イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

殺しながら生かす

2008-01-06 20:22:05 | テレビ番組

地デジ受信で月河いちばんの期待アイテム、高齢家族の聴力に優しい字幕放送。さっそく恩恵に浴してますが、マヌケなふしもありますな。

昨日の午後、まだ正月休みの続く非高齢家族がヒマにまかせてSP本放送済みエピ“テロリストを排除せよ”“元総理を救出せよ”の再放送を見てえへらえへら笑ってるので、あのドラマの何がそんなに可笑しい?CMの多さ?CMまたぎの深さ(CM前のくだりを、CM明けかなり長々リピートする)?と思ったら、字幕って台詞だけじゃないのね。

台詞なしで音楽だけ流れている緊迫した場面に限って、8分音符(か16分音符)にヒゲ“~”の付いた脳天気なマークがずーーーっと映っている。

“♪~”ですからね。いま犯人と接触するか?感づかれるか?食うか食われるか?ってとこなのになんか、漫画文法的に読むと、「画面が鼻歌歌ってる」んですわ。

それに、耳だけで聞いてるとなんてことはない井上(岡田准一さん)の「~いいっすか?」「~しないっしょ」口調、笹本(真木よう子さん)の「~だぞ」「~してねぇよ」男口調も、いちいち字幕に拾われるとえらくワザトラで、キャラ作ってるように見えますね。シリアス度6割引き。

うちの非高齢家族みたいにイタズラ半分で要りもしないのに字幕付きで観てる手合いが視聴者の中にどれくらいいるかわかりませんが、ここ45年のTV、大人のしっとりしたドラマやシリアスロマンなお話がめっきり退潮気味で、猫もシャクシも漫画原作のコメディタッチに走る趨勢の原因がここにもあるような気がします。漫画ならもともと台詞が印刷されたフキダシネームだから、字幕で拾われても原型に戻るだけで違和感はないわけ。

夜は高齢家族が『鹿鳴館』(テレビ朝日系)視聴中を月河も仕事の片手間で2200過ぎまでチラ見。田村正和さんを06年正月の『古畑』ファイナル以来2年ぶりにTVで見ましたが、容姿より声の衰えが気になりました。もともと阪東妻三郎さんのジュニア3兄弟(芸能人にならなかった次兄も入れて実際には4兄弟)の中でも、華奢で迫力に欠ける体格と通らない声質が役者向きでないと懸念されていた人。トレードマークの襟足長めにソフトパーマの髪型をオールバックに撫でつけ、“どこが明治だよ”なんてぇツッコミを野暮にするさすがの存在感でしたが、声ばっかりはねぇ。ご本人の摂生と音声技術でカバーするのも限度があるかも。

三島由紀夫の原作未読で言うべきじゃないかもしれませんが、影山伯爵、顔の頬傷は“有能で悪いヤツは異形であるべき”という作劇上の鉄則から言うともっと目立つ、二枚目の容姿が台無しになるくらいの大傷でなければという気がする。

黒木瞳さん筆頭の女優陣のバッスル舞踏服姿も、物語の文脈からするとちょっと板につき過ぎ、キレイ過ぎ。和服しか知らない、幕末育ちの名士夫人たちのこと、慣れぬ洋装でワルツなど“サル踊り”と揶揄されていた通り、もっとゴヤ的に醜悪で寒々と失笑を誘う姿だったはず。

80年代前半、バブルのピークを待たずすでに結婚披露宴のお色直しはおろか、短大の卒業謝恩会クラスに至るまで面妖な極彩色のお姫さまロングドレスが定番になりつつありましたが、団塊世代のお兄さんお姉さんたちから「最近の若い連中は脚が長くて腰が高い」と羨ましがられかたがた白い目で見られていた月河ら“新人類”年代ですら、洋装のドレスアップはいま当時の記念写真などで贔屓目抜きの冷たい目で見れば借り着まる出しで、お世辞にも似合う、着こなせてるとは言えなかった。まして数世代前の明治の名士夫人・子女においてをやです。

影山の腹心・飛田天骨も橋爪功さんじゃ知的過ぎ。主君役の田村さんより小柄な人をということでのキャスティングでしょうが、もっと裏社会的にトッポイ人のほうが合ってたんじゃないかな。ここはユースケ・サンタマリアさんか、いっそビートたけしさんに振るぐらいの冒険してほしかった。

同じ枠裏の『ザ・ドリームマッチ’08』(TBS系)は録画視聴。05年が第1回で、今回第4回だそうですが、なんだかどんどん“こうなってくれればおもしろいのに”から遠ざかっている感。沖縄三味線にラップとか使ってムダに派手な出囃子、時間取り過ぎのフィーリングカップルのくだりで早々と眠くなってしまいました。

この企画「息ピッタリ!」「もっとこのコンビでネタ見たい!」ってなれば成功なのかと思いきや、第2回ぐらいでわかったのですがそれとまったく真逆の狙いなんですよね。

3人をフッた遠藤をフッた雨上がり宮迫”の「気持ちいい!」、その宮迫をフッたさまぁ~ず三村の「二度フッてやったぜ!気持ちいい!」、ダウンタウン松本の「ボクまったく誰にも相手にされてないんですけど!?フる訳でもフラれる訳でもなく!」以外あんまり笑い所がなかった。

本ネタも前回に増して一層ヘアメイクにもセットにも凝って、ネタ制限時間もグズグズだし“段取り感”“お手盛り感”まる出しでしたが、中ではロンドンブーツ亮とハリセンボンの初トリオがちょっとおもしろかった。

ハリセンはるか「こうなったら私のお得意のお色気作戦で決まりね」同春菜「ないよ、お色気ないよ」亮(←女装)「3年ぶりね」はるか「まだ腕はなまっちゃいないわ」亮「じゃあ見せてもらうわ」春菜「3年前何があったの?」で軽く笑いました。先輩のはずの亮のカミカミを、ハリセン春菜のツッコミパワーの絶対質量でどうにかもたせた。

ベストカップル出川哲朗・さまぁ~ず大竹は妥当なとこでしょう。審査委員長志村けんさんが、大声リアクションキャラ出川を「静かに静かに」って文脈に押し込んだ勝因をよく見抜いた。大竹の潜在能力は底知れませんな。

正月仕様の撮り貯めおせち番組もそろそろ食傷気味。再放送『真夏の薔薇』の続きと、7日スタート『安宅家の人々』の月~金リズムが恋しくなってきました。

『真夏~』のOPスタッフクレジットには、『危険な関係』以下背徳三部作の風岡大プロデューサーも“プロデューサー補”として名を連ねておられます。“補”当時にやりたかったこと、できなかったことが後日開花、実を結んでの『危険』『美しい罠』『金色の翼』だったのだろうなと思います。

新作の『安宅家』は、東海ドラマ独特の長くクサめの台詞をどの程度字幕が拾うか、拾われたらどんな印象になるかを観るのも、地デジ環境になった今年初の楽しみなのですが、この時間はもっぱら録画頼み。リアルタイム視聴は3月いっぱいまでの何日できるのだろうか。

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