自宅から路線バス3区間半ほどのところに、かつてS友グループだった総合スーパーがあるのですが、S友が手をひいて経営者交替してからというもの、品揃えがまったくわけわかんなくなってしまいました。SUNTORYの冬季限定“琥珀の贅沢”、先週11日にはリリースされているはずなのですが、目を皿のようにして探してもどこにも無い。
自宅近辺のコンビニに並ばないのはなんとなくわかるんです。330mlじゃケースの容積的に半端でしょうがないでしょうよ。中小店では冷蔵スペースも限られていますからね。350ml缶比で、直径一緒で高さを削ったのか、はたまた高さはまんまで“細く”したのか、現物確認できないから知るよしもないのですが。たぶん前者でしょうな。
そういう流通上のメンドくささも含めての“レア感”“スペシャル感”演出なのか、量目は20mlほどケチったけどAlc.6%で長期熟成でアロマホップでロースト麦芽で(←秋にもどこかで聞いたな)、他社の350ml製品より満足できますよという自信の表れなのか。ネットでさらっと評判見てみると、薄めで軽めで水っぽめのイメージが強いSUNTORYの新ジャンルにしてはしっかりした味で香りも立っている、季節限定でなく定番にしても…と概ね好評のようですが、とにかくもう少し、売ってるお店を増やしてくんないと手も足も出ません。
世間やネットの評判って、こと泡モノに関しては自分の“実飲”所感と、おそろしく一致しないものです。一缶飲んで白黒つけてみないことにはネットでカートン買いケース買いもできないですしね。
さて、好評放送中『Xmasの奇蹟』の後、年明け1月5日(火)スタートの同枠新作も発表になりました。
『インディゴの夜』、加藤実秋さんの創元推理短編賞も受賞した人気シリーズが原作で、花形キャリアウーマンの夢破れたアラフォーヒロインがひょんな経緯でいっぷう変わったホストクラブの雇われ店長となり、それぞれに個性的な若いホストたちと衝突しながらも、次々舞い込む難事件・トラブルを解決して行くという、やや漫画チックながらなかなか魅力的な舞台設定ですよ。
1週5話ずつ完結というフォーマットもスピーディーそう。あくまで脚本がきっちりいい仕事をしきれればという条件つきですが、この枠の3ヶ月クール作で常につきまとってきた“中だるみ”“堂々めぐり”のリスクも低減できそうです。
ヒロイン・晶役はこの枠90年代の傑作『風のロンド』で実績ある(ついでにウエラのCMもオンエア中の)森口瑤子さん起用と安全策チックですが、ホストクラブものとあって共演にはイケメン俳優くんを惜しげなく投入しました。ドレイク加藤和樹さん、ギャレン天野浩成さん、アバレキラー田中幸太朗さんにゴーオンゴールド兄貴徳山秀典さんに、夏みかん森カンナさんも紅一点。日曜朝のスーパーヒーロータイムを一週間の締めくくりにもスタートにもしている大きなお友達にとっては、なんだか“豪華”を通り越して“陰謀”とすら言いたい陣容です。
男子校やその部活、ある種の国家や軍隊組織、今作のような水商売など、妙齢男ばっかりの舞台を設定したドラマを指して揶揄的に“イケメンわらわら”なんてよく言われていますが、月河にとってのイケメンわらわらドラマは特撮の02年『龍騎』から03年『555』、04年『剣(ブレイド)』までですでに駄目押しが終わって久しい。後にも先にも、出てくるヤツ出てくるヤツ、正義も敵も怪人も全員キュンキュン来させ、バトル勝ち負けへの興味に優るとも劣らぬキュンキュンテンションを最終話まで維持し続けた(しかもバトル部分が、キュンキュン来ることによっていささかも水をさされない!)連続ドラマはあの3年間の3作以上には出ないでしょう。
ゴールデンタイムのOLさん向け娯楽ドラマにおいても、そろそろ底が割れたその“イケメンわらわら”を、2010年の昼帯でやるというのもいまさらな気がしますが、それにしても今年の春、年4作各3ヶ月クールの慣例を取っぱらって、年6作体制を発表してからのこの東海テレビ制作枠は、“芸能界バックステージ(『エゴイスト』)”“純愛(『夏の秘密』)”“中島丈博脚本(『非婚同盟』)”に、“母もの(『嵐がくれたもの』)”“韓流(『Xmasの奇蹟』)”ときて、さらに年明け“イケメン”と、主要客層の大人女性にハズレのない古典的なタマを“なりふり構わず置きにきて”いる感。これはこれで「攻めてる」と言っていいのでしょうかね。
ついでのように引き合いに出して失礼の段はひらにご容赦願いますが、先日96歳の天寿を全うされた森繁久彌さんの追悼放送で、過去の出演作、出演番組、出演シーンがいくつも再放送されました。もちろんそのすべてをチェックしたわけではないけれど、確かに80歳を超えても才気あふれ、風刺諧謔の毒気の出し入れも抜群、トークでも打てば響く受け答えで、“枯れ過ぎない”のが魅力の素晴らしい俳優さんであり、顔出し芝居のみならずラジオドラマやアニメの声の演技、歌も作詞作曲までこなす“芸の人”だったことは認められるにしても、正直平成21年のいま観返すと、芸も存在感も若干のトゥーマッチ感が否めない。いくらコミカルに、軽快に演じていても、軽快なりに巧すぎ、濃すぎ、達者過ぎるのです。
TV放送も半世紀を越え、良いドラマ、おもしろいドラマ、惹き込まれるドラマを期待する観客の気持ちに昭和も平成もないと思いますが、“ものすごく芸能の能力に秀でた人の、持てる能力を出し切った、圧倒的な入魂の演技”を連日連夜、毎作毎作観たいかと訊かれれば、ちょっとなぁ…と躊躇せざるを得ない。
もちろんお茶の間で寝そべったりお菓子やお酒片手に観られて、そのまま途中で寝ちゃったりしてもいいTVと、前売り券買っておめかしして出かけないと観られないお芝居や劇場映画とでは、望むコンテンツもテイストも違ってくるでしょうが、どういうドラマが“おもしろい、惹き込まれるドラマ”なのか。
特撮や雑誌モデル出身の若い子たちが流行りの衣裳ヘアメイクで決めて、学芸会的な台詞の応酬する“イケメンわらわら”も、「稚拙だけど、ベタだけど、目の保養になるでしょホラ」な“置きに行く”姿勢も、あながち否定され軽んじられるべきではないのかもしれない。大正生まれの昭和の名優が逝って、失ったもの、求められるもの、いろいろ考えさせられたこの一週間ではあったのです。
ところで、イケメンイケメン言ってるのもなんだからってわけではありませんが『インディゴの夜』、舞台のホストクラブ“インディゴ”のオーナー役で、『相棒』の鑑識米沢さんでおなじみ六角精児さんもレギュラーインです。リンク先のフジテレビのニュースページトップの写真で、前列で森口さん加藤和樹さんと並んで、ひとり幅寄せ…じゃなくて、その…貫禄出しているから、原作者か監督か、プロデューサーさんかと思いました。これまたひらにご容赦を。あちらもこちらも多シーン出ずっぱりというわけではないから実現したのでしょうけど、Season 8との兼ね合いはオッケーだったのかしら。