イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

ファンキータウン

2009-11-10 18:05:19 | 朝ドラマ

前季のNHK朝ドラ『つばさ』サウンドトラック、最近の早起きライフのお供にさっそく欠かせなくなりつつあります。NHKの、ドラマのサウンドトラックは初体験なのですが、朝ドラらしく潔く“(あさかん)”全開なのがまず好ましいですね。

朝ドラのサントラももちろん初体験ですから、他の作品のそれと比較することはできませんが、決してベタに“朝らしい”さわやかな曲や軽快な曲ばかりではない。

M10『閉ざされた記憶』のミステリアス、M23『大切な想い』の荘重ドラマチックもあれば、M12『その男、斎藤浩徳』なんか完全に深夜のノリだし、M11『夕焼けの川越』のように、タイトルからして直球で夕飯どき志向の曲も入っているのですが、すべては“朝にして想ふ夕”であり“朝にして想ふ深夜”として成立している。

どの曲から聴き始めても、どうシャッフルしても朝にふさわしいように、朝の気分に合うように作曲され、アレンジされている(もちろん午後に聴いても夜中に聴いても、良曲揃いに変わりはないのですが)ことに、朝ドラサントラビギナーとしては感動してしまいますね。

朝感を両脇から支える右大臣と言うか“右陪席”格は“(そらかん)”。

『つばさ』のタイトルに似つかわしく、空へと飛翔する感じ、空を仰ぐような感覚、広い意味で空気感と言ってもいいのですが、M03『大空に向かって』M16『誰にも言えず…』M17『つばさ広げて』など、聴く人すべての心の視界に“それぞれの空の色”“空へと向かう空気の匂い”が見え、肌に感じられると思います。

“左陪席”はこれも朝ドラサントラならではと言うべきでしょうか、“お台所”。

家族で囲む食卓のくつろぎや、懐かしいおふくろの味の匂いが漂ってくる音色とリズムですね。母親加乃子さん(高畑淳子さん)は、家庭的と対極の“ホーローの母”、青春真っ盛りの娘つばさ(多部未華子さん)が“ハタチのおかん”という逆転母娘に、老舗の跡取り娘でやっぱり家事能力はさっぱりなお祖母ちゃん(吉行和子さん)、菓子職人の腕は一流かつ元・極道ヒットマンのお父さん(中村梅雀さん)、世話好き妹気質の優しい弟(冨浦智嗣さん)と、“お台所”との関わり方が何から何まで型どおりでなかった甘玉堂一家。M04『愛すべき人々』、M05『困った母』M14『あら、大変!』といった、おもにアルバム前半の、千切りonまな板のような、煮立つお鍋onコンロのような愉快なリズムをお楽しみあれ。これぞ甘玉堂…もとい玉木家の家風。

つばさが一生懸命つとめてきたおかんのお味噌汁の香りも、10年ぶりに突然帰ってきた加乃子さん製「なーんかやってるうちに、何とかなるのよ、ときどき(←しょっちゅうだろ!)なーんにもなんないときもあるけどー!」っていうオリジナル創作料理のアヤしい匂いもする。型に嵌まらないということに自分で手を焼き、厄介がりつつも、そのことを楽しんでもいる家族たちのドラマ。サントラもそういう“自由かつヘンテコ”な味を実にうまく“音楽の料理”で出している感じ。

技術的なことはよくわからないのですが、作曲の住友紀人さんがセルフライナーノーツで書かれてもいるように、ユニークな楽器の、ユニークなフィーチャーのし方も魅力のひとつだと思います。M04『愛すべき人々』のシロフォンのような音、M10『閉ざされた記憶』のエスニックな郷愁ある弦楽器を始め、どんな楽器でどんな奏法をしてこの音が出るのか不思議に思う節がいくつかあります。スタッフ・ミュージシャンクレジットなどライナーノーツ末にかなり親切に書かれているほうだと思うけれど、いま一歩踏み込んで、曲ごとのフィーチャーも表示してくれると一層ありがたかった。

好きな曲を挙げて行くと切りがないのですが、個人的なお気に入り一番は、M02『元気な甘玉堂』、全体としてマーチになっているんですよね。景気づけのように入るシンバルと、後半ずっと沿道に愛想を振りまくかのように鳴り続けるトライアングル?ハンドベル?の音がキュートで、組曲『くるみ割り人形』なんか思い出します。

劇中劇、番組中番組ならぬ、“サントラ中サントラ”になっているM15『ベッカム一郎の「朝イチ豪快シュート!」』もいつ聴いても愉快。聴きながら「ここで“今日の話題フラッシュ”、ここからBGMヴォリューム下げて本題トークね」とディレクターになり代わってキュー出したりしちゃいますね。写真誌パパラッチ暴行で仕事干されてやさぐれたときのほうがカッコよかったという噂もある(ないか)ベッカム一郎(川島明さん)、お昼番組『GOGO!もBANGBANG!ハットトリック』、夕方番組『You gottaオフサイド!』もやっていたはずですが、どんなテーマ曲だったのか聴いてみたい。

…それにしてもこんなに年中ベッカムのDJ番組ばっかりやってるってことは、ラジオぽてとどころじゃない人材払底のラジオ局じゃありませんか。

後半M1921のヴォーカル3曲は、どれもサントラの域を超えて独立した楽曲として成立する。19Prayer on the hill』は、未来戦闘もののアニメのエンディングなんかに流れたら自動的に泣きそう。20NAOMI come back!』は、なつかしいヘドバとダビデの1970年頃のヒット曲『ナオミの夢』を下敷きにしているのでしょうけれど、和製GSサウンドの匂いもあるし、月河なんかなんとなーくオーロラ三人娘(@『巨人の星』)に歌わせてみたい気もしました(その前に月河がカラオケGOGO!しそう)。

M22『周波数を探して』のほのぼのお伽噺具合もいいですね。斎藤社長(西城秀樹さん)に命じられたつばさの川越キネマへの、嫌々立ち退かせ訪問で尻に火がついた真瀬(宅間孝行さん)が突如やる気を取り戻し、つばさにアンテナを持たせて周波数を探し野っ原を歩き回る場面は、このドラマ全篇でいちばん好きだったかもしれない。真瀬のダサいダスターコート姿も『ベルリン・天使の詩』みたいだったし、ラジオというものがお伽噺の魔法のように見えました。

これまたドラマ中ドラマ、劇中劇曲とも言うべきM24『おはなしの木』、M25『婦系図2009』は、逆に、劇中劇曲でありながらドラマ“本体”にもしっくり合っているのが素晴らしい。“劇中劇のための劇中劇”ではなく、おはなしの木の物語も、婦系図のお芝居も、ドラマの中に是非必要なものでした。前者は爆弾ちゃっかりガール優花ちゃん(畠山彩奈さん)の「お着替えするからデテッテー!!」を、後者は千代子お祖母ちゃんの名演技に袖から「よっ日本一!」を叫ぶ梅吉お祖父ちゃんゴースト(小松政夫さん)を、それぞれ想起しつつ聴くのがナイス。

欲を言えば、『ベルリン・天使の詩』ついでに、つばさにしか見えない(=つばさの心の内にだけ存在する)設定の、ラジオ男(イッセー尾形さん)のテーマも1曲欲しかったですね。

ジャケの裏を返せば、川越の、古風で端正な中にもアットホームな家並み。最近当地では、80年代にスタートしてかれこれ20年ぐらい続いた火サスの人気シリーズ『監察医・室生亜季子』がときどき午後の再放送枠で流れるのですが、旧宿場町、交通の要衝だった頃の面影を残す素敵なところですね。

東京に住んでいた頃、栃木の小山までは北上したことがあるのですが、埼玉はまるっと素通りだった気が。意外と埼玉って見どころが看過されがちですよねえ。東京在住だと近すぎて、気候風土もさしたる違いもなく、用事がなければわざわざ探訪するほどじゃないと思えてしまうし、地方在住者から見ると、東京や、横浜の神奈川、ディズニーランドの千葉などを“さしおいて”、熱烈に憧れ興味を持つほどでもない。

朝ドラのロケ地として全国47都道府県の最後まで残っていたというのもちょっと頷けます。もったいない話。『つばさ』サントラをお供に川越散策…と行くには当地からは関東地方自体が遠隔なので、せめて関東~中部在住の皆さんにはもっと興味持って訪れてほしいと思いますね。

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ツンツンドラドラ

2009-11-07 20:46:56 | 夜ドラマ

『不毛地帯』5日に第4話。旧日本軍のエリート参謀タイプというより、どうも小器用才子、偏差値優等生のイメージが強かった唐沢寿明さんが一転抑制的な演技を見せていて、依然水準以上のテンションは保っているのですが、回を重ねてちょっとちぐはぐと言うか、もったいないふしも目についてきました。

小出(松重豊さん)の出番は3話で終わりかな。伎楽面のような不気味な愛想笑いに隠したエリートへの憎悪とコンプレックス、壹岐とは違う“負け犬の牙”的な静的な芝居で、松重さんにも新境地だったと思うし、自分をトカゲの尻尾扱いにして上首尾にラッキード製機売り込み成功した近畿商事航空機部の面々が、里井支店長(岸部一徳さん)の音頭で寿司を囲みビールで乾杯しているとき、切られた小出がどこでどんな表情をしているのか、1カット拾って挿入してもよかったのではないでしょうか。演出としてベタになるかもしれないけど、松重さんほどの“大物のクセ者”俳優さんを、利用される負け犬に使っているんですもの、それぐらいくすぐりサービスしましょうよ。第2話で、G資金円転換の舞台となっている銀行口座を突き止めるべく壹岐の手足となって細かい動きをするくだりは、長身でコワモテの松重さんが小出、永遠の父っちゃん坊や唐沢さんが壹岐だからおもしろく見ごたえがあった。

もちろんこの作品、平和な時代の企業ドラマ、お仕事ドラマではなく“戦争と人間”ものであることは確かなのですが、戦争は戦争でも終わった戦争で、人物のそれぞれに内面化されている戦争ですから、やはりここは軍人転じて企業戦士間の“どちらが勝つか負けるか”、原作ものだから勝ち負けがわかっているにしても“どう勝つか、どう負かすか”という、対戦バトルもののスリルがほしいところ。

古田新太さんがまさかの空自制服で登場したのもサプライズだったので、戸建てマイホームの夢と、高級クラブの酒色に迷って道を踏み外したしがない制服組の末路、もっと見せてほしかった。川又空将補(柳葉敏郎さん)の覚悟の自殺と、その残した波紋に第4話は時間を割きましたが、川又の、書体に喩えれば楷書のような生き死に様と、芦田のあまりに生臭い自滅っぷりは好一対になったはずです。

壹岐と同じ抑留復員組の、元関東軍幹部谷川役・橋爪功さんの出番も少ないですね。原作に忠実に作られているようだからこんなものかもしれないけれど、人物の情熱のベクトルに気持ちを沿わせて、快哉を叫んだりハラハラしたりしながら観ていくということができにくいドラマではあります。

「主役じゃないけど、この人が登場する場面が楽しみ」と思える、“持って行く”人物がひとりでもいると、物語世界の立体感や色彩感が格段に違ってくるんですけどね。同じ山崎豊子原作ドラマで言えば、唐沢さん版『白い巨塔』では財前又一=西田敏行さんが抜群だったし、木村拓哉さん版『華麗なる一族』はだいぶ苦しかったけど、ヴィジュアル的には万俵長女の夫にして大蔵官僚の美馬役・仲村トオルさん、キャラ的には知性とエロティシズムを備えた美しき女バトラー高須相子役・鈴木京香さんでかなり救われました。

企業戦士モノつながりでNHK『ハゲタカ』では、ホライズンインベストメントの中延さん役・志賀廣太郎さんですね。いろんなドラマでおなじみの美声もさることながら、1話で三葉銀行の不良債権を調査するために、金髪女子社員と客を装ってラブホに入る場面からもう釘付け。「最後まで鷲津の味方でいてくれますように」と願いながら見守っていました。

『不毛』はドラマキャストとしては当節例を見ないくらい粒揃いなのですが、そういう“持って行く”キャラが不足。近畿商事大門社長役の原田芳雄さんがいいなと思っていたら、意外に登場場面が少ないし、「大阪発の、糸ヘン商社のトップにこういうタイプいそう」と頷かせた後、そこからさらに“持って行かれる”までの奥行き展開もない。呑ん兵衛とか食いしん坊とか、エロとか、何か絵的な属性付けたらいいと思うんですけどね。財前又一に「ヅラで、気にしていて、よくズレる」という属性を加えたのは西田敏行さん自身からのアイディアだったそうですが。

このドラマで好感が持てるのは、青黒みがかった画面の質感。ガラス越しに見ているような、一度凍らせて解凍している途中のような、独特の空気感があって、極寒のシベリア凍土から始まり、その影と冷気を引きずり続ける物語にふさわしいと思います。

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ノックしてターン

2009-11-06 19:57:33 | 昼ドラマ

1週が終わろうとしていますが、Xmasの奇蹟』に、我ながら驚くほど惹き込まれません。この枠『危険な関係』その他でヒロイン実績ある高橋かおりさん主演の甘美なラブファンタジーとの触れ込み、良い意味でベタな泣かせが見られそうと期待していたのですがね。

まず“謎の覆面ピアニスト”というファンタジー仕様ツールの扱いがスーパーなおざり。ひとりの若手ディレクター(岡田浩暉さん)が大手レコード会社を辞めて、恋人の女性宣伝部員(高橋さん)をも辞めさせて、新会社を立ち上げるまでに惚れ込んで売り出そうとしていたアーティストについて、1年余りにもわたってファイルもノートも、連絡先を書いたメモ用紙ひとつ残さず、自分ひとりの胸にしまったままCDリリースや販促活動、デビューコンサートのハコ押さえができるなんて、どうしても考えられない。

まぁ敵(=業界ライバル会社やマスコミ)を欺くにはまず味方からということもあるし、謎のピアノマンのCDの上がりだけで新会社が立ち行くとも思えず、そもそもこのディレクターと宣伝部員カップル、同じく前の会社から引き抜いてきた(あまり敏腕そうにもやる気ありそうにも見えない)営業くんと、あとは宣伝部員の妹である事務員(月河期待の蒲生麻由さん)だけで、事務所経費払って、給料払って黒の出る会社経営できていたのかなんてこともファンタジーのうちと思って、こちらもスーパー大目に見るとしましょう。

問題はその“ファンタジー”自体が、なんとも志低く小スケールで、新鮮味に欠けるにもほどがあるということ。

はっきり言ってしまえば韓国ドラマっぽのです。っぽ過ぎるのです。

新ドラマや新作映画を見ていて、序盤で「あ、この設定、このストーリー、過去作の『○○』に似てるな」と思うことは珍しくなく、思ったからといって作品として致命傷になるわけでもなく、展開のひねり方やキャラの立て方、俳優さんの役の読み込み膨らませ方などで、最終的に「似てるけどこっちのほうがずっとおもしろかった」とめでたく好評を獲得することもできます。

しかし『Xmas』、華やかな音楽業界舞台・バリバリ働くヒロイン・幸せの絶頂で恋人事故死・見知らぬ青年として現われる恋人人格・亡き恋人の親友の誠実なる横恋慕…などの設定モチーフだけではなく、人物の、男女ともに流行先端業界人たちにしてはいまいち貧乏臭く古めかしく、キリッと感のないヘアメイクや衣装、昼ドラ常套“行きつけの店”であるバー“ノクターン”の、せせこましく煮込み臭いしつらえ、全体に妙に黄色っぽく平板な照明など、立ちこめる空気が隙間なく、平日の1000台や1500台に再放送されているような56年前製作の“現代もの”韓国ドラマを思い出させるのです。

韓国ドラマについて多くを知らないのに大きなことは言えませんが、日本でかの国のドラマが人気したのは要するに“とりたててものすごく斬新なところがひとつもない”からだと思うのです。日本のドラマ視聴者がもともと持っていた“メロドラマ好き”“ベタでダサな泣かせ好き”の琴線に、ほどのよい飢餓感を伴ってタイムリーに触れた。日本のTV局や制作会社が「陳腐だし、当節もう飽きられただろう」「いまどきこんなのやったら他社に笑われる」と長いこと物置にしまっていたネタ、モチーフを“いまさら”臆面もなくご披露してくれたから、「そうそう、こういうの、見たかったのに最近なかったのよー!」と入れ食いで食いついてくれる客が思いのほか多くいた。

しかも、六本木で酒飲んでブイブイ言わせたり、グラビアモデル連れてマンション入って写真誌に載ったりすることのない韓国の俳優さんたちは、かつての銀幕スタア並みにほどよく神秘性があって有り難味もありました。

 言わば市場の“気がつけば意外と深く広いニッチ”に嵌まったに過ぎない韓国ドラマを、日本のドラマが(それこそ)“いまさら”まるなぞり、まる追いかけとはあまりに志が低すぎませんか。ラブ“ファンタジー”という謳い文句も、要は“あり得ない設定をアリにさせる”ための免罪符にしか聞こえません。

ファンタジーと銘打てばどんなにはちゃめちゃで噴飯な設定も展開も通用すると思っているのだとしたら、ファンタジーという概念を冒涜しているとさえ言える。ファンタジーとは既成の価値観や予定調和を想像力の飛翔で突き抜け無限に上昇する、創作創造における至高の高みなのに。

「大丈夫か、昼帯」

…同枠前作『嵐がくれたもの』のあまりと言えばあまりな最終話も込みで言わせていただきます。TV界でいちばんこの枠を贔屓にしている月河としては、結果的にはちゃめちゃになってもいいから、もっとオリジナルで、もっと魂の入った、もっと“攻めてる”ドラマを観せていただきたいのですが。

………まっ何だかんだ言っても、横恋慕親友博人(大内厚雄さん)のズレっぷり、『非婚同盟』三原じゅん子さんの“ツッパリでない版”のようなノクターンミツコ(白石まるみさん)の“半分親身、半分好奇心”っぷりは楽しいですよ。白石さんと火野正平さんが昔なじみのわけありかぁ。

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グラフィックデザイナー

2009-11-05 23:54:24 | お笑い

政界でも稀に見るカタブツくんだという岡田克也外務大臣は、党の衆院圧倒的多数ぶりとは裏腹に最近めっきり顔の上半分のパーツが下がりめになって、M1チャンピオン・サンドウィッチマンのトミー(=富澤)に酷似してきましたな。野党議員から「海上給油はするんですかしないんですか」とかややこしい質問が来たら、ちょっと何言ってるかわかんないって言ってみたらどうでしょう。

……それはともかく、『爆笑トライアウト』1030日放送分を先日やっと再生。今年度に入ってから『オンエアバトル』の言わば二軍として新規スタートしたこの番組、回を追うごとに粒揃いになってきていると思いますが、今回は粒揃いな中にも初見で「(本戦進出)ないな」と思う組と、「あるかも」と思う組が結構はっきり分かれました。

ないなの一番手ハニーベージュは、設定は悪くないし「ジュノンボーイ」はバカバカしくてよかったんだけど「何トレイン?」からどんどん下り坂になり「水は?」「お風呂は?」では極寒になってしまった。地縛霊からだけではなく、肝試しくんのほうから仕掛けて霊をギャフン言わせる流れを作ればよかったのに。

ツートンカラーは結局、“子役なのにもんのすごい老け顔”という出オチ、顔ネタに尽きてしまいましたね。審査員役=ツッコミが笑いを生み出すところがないし、“無駄に美声で歌うま”のくだりに時間を費い過ぎ、オチも弱い。

リトレインは設定がわかりにくい。シュールな笑いを目指しているのだろうけれど、そのことがわかるのにすら時間がかかる。「羊の皮をかぶった羊の肉どもがー!」「ラムチョップ」といったベタギャグでもうちょっと上がるかと思ったら、そこまでの地合いが低体温なのでさほどでもなかった。

レアレアは「~ですぅー!」「~ますぅー!」の、スベッてるときのプラスマイナスみたいなアテツケ口調に終始したのがマイナス。テンポは悪くないので違うネタでもう一度挑戦してほしい。

「あるかも」の6組から、さらに選んで上位2組だけが『オンバト』進出。うーん。クロンモロン2回目の挑戦ですが、前回も書いたけど現役大学生コンビらしい若々しい荒削りさがあまり感じられない。特に、切り返しでテンションアップして行かなければならない「(甲子園)よく行けたな」「オマエ頑張ったんだよ」などの節目でボケがボケ切らずモソモソになり、釣られてツッコみもはじけ切らない場面が多い。全体的にはタカアンドトシを思い出させる芸風なのですが、ひとつひとつのボケが概ね同じ“サイズ”なため、ボケてもボケても同じ地平で、盛り上がって行かないのかも。この組もテンポは悪くないので、チャンスは近いはず。

その点ジグザグジギーは“雪だるま式にエスカレートして行く”月河が好きな系統のネタでしたが、終盤の「オシッコ」連呼で10円安。大した欠点ではないかもしれないけれど、オシッコとかウ○チとかオ○ラとか、“言えばジャリでも笑う”フレーズは使わずに終盤突き抜けるのがプロの笑いというものではないでしょうか。ポメラニアンの名前“トシヒコ”との重層はワザありでしたね。

えーと、これで残り4組か。メンソールライトは、何のこっちゃないユリオカ超特Qの“顔の薄い”ヴァージョン、スマイリーキクチの“微笑んでない”ヴァージョンの芸で特に新鮮味はないんですが、安心して見ていられる。ただ『トライアウト』で披露するには老成し過ぎな分支持は伸びないか。容貌がなにげに立川談志師匠に似ているし、『笑点』演芸コーナー向きかも。

この回いちばん笑えたのがスカイラブハリケーン。実は録画チェックに先んじて、放送リアルタイムでラジオで音声だけ聴いていたのですが、「シャンプーじゃない!」の積み重ねを、ツッコミがしっかりツッコミ切れていたのが大きい。ツッコミのこの声だけで、どんなボケをかましているのか絵が浮かんできましたから。クロンモロン辺り同様、ボケの“サイズ”は一貫して一本調子ではあり、録画で絵を見ると、『オンバト』本戦常連組のスマイルやオードリー、タイムマシーン3号、響などと似た“キモカワ”キャラ押し路線のようでちょっと失望しました。この組もリズム的に夜明けは近そうで、キャラ押しが本戦でどう評価されるか、早く見てみたい。

えーとえーと、あとはシャングリラ。男21のトリオコントは珍しいし、3人が3人ともコント演技力は水準以上なので安心して見ていられましたが、安全パイ過ぎて、メンソールライト同様ちょっと“若手中の若手”らしいはっちゃけが足りない気もしました。

うしろシティは今回の10組の中で、ネタの完成度はいちばん高かったと思う。冒頭のニュースのナレーションが、オチ前にきれいにつながる構成も垢抜けているし、「スーツ着て歩いてる人は皆が皆サラリーマン?」とありきたりをひとつ振っておいて「メガネかけてる娘がある日はずしたら皆が皆かわいい?」とオタクなボケに飛ぶくだりもセンスを感じました。しかし目出し帽強盗ルックの金子が、90年代福岡ダイエーホークスの背番号18・村田勝喜投手に顔立ちといいヒョロい体型といいそっくりで、録画再生視聴時はそこに引っかかって笑いっぱなし。“未完成なアンジャッシュ”といった匂いもするので、とりあえずもうひとネタふたネタオンエアされてほしい。

結局“若さが足りない”と月河が思った2組、シャングリラ489TP1位、メンソールライト473TP2位と本戦挑戦権獲得。わりとコンサバな会場審査員だったようです。シャングリラは演順トップ効果もあったか。

惜しい3449TPのうしろシティは、視聴者投票で2位メンソールライトに完勝の1位となり、この回3枚めの本戦切符を手にしました。

全体に、『オンバト』二軍戦とは言えレベルはかなり上がってきていると思います。ただネタ的にはさほどのサプライズはなくなってきた。“若手の中の若手”というところにこの番組の魅力があるのだから、マネージャーさんたちもいま少し冒険させてあげてください。

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豆だけに豆知識

2009-11-04 21:34:17 | 朝ドラマ

先日、寒空の中を買い出しに行ったドラッグストア店内の有線放送でアンジェラ・アキさんの『愛の季節』が。

♪忘れないで 季節が変わっても~のフレーズが耳に飛び込むと、紅葉のトロッコ線を歩く多部未華子さんのスチールが浮かんできて、何が何でも『つばさ』のサウンドトラックが欲しくなってしまいました。

最近PCから転送式のデジタルオーディオを奮発したので、CDならキズモノでさえなければ中古盤でもいいんだよなぁ…と節約志向してみましたが、さすがに9月いっぱいまで放送していたドラマだし、いつもの古書店やレンタル落ち店には出回っていないだろうと考え直しました。本やCDの新作新刊はなるべく地元に古くからあって地元で頑張っている本屋さん、レコード屋さん楽器屋さんに足を伸ばして、売り上げ貢献してあげようと思ってはいるものの、ここ数日シャレにならないくらい当地、寒いんですよ。昨日なんかガチ視界が危うくなるくらいの横なぐりの雪が降ったし、とても最寄り駅から反対方向に寄り道して、エンタメ用品物色しようなんて気にはなれたもんじゃありません。

 こんなときやはりPC1クリック、玄関先まで宅配便で届くネット通販は便利です。どうせ定価で買うなら、小耳にはさんだことのあるNHKオンラインショップというのを利用してみようかなと思い、NHKの公式サイトから“e‐カタログ”というところへ行ってみましたが、“つばさ”で検索したらDVDBOXとテレフォンカードしか出てきませんでした。どうもこのサイトで取り扱っているのは、NHKエンタープライズやNHK出版といったNHK関連カンパニーが権利を持っているタイトル、アイテムだけのようです。

結局ポイントの付くネット通販サイトで購入。めでたく本日到着。版元はホリエモンでおなじみ(もう、そうでもないか)ポニーキャニオンでした。小さくフジテレビのあの目玉マーク。NHKドラマのサントラなのに不思議な気もしますが、そこが大人の事情というやつでしょうね。

NHKサントラは初体験ですが、作曲者、ドラマプロデューサーのセルフライナーノーツが丁寧なのは好感がもてました。昼帯ドラマのサントラでは、おもにドラマプロデューサーさんが、作曲家さんにリスペクトを献じるついでにドラマの眼目「こんなアイディア、コンセプトでこんなドラマを目指しました」をちょろっと解説してくれていたりもしますが、作曲家さん自身の言葉が収録されているタイトルは少ないものです。

住友紀人さん。最近は話題の映画『沈まぬ太陽』の音楽担当ということでもお名前を聞きました。1964年=昭和39年生まれ。うん、納得。『つばさ』の昭和テイストは、この年代、“昭和40年代=1970年代前半に小学生としてTVを見ていた”人でないと打ち放てないでしょう。

住友さん、セルフライナーノーツで、「CDの収録分数にはなぜ限りがあるのでしょう?」と、『つばさ』のために作った音楽のうち3分の1ほどの曲数しか収録できなかったことを惜しんでおられます。月河がドラマサントラの世界にはまるきっかけになった岩本正樹さんも、ご自身のブログで、「サントラCDにどの曲を入れるか、取捨が悩ましい」という意味のことを書いておられました。長丁場多話数の帯ドラマともなれば、悲しい場面、幸せな場面、緊迫した場面とシーンに合わせ、ヒーローヒロイン以外の大勢の登場人物にも合わせて、膨大な曲数、アレンジ数を作らなければなりませんからね。作り手としては、せっかくCDアルバムになるなら、できることならまるごとぜんぶ収めてカタチにしたいですよね。

言ってる矢先にテレビ朝日『雑学王』の正解VTRで、バックにM09『加乃子の企み』が。タイトルはちょっと昼ドラチックですが、加乃子さん(高畑淳子さん)の“らくらくお掃除千手くん”姿が浮かんでくるような、手風琴?かバンドネオンのようなアコースティックな音が魅力的な楽しい曲です。

ちなみに使われたVTR“納豆にカラシがついている理由は?”を、全国納豆製造業協会とかなんとかいう団体の偉い人が解説しているもの。関係があるんだかないんだか。確かに甘玉堂一家、よく朝ご飯シーンはありましたが。

現代のように冷蔵したまま輸送・流通させる技術が無かった時代は、特に夏場は納豆菌の発酵が進み過ぎてアンモニア臭が強くなるので、臭み消しのためにカラシを添えたのだそうです。曲につられて思わず雑学吸収。まぁネギとか茗荷とか、納豆に合う薬味はだいたいそれ系ですね。

アルバムレヴューは後日。

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