大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・小説大阪の高校演劇・4『また、ブリジストンめが!』

2018-06-20 06:25:43 | ライトノベルセレクト

小説大阪の高校演劇・4
『また、ブリジストンめが!』



 またブリジストンが……!!

 性懲りもなく五年前のコンクールの審査にケチをつけとる。許せん奴や!
 五年前のコンクールでブリジストン(石橋幸平)の本が選外になったのを恨んで、未だに連合にケチをつけとる。

 ネカマになって、匿名でコメントを書く。ボキャ貧なんで書くのに二時間もかかってしもた。そやけど書き終ってエンターキーを押すと、ちょっと胸がスッキリ。気が付くと午前5時過ぎ。オレの昼夜逆転も、来るとこまできたかなあ。またオカンの嫌味やなあ。

 ブリジストンは合同合評会で、審査にケチをつけよった。合評会いうのは、みんなの苦労を労って、明日への活力にする場や。それをブリジストンはワヤクソにしてしまいよった。

――審査内容と審査のレジメの内容が異なるのは審査の放棄!――

 なに言うとんねん。審査員は気の優しい人で、せめてレジメで慰めよいう気持ちが分からんのか!?
 だいたい合評会いうのは(ここで辞書をひく)……何人かの人が集まって、ある作品・問題などについて批評し合うこと……?
 批評……事物の価値を判断し論じること。「批評」は良い点も悪い点も同じように指摘し、客観的に論じること……?

 むむ……ブリジストンは悪い点を指摘しとった。ほんなら、ブリジストンの発言を制止したR高校の先生の方が間違うてる?

 わけ分からんようになってきた。

「作品に血が通っていない、思考回路、行動原理が高校生のそれではない」確かに、レジメからはスッポリ抜けてる。
 いや、せやから、これは審査員の優しさで……。
「帰りの電車の中で、あの学校にもなんらかの賞をあげるべきだったと思った」
 な、これは審査員の優しさやねんて!

 オレは、自信を持つために優子にメールした。あいつも昼夜逆転やから、まだ起きてるやろ。
 優子の返事はすぐに返ってきた。
――そんなこと言われたら、絶対ムカつく。審査員殺したろかと思う!――
 え、ええ?
――これて、ブリジストンの芝居のことやで――
 と、打ち返す。
――まだ、そんな古いこと言うてんのん?――
――オレとちゃう。ブリジストンがブログで書いとんねん!――
――あのオッサンのことは、シカトするて先生らも、みんなも言うてたやないの――
――せやかて、あいつのおかげで、恒例の全国大会のバスツアーも無くなってしもたやんけ。忘れたんか!?――
――ああ、あれ。もうええねん――
――なんでやねん!?――
――悪いけど、あれ流れたからHと付き合いはじめてん。ほんなら、もう寝るさかい。ばいばい――

 それっきり、優子は電源落としやがった。

 なんのことはない、ブリジストンおちょくったために……優子の気持ちが離れてんのを確認しただけや。

 と思うたら、優子からメール。

――たまには学校行きや。大学五年生はハズイで――

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする