1966年にアルバム、Blonde On Blondeをヒットさせ数々のツアーもこなして精力的に音楽活動を行なっていたディランであったが、モータ・バイクでの事故で重傷を負ってしまい療養生活に入る。
その時期に心の中に何か期するものが、次のアルバム制作において作風にも変化が。
1967年の末に出た8枚目のオリジナル・アルバム、John Wesley Hardingは数曲ティール・ギターが登場するも基本ディランのアコギもしくはピアノにドラムスとベースのシンプルなトリオ編成のバンドで制作された。
(ジャケのデザインもいたってシンプル)
今回のアルバムはブルース・ロックと言うよりは、ディランが従来のフォーク・ロックにカントリーやブルースなどの味付けを施した事で穏やかでまた少々鄙びた印象も。ただ作詞には無法者のJohn Wesley Harding、Drifter(放浪者)、Lonesome Hobo(さびしい流れ者)やPoor Immigrant(貧しい移住者)など表舞台に登場しない社会の底辺の属する人々に視点を当てている。
ところで見張り塔から何が見えたって?
馬に乗ったJoker(道化)とThief(盗人)が今の境遇から抜け出す術があるはずだと会話しながらやってくるのが...
Princes(王子達=支配者階級)はその二人を見てある故事を思い起こす。
あの栄華を極めたバビロンでさえ滅んだ様に我々だっていつかは滅ぶって。
カントリー・タッチののんびりした味わいのアルバムと思いきや、ディランさん結構攻めてるね。