林 住 記

寝言 うわごと のようなもの

安静の大獄

2009-03-30 | 病院巡り

 

絶対安静ならラクでいいや、と思ったのは浅墓だった。
ブログネタを考えるどころじゃなかったし、ゆっくり休養できるどころでもなかった。

カテーテル治療の後、運び込まれたのは救急集中治療室だそうだ。
ナースに聞いたら病床数は12床。どうやら満員のようだった。

運び込まれて直ぐに飲まされた薬は胃潰瘍の薬だ。
ワケを聞くと、突然こういう部屋に搬送されると、急性胃潰瘍になる人が多い、とか。

確かに居心地はひどく悪かった。
少なくとも2人が時々絶叫する。お母さ~ん、なんて叫んでるけれど、叫ぶ患者は爺さまらしい。身体に繋がれたチュープを掻き毟る婆さまもいるようだ。

3、4人のナースがその度に走り回り、励ましたり、誰何したり、はみ出したらしい脚を元に戻したり......。一晩中大変な騒ぎだった。

自分自身もあれこれ数えてみるとチューブが6本以上繋がれており、左腕は時々嵌めてあるベルトがぎゅっと締まり血圧を測る。すると手の甲の点滴用の血管が疼く。

天井の電気は眩しく、枕元では機械が唸っている。
床擦れ予防に開発されたというベッドは背中で時々ムズムズ不気味に動く。
お叱呼の心配はチューブを嵌めこまれて全く心配は無くなったが、全く眠れなかった。

翌日は個室の集中治療室に移動し、爺様婆さまの絶叫は聞こえなくなったけれど、他の状態は全く同じ。
時々血を採りに来るナースに「もう夕方か」と問えば、「まだ朝の10時」、とか。

3日目午前中にはまた手術室に運ばれて、身体に入れたままの2本のカテーテルを取り出し、鼠渓部から尻までガムテープでがんじがらめにされて、また一晩。
やはり眠れなかった。

更に4日目の朝。
今度は右手首からカテーテルを挿入し、細い動脈にステントを入れた。
丁度この日はクリスマスイブ。二人のお医者さんが「もうこれから先には入らない、後は神様にお任せしよう」、だなんて、なんの因果か心細いことを語り合っている。

術後、カテーテルは抜かれたが、手首が麻痺するほど強力な万力で傷口を締め付け、きつくガムテープを巻かれ、昼過ぎまで絶対安静にしなければならなかった。

飲まず食わずだったが腹はちっとも減らなかった。
身体はもうデクの坊状態。置き場所も無い感じ。獄に繋がれるより苦しいだろう。
絶対安静は本当に草臥れた。

▲飲まず食わずではなんなので、沼津の干物屋さんから新鮮な目刺しを借りてきました。
ところで、干物は新鮮っていえるんだろうか?



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