真夏ダイアリー・62
「真夏、たいへんよ!」
朝、起きるなりお母さんが叫んだ。
朝、起きるなりお母さんが叫んだ。
「え……」
お母さんの説明を聞くまでもなかった。朝ドバの女子アナウンサーが、スポーツ新聞の切り抜きをフリップに拡大したのを持って解説していた。
お母さんの説明を聞くまでもなかった。朝ドバの女子アナウンサーが、スポーツ新聞の切り抜きをフリップに拡大したのを持って解説していた。
――スポミチのスクープです。人気アイドルグループAKR47の選抜メンバーの小野寺潤さんが、先月18日早朝、男性ヴォーカル&ダンス・ユニット「ハーネス」のボーカル鶴野正一さんのマンションから、正一さんといっしょに出てくるところを、スクープされました。潤さんには、同グル-プに姉妹で、容姿がそっくりな、鈴木真夏さんがいるために、特定に時間がかかったようです。しかし、前日の夜から、朝にかけての真夏さんの行動がはっきりしたため、スポミチは潤さんと断定。潤さんのお泊まりが発覚しました……。
「潤……」
「そういや、一昨日、スポミチの記者の人に、真夏のこと聞かれたわ……あれ、真夏のことじゃなく、潤ちゃんのウラをとって……」
お母さんの話を半分に聞いて、ザックリ着替えて、家を飛び出した。黒羽さんから「いざというときに使え」と、主要選抜メンバーに渡されているカードを初めて使って、タクシーで潤の家に向かった。いざというときに潤のお隣とは仲良しになっている。お隣の裏口から入って、オバチャンに挨拶してから、ネコ道を通って、潤の家の裏庭に。給湯器の陰に隠れて、勝手口をノック。
「だれ?」
「真夏!」
瞬間開いた勝手口に身を滑り込ませる。
「やらかしちゃったね」
「ちがうんだよ、真夏。前の晩に正一のとこ行ったのは確かだけど、何にもないのよ」
「何も無しで、泊まるか?」
「ほんとだってば、お互いアイドルのあり方について語っているうちに真夜中になっちゃって、少しウツラウツラしてたら朝になっちゃっただけなんだから」
「でも、結果的には、お泊まり。言い訳できないわよ」
「そりゃそうだけど、家の前に集まっちゃってるマスコミが思っているようなことは、断じてないんだから!」
「ほんとに、何にも無かったんでしょうね!?」
「正一んとこには、犬とネコが三匹もいるんだよ。真夏やマスコミが考えてるようなヤラシイことなんかできっこないわよ!」
「……わかった。わたしがなんとかする」
「え、真夏が……?」
「その前に、おトイレ拝借」
「潤……」
「そういや、一昨日、スポミチの記者の人に、真夏のこと聞かれたわ……あれ、真夏のことじゃなく、潤ちゃんのウラをとって……」
お母さんの話を半分に聞いて、ザックリ着替えて、家を飛び出した。黒羽さんから「いざというときに使え」と、主要選抜メンバーに渡されているカードを初めて使って、タクシーで潤の家に向かった。いざというときに潤のお隣とは仲良しになっている。お隣の裏口から入って、オバチャンに挨拶してから、ネコ道を通って、潤の家の裏庭に。給湯器の陰に隠れて、勝手口をノック。
「だれ?」
「真夏!」
瞬間開いた勝手口に身を滑り込ませる。
「やらかしちゃったね」
「ちがうんだよ、真夏。前の晩に正一のとこ行ったのは確かだけど、何にもないのよ」
「何も無しで、泊まるか?」
「ほんとだってば、お互いアイドルのあり方について語っているうちに真夜中になっちゃって、少しウツラウツラしてたら朝になっちゃっただけなんだから」
「でも、結果的には、お泊まり。言い訳できないわよ」
「そりゃそうだけど、家の前に集まっちゃってるマスコミが思っているようなことは、断じてないんだから!」
「ほんとに、何にも無かったんでしょうね!?」
「正一んとこには、犬とネコが三匹もいるんだよ。真夏やマスコミが考えてるようなヤラシイことなんかできっこないわよ!」
「……わかった。わたしがなんとかする」
「え、真夏が……?」
「その前に、おトイレ拝借」
トイレに入って、サイコロを出して、呟いた。
「先月18日、午前0時、正一のマンション」
ピンポ~ン
「……だれ!?」
インタホンを押すと、テンションの高い正一の声がした。
「わたし、真夏なんだけど」
入ると、三匹のイヌとネコと、潤がいた。潤もテンションが高く、論じ合っていたことは確かなようだ。
「潤、今すぐに家に帰って、ここに入るとこスポミチに見られてる。あいつら朝まで張ってる。今帰ったらスキャンダルにならないから」
「え、ほんと!?」
潤は、帰り支度を始めた。その間も議論は続いた。
「だからさ……」
「でもね……」
「もう、潤は、とにかく帰る!」
で、潤は帰った。
「わたし、真夏なんだけど」
入ると、三匹のイヌとネコと、潤がいた。潤もテンションが高く、論じ合っていたことは確かなようだ。
「潤、今すぐに家に帰って、ここに入るとこスポミチに見られてる。あいつら朝まで張ってる。今帰ったらスキャンダルにならないから」
「え、ほんと!?」
潤は、帰り支度を始めた。その間も議論は続いた。
「だからさ……」
「でもね……」
「もう、潤は、とにかく帰る!」
で、潤は帰った。
でも、この後がいけなかった。
うっかり、正一の議論に乗って、気がつけば朝になっていた。
「やばい、わたし帰る」
「じゃ、オレ朝飯買いにコンビニに行く。食べてく?」
「議論が続いて、お互い遅刻するだけだから、このまま帰る」
で、いっしょにマンションの玄関を出て、右と左に別れ、路地に入った。
「2月6日午前7時、わたしの家」
「ちょっと、真夏たいへんよ!」
朝、起きるなりお母さんが叫んだ。
「え……」
なんと、今度は、わたしが正一の家にお泊まりしていたということになってしまっていた……!
「やばい、わたし帰る」
「じゃ、オレ朝飯買いにコンビニに行く。食べてく?」
「議論が続いて、お互い遅刻するだけだから、このまま帰る」
で、いっしょにマンションの玄関を出て、右と左に別れ、路地に入った。
「2月6日午前7時、わたしの家」
「ちょっと、真夏たいへんよ!」
朝、起きるなりお母さんが叫んだ。
「え……」
なんと、今度は、わたしが正一の家にお泊まりしていたということになってしまっていた……!