大橋むつおのブログ

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銀河太平記・281『メグミの秘密・2』

2025-02-24 09:22:20 | 小説4
・281

『メグミの秘密・2』 テル 




「最初はね、あんたたち扶桑第三高校の誰かに化けて火星に潜入するのが目的だった」

「最初はって……すがた消すまで未来のままだったじゃないのよしゃ(;¬¬)」

「ほんの二三日のつもりだったのよ、未来の姿でいるのはセキュリティーを通過するためだったから」

「なにをしゅゆつもりだったのよしゃ? あんた、上しゃまのおしょば近くまで行ったってゆぅじゃないのよしゃ未来のまんまでぇ」

「変身が解けなかったの。たまにあるのよ、根性入れて変身すると解けないことがね。火星の入関済ませても解けなくて、少し焦ったけど、逆にこのまま扶桑城に潜入したらうまくいくんじゃないかって開き直った」

「なんでお城に?」

「扶桑将軍が地球に、日本に来てもらえないかって可能性を探るため。未来の姿の方が接近しやすいでしょ」

「上しゃまを?」

「森之宮殿下も火星に向かっていたしね、一石二鳥だったのよ」

「なんで、上しゃまと殿下を?」

「地球……日本に来ていただいて、今上陛下と替わっていただく、そのための調査やら下工作のためにね」

「ゲゲ!! こうしゃくいん(工作員)……ってゅうか……こういしゃんだつ(皇位簒奪)!?」

「違うよ」

「皇位を無理やり替えるのは簒奪(しゃんだつ)なのよしゃ!」

「天皇の皇位は男系継承よ。先帝が崩御された時は満州戦争があったり国内も不安定だったから、女性の今上陛下が即位されることは仕方なかった。女性天皇は推古天皇以来、いくつか前例もあるしね。でも、皇室典範が改正されて皇嗣を妹の須磨の宮様にご指名されたでしょ。須磨の宮様にご譲位されたら女系天皇になってしまう。皇統が途絶えてしまう」

「でも、しょれは、皇室典範も憲法も改正して正式なものだったじゃにゃいのよしゃ」

 テルは憲法学の学位は持ってにゃいけど、しょのくらいは分かるのよしゃ。

「ああ……日本国憲法って、たかだか三百年足らずの歴史でしょ、改正憲法にいたっては、三十年でしかない。皇室の伝統は二千九百年よ」

 なんか、しゅごいこと言ってゆのよしゃ( ゚Д゚)。

「だからね、伝統から言えば、成治(しょうじ)天皇の五世孫である扶桑将軍と森之宮茂仁殿下にこそ皇位継承権があるのよ。それを正すことが天狗党の役目。お二人のお胸を叩いて、皇位を正統に戻していただく。単なるイデオロギーの問題じゃない。女系のまま放置しておけば、いずれは男系のどなたかを担いで正統を主張する勢力が現れる。南北朝時代のように日本が真っ二つ、下手をすれば三つにも四つにも分裂してしまう。そして、だから、この加藤恵は、その分裂と混乱を防ぐための先兵だったのよ」

「あ……あ……えと……(''◇'')ゞ」

「心配しないで『だった』って言ったのよ」

「あ、過去形……」

「扶桑城のお庭の奥に御霊屋があるでしょ」

「あ、祖霊をお祀りしてゆ」

 お上(将軍)のお招きで御庭までは行ったことはありゅけど、御霊屋は、それを囲っている森しか見たことないのよしゃ。

「あそこに秘密があるような気がしてね、こっそり忍んだら……」

「な、なにがあったのよしゃ!?」

 メグミのとんでもない行動にもビックリしゅゆけど、御霊屋のことも興味津々なのよしゃ。

「中には三つの木牌があってね。真ん中が扶桑大神、左に初代『扶桑一仁』、右が……何も書かれていない」

「二代目以降はまとめて先祖代々とかじゃにゃい?」

「でも、何も記されていない。気になるわよね……それで忍び込んでみたのよ」

「バチが当たるりゅよ(;'∀')」

「するとね、何も書かれていない木牌が語り掛けてくるのよ、脳みそに」

「な、なにを語り掛けてきたのよしゃ?」

「『おまえの変身は二度と解けぬ、その姿のまま役目を果たせ』てね……ブラフだと思って姿を戻そうとしたら、ぜんぜん戻らない、戻る兆しも無い。本物の未来も戻って来るし、取りあえず火星を脱出して天狗党の月面基地に戻ったんだ」

「しょの天狗党が、どうして西之島のラボに居りゅのよしゃ?」

「未来の変身が解けなかったからね……まあ、首になったわけよ。それで、まあ、姿をくらますのに西之島はうってつけだった、島は素性とかは詮索しないからね。で……居心地がよくって、居ついてしまったというわけ」

 うう……しゅごい話なんだけど、なんか、話ししゅゆ前よりもメグミが近しい感じになってゆ。

 こうゆう気持ちを表現しゅるようにはテルの脳みそは出来てなくて、しばらく、女子用ゲルの前で、二人で星空を見てたのよしゃ……。



☆彡主な登場人物

大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士 
加藤 恵             天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
扶桑 道隆             扶桑幕府将軍
本多 兵二(ほんだ へいじ)     将軍付小姓、彦と中学同窓
胡蝶                小姓頭
児玉元帥(児玉隆三)         地球に帰還してからは越萌マイ
孫 悟兵(孫大人)          児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー 
テムジン              モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人      
森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
ヨイチ               児玉元帥の副官
マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
アルルカン(メアリ・アン・アルルカン)   銀河系一の賞金首のパイレーツクィーン
氷室(氷室 睦仁)          西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平) 島守を称す(270から)
村長(マヌエリト)          西ノ島 ナバホ村村長
主席(周 温雷)           西ノ島 フートンの代表者
及川 軍平             西之島市市長
須磨宮心子内親王(ココちゃん)    今上陛下の妹宮の娘
劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
栗 尊宅(りつそんたく)       輸送船の船長  大統領府参与
朱 元尚 大佐           ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった

※ 重要事項

扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
奥の院      扶桑城啓林の奥にある祖廟
 
 

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