誤訳怪訳日本の神話・53
『ねえ、できちゃった(^_^;)!』
ねえ、できちゃった(^_^;)!
え( ゚Д゚)!?
たった二つの会話ですが、読者が小学生以上ならお分かりになると思います。
ご飯ができたとか、オデキができたとか、逆上がりができたとか、オリハルコンでエクスカリバーができたとか、そういう『できた』話ではないことを。
これは、奥さん、それも新妻が旦那に妊娠したことを告げる時の常套句、定型文、デフォルトであります。
イワナガヒメを送り返して、寿命が並の人間ほどになったニニギノミコトですが、まだまだ若いので屁とも思っていません。
その、屁とも思わないニニギは、サクヤの妊娠宣言にはビックリします。
え……まだ、そんなにやってないのに?
それに、考えてみたら、サクヤはオレのプロポーズを一発でOKしたよな?
ちょっと、イージーすぎじゃね?
ひょっとしたら、他の国つ神ともよろしくやってて、誰の子だか分からない子を身ごもって……それで、世間知らずのオレをひっかけた?
まあ、疑心暗鬼というやつですなあ。
「そ、そうか、できたか! め、めでたい(^_^;)! う、嬉しいぞ(^0^;)!」
「あ、ニニギ、あたしのこと疑ってるでしょ!?」
「あ、いや、そんなことないよ(#^曲^#)」
「いや、疑ってる!」
「サクヤぁ……」
「いいわよ、あなたの子であることを証明してやるから!」
「お、おい、なにをする気だよ!?」
とっとと行ってしまうサクヤを追いかけるニニギ。
「な、なんて足が速いんだ(;'∀') ゼーゼー……」
やっと追いつくと、サクヤは家来の神々を使って産屋を建てさせていました。
「なんだよ、この小屋は?」
「産屋です」
「産屋ってことは、ここで子供を産むってこと……だよな?」
「そうよ、生まれるまで、ここで見てるといい!」
「でも、この産屋、窓とかないんだけど、真っ暗じゃね?」
「これでいいの!」
「え、もう中に入っちまうの?」
「うん! みんな、わたしが入ったら入り口も打ち付けて壁土で塗り固めてしまうのよ!」
「お、おい、サクヤ、お、おまえたちも、そんなことしたら真っ暗に……」
ニニギがオロオロしているうちに、サクヤを閉じ込めたまま産屋が完成します。
「じゃ、イッセーノーで、火をつけるのよ!」
「ちょ、サクヤ!」
「イッセーノーで!」
ボ!!
「キャーーやめてえ(#`Д´#)!」
叫んだのはニニギです。
サクヤは燃え盛る産屋の中で、ヘッチャラなのか気絶したのか静かです。
やがて産屋はパチパチボウボウと激しく燃えさかり、傍にも寄れなくなります。
オギャー オギャー オギャー
「え、生まれた!?」
産声が三つ聞こえ、やっと火が収まって、ニニギは暑さをこらえながら燃え跡に近づいていきます。
すると、燃え殻の中に、三人の赤ちゃんを抱っこしたサクヤがピースサインをしておるではありませんか!?
「やったね!」
「だ、大丈夫かい?」
「これで分かったでしょ、これだけの火の中で生まれてもビクともしないで産声を上げて、間違いなく天津神、ニニギの赤ちゃんよ!」
「わ、分かった。かりそめにも疑ってごめんなさい、この通りです(。>ㅅ<。)!」
「よし、分かればいいのよ、分かればね」
こうして、天孫降臨の第二世代が誕生したのでありました。
次回は、この第二世代の冒険に話しを進めていきたいと思います(^▽^)/