林 住 記

寝言 うわごと のようなもの

八幡さまの大銀杏

2010-03-10 | 遠い雲


八幡さまの大銀杏が、今朝の雪と強風で、根本から折れてしまった。

母の妹が八幡さまの近くに住んでおり、幼い頃、母に連れられよく通りかかった。
長い巨福呂坂を下り、裏八幡から境内を抜ける道は、石段が短く楽だった。
八幡様は何もかも綺麗で賑やかで大好きだった。

小学生になると近所のガキたちと巨福呂坂を越え、八幡さまの源平池まで足を伸ばし、太鼓橋で滑って遊んだ。海水浴は大将に従い八幡さまの境内を通り抜け、若宮大路を通過し由比ガ浜まで歩いた。
中学生から高校生の頃は、友だちに会いに行ったり、市内の映画館(3館もあった!)に行く時によく下を通った。
あの頃の大銀杏は天高く聳えていた。

その後は「あんな俗なところは」と、境内にある県立近代美術館へ行くことがあっても大銀杏を仰ぐことは無くなった。
3年前、「林住記」に写真を載せるため数十年振りに大銀杏と再会した。

舞殿や本殿は不必要に輝き、大銀杏は無残に枝を切り払われ小さくなり、石段は磨り減り、子どもの頃はあんなに賑やかで華やかだった境内はみすぼらしく見えた。


倒れた大銀杏は脆く、意外に小さい。
こんな大銀杏は見たくなかったが、これも現実。

懐かしいものがまた消え失せた。大銀杏の無い八幡さまへは行きたくない。
故郷はまた遠くなった。

上2枚の写真は岩波写真文庫「鎌倉」から。
下は朝日新聞3月10日夕刊から。



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