イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

社長ごっこ

2008-01-26 19:56:44 | アニメ・コミック・ゲーム

『安宅家の人々』も数えて第3週、25日が第15話。宗右衛門(目黒祐樹さん)夫妻たっての(無茶な)望みで後継指名された宗一(内田滋さん)、社長席に座らせてもらって「回り過ぎデース!」ってはしゃいでますが、それにしてもドラマで“幼稚園~小学校低学年レベルの知的障害”っつうと、どうしてフードつきダッフルコートとリュックサックになるのだろうか。

96年『ピュア』での和久井映見さんの“お色違い”みたい。

視聴者に嫌悪感を催させず陰々滅々気分にさせず、かつしらじらしく嘘っぽいキレイごとに堕さずに“知的障害”を表現するのは難しいとつくづく思います。

知的障害つながりで思い出したわけではないのですが、確か一昨年『偽りの花園』放送中、東海テレビの公式掲示板にアクセスしたところ、「ドラマ化してほしい小説・漫画・映画などはありますか?」というアンケート画面が出てきたので、昭和40年代前半『週刊マーガレット』に連載され、終了後単行本化もされていた武田京子さんの『愛のひみつ』という作品を挙げてみたことがあります。

昭和40年代前半というと、月河が小学館や学研の学年誌に飽きてしまい、いちばん少女・少年漫画を読んだ時期だったと思います(40年代も中盤になるとそれも飽きて、創元推理や角川・ハヤカワなどフル活字文庫を荒らしていくことになります)。

おおむねは当時、市内で日用雑貨とともに雑誌も売っていた親戚宅や、月に12度は親について行った理容・美容室や病院の待合室で細切れに読んでいたのですが、たまたま本屋さんで「単行本1冊ぐらいなら買ってあげる」と言われ、あまり考えなしに「前に週マでちょっと読んだことあるコレを」と選んだのがこの作品でした。当時の月河はたとえば週マ連載陣で言えば西谷祥子さんや水野英子さん、本村三四子さん辺りのバタ臭い絵柄のほうが好きで、どっちかと言えば日本的で地味めだった武田京子さんの作品が特に贔屓だったわけではないのですが、複数巻にわたる(当然高額で「そんなに高いのはダメ!」と怒られそうな)大長編でなく、1巻にまとまっているからこのへんで手を打とうと、子供心に親に気い遣ったんでしょうな。

国籍不明の“睫毛のなびく瞳にお星さま”少女があふれる週マの中では、昭和同時代舞台の日本ものだけをひたすら書いておられた印象の強い武田京子さん。めでたく買ってもらって手にした当該単行本の表紙は、珍しく華やかな向日葵黄色基調だったと記憶しています。

かれこれ40年近く前の刊行、手元に取ってありゃ話が早いんですが、そうしてないから忘却の淵を渡り脳内捏造の峠を越えて、遠い記憶をたどる話になります。例によって、原典ドンズバ保存されてるかた、正確な資料ありのかたがいらっしゃいましたら訂正ご指摘などいただければ幸いです。

主人公は両親を早く失い遠縁のケチなおばさんに引き取られて、そのおばさんの営む大衆食堂でタダ働きこき使われる毎日を送る少女・和子。どうですかお客さん。昭和40年代前半でなければ少女漫画のヒロインに絶対なれない役名ですよ。“昭和”の和の“和子”。

「中学さえ卒業したら、あんな家は出て、住み込みの仕事を見つけて夜間高校へ行く」のが夢です。ああ昭和。

ある日屋根裏の部屋へ、「お願いかくまって」と身なりのいい、強腰の娘が飛び込んできます。彼女は豪邸に住む金持ち令嬢・美樹。お抱え運転手と監視役の召使をやり過ごしたあとふたりつくづく顔を見合わせ、美樹が和子の低めツインテール“お手伝いさん結び”をほどいて「こうすれば…」ふわっとさせると、背格好も顔立ちも瓜二つ。

まぁいまも当時も、少女漫画のキャラって同一作者なら髪型服装以外顔立ちはみな似かよってはいました。

翌朝和子が目を覚ますと、美樹は「一週間入れ替わってみない?あなたの洋服を借りて行きます」の書置きを残して姿を消しており、捜索に訪れて瓜二つの和子を美樹と思い込み連れ帰ると言い張る豪邸スタッフを目の前に「この子が確かにお嬢さんだというんですね?だったら一晩大切にお預かりしたお礼ぐらいいただきたいもんだね」と欲の皮突っ張ったおばさんに嵌められて、和子は一週間豪邸で美樹として生活するはめに。

物語はこうして、心ならずも貧しい孤児から期間限定で豪邸の令嬢となった和子の“セブン・デイズ・ワンダー”として展開します。

『偽りの花園』も、捨て子と名家のご落胤との一種の『とりかへばや物語』だったので、公式にアクセスしたとき「そう言やアレも昼ドラに向くかも」と約40年ぶりに思い出したのかもしれません。

『安宅家』のダッフル宗一とどこでつながるのかは、また明日以降ここで書きたいと思います。

コメント (2)
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