★最近はすることがないので庭いじりに精を出す日が多いのだが、
我が家の庭は当初は私の趣味と言うより、
戦前から本家に出入りしていた藤本さんと言う庭師の方が、コツコツと10年ほどかけて造ってくれたものである。
金もなかったし、ある時払いの催促なしと言うか、
ホントにぽつぽつと小さな庭だが藤本さんが自分の思うように作った庭で、
不思議なことだが、植木や使った石を、私が自慢するのではなく、
藤本さんがしきりに自慢していた庭である。
ホントに戦前の昔気質の方で「俺は造園屋ではない」が口癖だった。
植木は大きくしたらダメだと、結構形の良い樹を持ってきて植えてくれたのだが、
50年も経つと半分は枯れてしまったのだが、残っている植木は
背は大きくならぬようにずっと剪定しているので、
幹だけは見事と言うほど太くなっている。
★私自身の趣味は、かっては庭木などよりは魚が好きで、
子供のころ、ずっと池のある家に住んでいたこともあって、
真っ先に造ったのが池で当時はこんな錦鯉を飼っていた。
結構、本格的な池で、深かったし、
飼ってる鯉もそこそこだったのだが、
生き物は死ぬし、鯉の値段など大小ではなくて「形と模様」で決まるのだが、
ポンプの電気代も掛ったし高くついた趣味だったことは間違いない。
それが「鯉ヘルペス」に罹って全滅してしまったものだから、
流石にもう一度最初からやる元気もなくて、池を埋めてしまったのである。
その時の写真で池が土になってしまっている。
それが今はこんなになっているのだが、
私がコツコツと庭いじりで、ひとりで造ったので結構気に入っている。
★ 植木も自慢できるものとしては、
こんな五葉の松が前庭に植えられてたのだが、
これは藤本さんへの支払いをご祝儀を兼ねて、仰る値段より心持弾んで多く渡したら、
そのお礼にと持ってきてくれた「盆栽風の五葉の松」だった。
根っこが太くて、ひょっとしたら『樹齢100年』ぐらいだったかも知れない。
それがだんだん元気がなくなって、
とうとう枯れてしまったのである。
どうしようかな?と思ったのだが、
私も気に入っていた松なので
根っこの部分をこのように置物にして今も家に飾ってある。
★ 今も小さな池はある。
ホントは池ではなくて「我が家の車庫」なのだが、その下をT字型の池にしている。
その発想は藤本さんではなくて私で、
何としても、小さくても池が欲しかったのである。
この車庫も藤本さんが結構、凝った石を使っていて、
大きな石は「小豆島の石」だというし、
その他の石も結構凝った作りになっていて、
色々講釈していたが、藤本さん自慢の出来だったようである。
小豆島の石が何故いいのか?と聞いたら
小豆島は石の産地で、大阪城の石垣は小豆島の石が使われているそうである。
今はこの池には、小さいが鯉もいるし、
金魚やドジョウやメダカもいる。
金魚はここ数年毎年コドモを産むし、
エビも毎年数えきれないほど卵を産み、タニシもそうだが
もう20年近くになって、
私は毎日、池の魚たちを眺めて時間を潰している。
★今は、我が家の庭はバラなど花もいっぱい咲いているのだが、
「花の咲く樹はもう一つだ」と言ってた藤本さんが見たら、嘆く庭になっているのかも知れない。