行くのに」と思わせながら、使わない(使ってるところを見せない)で巨悪巨敵に向かって孤軍奮闘する姿でこそいちばん萌えるのに、立てこもり犯からの「丸腰だって証拠見せろ」とのエクスキューズはあったにせよ、本当に脱いでしまっては(ヴォリューム的にがっかりという意味ではなく)台無し。ここらへん、米倉さんサイドも、製作側も読み違えていること甚だしい。

連続ドラマは、それほどどこから観ても百点満点の必要はなく、“次も見逃せない”と思わせる要素がひとつでもふたつでもあればいいのですが、それ流でいけば犯人・共犯女性確保の場面で流れた、もろ昭和アクションドラマなBGMが唯一よかったですね。『西部警察』とか、いっそ『キイハンター』『Gメン75』なノリ。あれが毎回クライマックス→大団円シーンで来るなら、やっぱり次回も観ようかな。

昼ドラウォッチャーとしては『新・愛の嵐』『真実一路』の鈴木浩介さんが、陣内さんら後方男性陣の中で、コンピュータエキスパートとしてかなりキャラ立っててくれたのが嬉しかった。「あららーッ!」「おいおい、ホンットーに脱いでるよ!」でモニター前に男性班員、メットの機動隊員一同ワラワラ集まってきて押しくら饅頭になった場面は、リアルタイムお茶の間でもお父さんお母さん息子も娘も爆笑だったろうなと思って録画組月河も腹抱えて笑いました。米倉さんみたいな女性班員がいて、ああいう状況でモニター前で脱ぎ出したらそりゃワラワラなるわなぁ。なかんずく高橋克実さんの必死っぷり、部下が集まってきたの確かめてから「じゃオレもいいよね」ってなタイミングでモニターに目移す陣内さんの様子っぷりが実にいいんだ。こういうベタな笑いどころも毎話1回は欲しい。

せっかく米倉さんが主演してるのに、今度ばかりは役柄上ゴージャス衣装の着せ替えが見られないのは残念ですが、どこかで潜入捜査とかでサービスもあるのでしょうね。城田優くんの化けっぷりも要チェックだし、とりあえず当面視聴継続しますか。

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根拠のない所感

2008-01-17 17:36:16 | テレビ番組

←←左の柱に、スティーヴン・ギャラガーStephen Gallagherの作品『赤い影』『戯れる死者』を載せてありますが、もう1作(て言うか4作しか邦訳が出てない)、『扉のない部屋』(角川ホラー文庫94年刊)という大好きな作品があります。

一応、当時ブームになっていた“ホラー”のくくりで紹介したほうがわかりやすくて売りやすいということで同文庫からの刊行になったのでしょうが、読中・読後感は、モンスターやゴーストや、祟りや呪いの出てくる典型的なホラーとは大幅に異なるもの。

思い切りざっくり広く言えば巻き込まれ型のサスペンスです。

ジム・ハーパーというイギリス人青年が、アルバイトでインターナショナル・スクールのスキー教師の職を得てスイスの高級リゾートへ。セレブ子弟の生徒たちを率いる巨大製薬企業の、青い瞳の令嬢ロシェルに一目惚れ、口説く機会を狙っていたある日、スキー場で転倒し負傷、応急処置を求めて社の研究所に辿り着くが、秘密実験用の犬を監視していた地下室に誤って踏み込んでしてしまったため、警備員に電気警棒で昏倒させられて心停止になってしまう。

本社の責任追及を怖れた所員たちの手で、開発途上の新薬を注射されて心拍蘇生、深夜ひそかに宿舎に運び戻される。部屋の前で意識不明のところをバイト教師仲間に発見され、(所員の偽装工作で)麻薬のオーバードーズと思われて救急搬送、処置を受けて意識は回復したが、事故当時の記憶は途切れ、深刻な睡眠障害と、繰り返す悪夢・幻覚に悩まされる。

母国イギリスに送還されて精神科医の治療を受け、どうにか社会復帰の第一歩に与えられたのが、さびれた海岸の町の、倒産したIT社長邸の留守管理人の職。町で美人図書館職員リンダと知り合い互いに好感を持つが、彼女にしつこく言い寄りストーキング中だったスティーヴと、その事業仲間でコンピュータ・ハッカーのテリーとも顔見知りになり、IT企業の撤退で事業が頓挫し鬱気味だったスティーヴがリンダとジムの仲を曲解、酔った勢いで車ごと海中ダイブし自殺するという事件が。その現場で無惨な水死体を目の当たりにしたのがきっかけで、原因不明のあの悪夢と幻覚が再び襲ってくる…。

もちろん原因は、スイスでひそかに投与された巨大企業製の新薬です。

物語は、ふとしたことから自分の身に起こった出来事を知り、真相を糾明すべく、悪夢の苦しみと戦いながら手負いの身体で徒手空拳、巨大企業の闇に挑むジムの視点からおもに語り進められますが、彼に気のある素振りをしながら、企業の経営権をめぐる財閥一族骨肉の争い(昼ドラか!)の切り札に使おうと画策するロシェルの食えない女っぷり、次第に彼女の本心を窺い知って心をタフにしていくジムの“傷だらけのヒーロー”的成長、図書館員→実は企業からジムの監視要員として派遣された研究員リンダが次第にジムに惹かれ、共闘のパートナーになっていく過程など、コレを“ホラー”に片付けたヤツ三遍回ってワンと吠えろ、って言いたくなるくらい盛り沢山で熟味濃厚な味わいです。

←←左の『何度読んでも新しい』にギャラガーのこの作品を入れなかったのは、パトリシア・ハイスミスの流れを汲む“後味エグ・ニガ路線”からはちょっとはずれると思ったからです。ギャラガーは骨の髄まで雨と霧と湿気の国イギリスの作家ですから、USエンタメミステリ的な、派手にドンパチエロエロの後急転直下豪快に大団円というわけにはいきませんが、ある種「やったね!」と言いたくなる、映画的爽快感を伴うあざやかな幕切れで、彼の邦訳あり他3作とはひと味違った余韻があります。

邦題『扉のない部屋』は、一読すればラストシーンからとられたことがわかりますが、作中繰り返すジムの悪夢のイメージの一バリエーションでもあるのです。

………と、ここまで長々書いてきたのは、ただ、『○○のない△△』というタイトルには看過しがたい吸引力があるものであるな、ということと、その吸引力だけが動機で14日スタートの月9ドラマ『薔薇のない花屋』1話を見てしまった、ということを言うための前フリだったのでした(盛大に爆死)。

野島伸司さん作のドラマとは過去まったく相性がよくありません。93年『高校教師』も94年『人間・失格』も95年『未成年』・98年『聖者の行進』も軒並み序盤脱落。放送前の紹介記事ではアモラルそうで食いついたんだけど。

唯一、途中はどうでもラストだけ突き抜けて気持ちよかったのは94年『この世の果て』ぐらい。

野島さんのドラマに必ず出てくる“性格悪そう美女”に竹内結子さん。これは意外。いまだ元気で笑顔の似合う朝ドラ出身女優のイメージしかなかったもので。雫(しずく)ちゃんを産んで死んだ“彼女”(それこそ笑顔の似合う朝ドラ姫・本仮屋ユイカさん)への思いを秘め男手ひとつで8年子育てしてきた香取慎吾さんを篭絡し破滅させるべく、三浦友和病院長に送り込まれた看護師。眼の見えない演技、香取さんの心を翻弄する悪女演技があまりにうまくて、本当にただの看護師かどうか。

“可愛い子役と、若く貧しい二枚目シングルファーザーの辛酸”で泣かせる路線?と思うからますます気持ちが引いちゃったのかもしれない。北風と太陽のたとえ話は王道だけど、「お母さんは太陽で、雫を抱きしめると焦がしちゃうから、遠くから温めてあげようと思った」ってのはコジツケ過ぎ。野島さんのホンって、いつもこういうイメージがある。さもさも含蓄深そげに見せて、遠回しで思わせぶりで、いつまでたってもピリッと核心をついてこない。純文学体質とでもいうのかな。それで毎作脱落しちゃうんですよね。

ちょっとおもしろいなと思ったのは、香取さんの隣人の世話好き老婦人池内淳子さん。「亡きお母さんの命日と、自分の誕生日が同じなのはおかしいと思うのは当たり前」と雫ちゃんに本仮屋さんの亡くなった原因(心臓が悪かったのに無理して産んだこと)を喋っちゃう、料理がとことん苦手なのにバースデイケーキ(=しょっぺぇ)を作って来ちゃう、ありがた迷惑通り越して、迷惑迷惑。自分でもわかってるくせにそのたびに「ねえ、責めてるの?責めてるのワタシを?」とねちねち託ちごとを言う。迂回した自虐なのか、“感謝されたい症候群”なのか。昭和の数々のドラマで“日本の母”、それも男勝りで気がきいてシャキシャキ勝ち気で、かつ着物美人で色気もあり…というキャラを得意としてきた池内さん、73歳にしての新境地開拓なるか。

釈由美子さんのデモシカムード担任教師、松田翔太さんのホストくずれグネグネいまどき若者は、演技的には意外なくらいの健闘ですが“イロを添える”感じの起用で若干紋切り型。寺島進さんの喫茶店マスターがコメディリリーフ兼“ハラにイチモツ?”含みでちょっと期待をもたせるかも。

ところで『○○のない△△』というタイトルの吸引力…なんて言っても、ふと考えると、『名前のない馬』(アメリカ)と『花見のない森』(松本清張)と『橋のない川』(住井すゑ)と『題名のない音楽会』(テレ朝系)、あとは『過去のない男』(アキ・カウリスマキ監督)『水のないプール』(シェケナ内田裕也)ぐらいしか思い出せないことに気がつきました。

特筆するほどでないことを、手前勝手に一般性ある重大事のように思いこんでいることって多いものだ。……なんだオイ。野島伸司さんの批判してる場合じゃないではないか。

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