大橋むつおのブログ

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RE・トモコパラドクス・85『再びカッパドキアに』

2023-11-21 07:08:38 | 小説7

RE・友子パラドクス

85『再びカッパドキアに』 

 

 

 

 ポチとハナは昨日テレポした最初の渓谷に居た。

 

 それも、マイクとミリーの姿では無く、日本にいる時の姿。それも、少し歳をとっている様子だ。

 ポチは中学生ぐらい、ハナは小学6年生ぐらいの姿で、抱き合って寝ている。

「寝たままここに来たんだな」

「でも、なんで姿が……」

「ここを捜索しているうちに活性化してしまったんだ」

「目を覚ましたらビックリするでしょうね」

「ああ、服のサイズも合わないだろうし……犬に戻してやろう」

「どうやって?」

「ハナの頭に手をやってイメージしてやるんだ」

「うん」

 滝川の真似をしてやってみると、数十秒で二人は犬の姿に戻った。

 犬としても成長が進んでいて、四カ月だったハナは二回りも大きくなってポチとそう変わらない大きさになっていた。

『おまえ、急に大きくなったなぁ』

『え、ポチが縮んだんじゃないのぉ?』

『うっせえ!』

 あまり気にしていない様子なので、簡単に食事して出発することにした。

 

 司教たちの居所は、すぐに分かった。最初に居た崖庇の数キロ北で血の臭いがしたのだ。

 発見したのはポチとハナ、やはり犬の嗅覚は鋭い。

 

 臭いは渓谷の崖の洞窟のあたりからしてきた。

 この洞窟にたどり着くことも出来ずに渓谷に落ちたT町の住人が二百人ほど谷底に落ちて死んでいた。

 構っている暇はない、二人は手を合わせ、二匹はお座りして首を下げるだけで先に進んだ。

 洞窟の中に入ると、様々なトラップがあった。

 洞窟までたどり着いた住人たちも居るには居たが、あるものは落とし穴に落ちて亡くなり、ある者は壁から突き出した無数の槍で串刺しにされ、体中に開いた穴から血を流し朱に染まって命の灯を消していた。そして、その先には、地獄の番卒でも目を背けたくなるようなトラップと、その犠牲者たち。

「この人たちが居なきゃ、トラップの解除に時間がかかるところだったな」

 歴戦の戦士にしては感傷的な無駄口だが、あえて口にすることで友子の神経を労わっている。

 人が無残に殺されるのは渋谷の大惨事で経験済みだが、戦闘以外で見るのは初めての友子だ。

 トラップが機能しなくなるまで死体の山が築かれ、さらに、その奥、犠牲者の死臭に隠れて人の気配がした。

 

☆彡 主な登場人物

  • 鈴木 友子        30年前の事故で義体化された見かけは15歳の美少女
  • 鈴木 一郎        友子の弟で父親
  • 鈴木 春奈        一郎の妻
  • 鈴木  栞        未来からやってきて友子の命を狙う友子の娘
  • 白井 紀香        2年B組 演劇部部長 友子の宿敵
  • 大佛  聡        クラスの委員長
  • 王  梨香        クラスメート
  • 長峰 純子        クラスメート
  • 麻子           クラスメート
  • 妙子           クラスメート 演劇部
  • 水島 昭二        談話室の幽霊 水島結衣との二重人格 バニラエッセンズボーカル
  • 滝川 修         城南大の学生を名乗る退役義体兵士

 


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