大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評・56『二流小説家』

2016-10-08 05:38:31 | 映画評
タキさんの押しつけ映画評・56
『二流小説家』
       

この春(2016年4月)に逝ってしまった滝川浩一君を偲びつつ


 これは悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に流している映画評ですが、もったいないので転載しました


 いやいや〓 結構面白かったですゾ。
 
 海外ミステリーを邦画にするのは、一頃良くありました。有名な所だと、黒澤の「天国と地獄」がエド・マクベインの「キングの身代金」だったりします。アメリカのミステリーを使うと“銃器事情”が違うので結構苦労するようです。本作にもその点でご苦労されたようです。

 そらまぁ、ちょと置いといて。武田真治ってば、異常者やらせるとリアルでんなぁ、案外ほんまに……やったりして、ええ~~!
 上川隆也もさすがに良か雰囲気醸しています。微妙なのが片瀬那奈の役柄、立場が目まぐるしく変化するので難しかったと思います。メインのストーリーは、作家/赤羽と死刑囚/呉井の交流。対立から次第に相手の内面を理解しあうに及ぶまでの経緯。原作未読なのでどちらの手柄なのか解らなかったのだが、パンフレットには「映画ながらの解釈」だと書いてある。
 巻き込まれスリラーの典型だが、これもパンフによると「原作にはメタフィクション/文学論/犯罪論が散りばめられているが、映画ではほぼカットされている」と出ている。となると、やはり原作のほうが相当に複雑な構造をしているようだ。宣伝コピーに「必ず貴方もダマされる」とあるが、注意深く見ているとダマされる事は無い。

 大きな秘密と謎が五つ、すべて想像が付く。ただ、ネタバレと言うよりは赤羽に閃きが訪れるタイミングで観客にも閃きが降りてくる。この同時性が計算されたものだとすると、これはなかなか侮れない作品であります。 観客自身が探偵になってスクリーンに入り込む展開ってのはスリリングです。 さて、前述の銃器ですが、本作に瑕疵があるならここですね。日本が舞台なのに銃の出現が唐突過ぎる。推理の過程が綿密かつリアルですから余計に目立ってしまいます。しかも、違うタイプの物が2丁出てきますが これでは説明の付かないシーンがあります。少なくとも もう一丁、小口径のライフルが出てこないといけないのですが、拳銃だけです。赤羽が3回銃火にさらされるのですが、これが脅しのつもりなら犯人は“ゴルゴ13”ばりのスナイパーだとなり、殺すつもりがハズれたのだとしたら、この段階での赤羽の死は必ずしも犯人の有利には成りません。いやほんまに武器の扱いってのは微妙な物であります。
 内容からして2時間映画よりも短期間オンエアドラマ向きの作品ですが、平均点よりかなり上の仕上がり、まず 見て損無しです。

コメント
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