この赤は染めれない。

紅葉。

私が住んでいる所で紅葉と言えばもみじ。

このもみじなくして古都は語れない、そう思っているひとりかも知れません。
確かに、鮮やかで綺麗。
この段階を持って染まっていくさまはひとつの悟りであり、
ドラマであり、最後の四季の別れにかき立てる風情が、この真っ赤な一枚に詰まっている、
そう思うと一粒の涙が「ぽろり」こぼれるのもこのもみじ。
古き日本の社寺、配置された造形物、長い年月をかけて馴染んできた樹木、
苔、配置された庭石。
仏の聖地に調和した風景が、なぜかこのもみじが似合っている。

そんな初冬の風景に人は誘われ誘惑されている。

もみじ。

季を追う毎に
時を追う毎に
冷気の深まりのなかで染まる一枚一葉
斬新な染め
この鮮やかさ友禅の仕上がり
感動
余韻は嫉妬
惹かれる心
それは誘惑であり呪縛

燃える赤
染まる朱
作れない
染められない
描けない
それがこの冬のもみじ

狂っている
狂喜の赤
でも冬のもみじ
死ぬまで愛し
この最後の色彩の饗宴を求め続ける。