魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!
65『見学自由』
雅部利恵(天使名ガブリエ)が肩入れしてからのオモクロは、それまでの「オモシロクローバー」から「想色クローバー」と名を変えたけど、略称はオモクロのまま中身を変えやがった。
それまでのお笑い系ではなく清楚とビビットが売りでよ。だけど、トークやバラエティーなんかでは元のオモシロの味も残していやがって、その手のコントやギャグをやらせると、AKRの上を行きやがる。
ディレクター兼社長の上杉は、関西のお笑い総合商社と言われるユシモトから資本提携をうけ、中堅プロダクションを買収、いちやく東京でベストテンに入る芸能プロにしてやがった。
その新生上杉プロの前まで来た。
その新生上杉プロの前まで来た。
なんと「見学自由」の張り紙がしてある。
学校帰りの女子高生なんかも結構並んで、見学の順番待ちをしてやがる。五十人一組で十五分の見学ができる。
マユは、さっそく並んだぜ。
一時間たった三回転目、やっと番が回ってきて見学の流れに潜り込めたぜ。
一階の展示室には、オモクロの歴史や、活躍ぶりをパネルや映像で見られるようになって、メンバーの衣装なんかも展示してある。オモクロのこれからのスケジュールなんかも書いてあんだけど、AKRのえらいさんたちが言っていた新企画については書かれてなかったぞ。
一時間たった三回転目、やっと番が回ってきて見学の流れに潜り込めたぜ。
一階の展示室には、オモクロの歴史や、活躍ぶりをパネルや映像で見られるようになって、メンバーの衣装なんかも展示してある。オモクロのこれからのスケジュールなんかも書いてあんだけど、AKRのえらいさんたちが言っていた新企画については書かれてなかったぞ。
ロビーにはメンバーの写真が並んでいて、ルリ子と美紀の写真も当然並んでやがる。
おお……( ゚Д゚)!
学校での意地悪グループの印象など全くなくてよ、清楚なお嬢様キャラで額縁に収まってやがる。プロフは生年月日と性別以外はデタラメだけどな。
――学校では、人前で話すこともできない性格で、少しでも前に出られるようになりたいです――
――学校では、人前で話すこともできない性格で、少しでも前に出られるようになりたいです――
笑いそうになったぜ(`艸´)。
五分ほどで展示室を出されると、階段を上がった二階に連れて行かれた。
なんとリハーサル室の隣りの部屋を見学室にして、リハーサルを見せてくれる。防音のガラス張りになっていて、リハーサル室の音声は、据え付けのスピーカーから聞こえてくる。
五分ほどで展示室を出されると、階段を上がった二階に連れて行かれた。
なんとリハーサル室の隣りの部屋を見学室にして、リハーサルを見せてくれる。防音のガラス張りになっていて、リハーサル室の音声は、据え付けのスピーカーから聞こえてくる。
ルリ子と美紀もレッスンに励んでやがる。
そして気がついたぜ。
二人は白魔法をかけられてやがって、歌唱力やダンスの能力が何倍にも高められてやがる。
実力でアイドルになった拓美や知井子に負けない歌とダンスだ。マユは、拓美には体しか貸してねえ。だから混じりけなしの実力だ。
白魔法は、本人には分からねえようにかけられていて、ルリ子も美紀も自分の力と努力のタマモノだと思ってやがる。
このごろのルリ子たちは学校でも大人しい。
このごろのルリ子たちは学校でも大人しい。
だけじゃなくてよ、他人への気配りや態度が優しくなってきやがった。これは白魔法じゃなくて、ルリ子たちが持った自信からくる自然な優しさ、この点では、マユも文句はねえ。しかし、その根本にあるのが、オチコボレ天使の利恵の思惑なんで、いただけねえ。
運がよかった。
残り時間五分というところで、リハーサル室に上杉ディレクターが入ってきやがった。
運がよかった。
残り時間五分というところで、リハーサル室に上杉ディレクターが入ってきやがった。
オモクロの新しい企みというか企画は、メンバーにも知らせられていないようで、オモクロのやつらの心を読んでも分からなかったぞ。
上杉の心は読まなくても飛び込んでくる。それだけ自信と闘志に燃えていやがる。
新曲は『秋色ララバイ』ってタイトルで、見学者の前ではレッスンさせてねえ。オモクロにしては大人しい曲みてえだ。けどもサビからはオモクロらしくビビットになりやがる。曲自体は平凡のちょっと上って感じだけどよ、オモクロたちの手に掛かると、思いがけずヒット曲になりそうな予感がしたぞ。
「え……!?」
思わず声が出ちまった。
「え……!?」
思わず声が出ちまった。
でも、周りの女の子たちの声や想念に紛れて、たとえ、利恵が、ここにいても気は付かれなかった。
上杉は、AKRに果たし状を突きつける気でいやがる。表面は別の企画としてだけど、会場はすでに東京ドームを押さえてやがる。ユシモトの資本力の背景があってできることだぜ。
メンバー全体の、いわば団体競技と、選抜のソロで競わせるつもりでいやがる。オモクロはすでに準備に入ってやがる。果たし状を出された時点で、AKRは一歩遅れることになるぜ。
それに、なにより利恵が一枚かんでやがる。どんな影響が出てくるか分からねえ。
ん……?
見学室を探っている思念を感じたぞ!
ん……?
見学室を探っている思念を感じたぞ!
的は絞り切れてねえみたいだが、あきらかに探ってやがる。
……分かった。
リハーサル室のパイプ椅子に化けた利恵が、見学室からのマユの思念を感じて探ってやがんだ。しかし、いまのマユはポチの体を借りて、見かけも拓美とクララを足して二で割った姿をしている。マユとは気づいてねえみてえだ。
――なんだ、見学の子たちが興奮しただけか。まあ、それほどいい出来ってことなんだ(^▽^)――
パイプ椅子の利恵は、おめでたく解釈しやがった。
――なんだ、見学の子たちが興奮しただけか。まあ、それほどいい出来ってことなんだ(^▽^)――
パイプ椅子の利恵は、おめでたく解釈しやがった。
見学時間が終わって、出口に差しかかったところで、パンフが配られた。パンフの何枚かにメンバーのサインが書かれている。外に出てパンフを開くまで分からないが、当たった子は「キャ-!」とか「ウソ!」とか歓声を上げていやがる。マユは、違うことでほくそ笑んだ。
パンフの中に、研究生の応募用紙が入っていたんだ。
マユは、小悪魔らしくほくそ笑んだぜ。
マユは、小悪魔らしくほくそ笑んだぜ。
☆彡 主な登場人物
- マユ 人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
- 里依紗 マユの同級生
- 沙耶 マユの同級生
- 知井子 マユの同級生
- 指原 るり子 マユの同級生 意地悪なタカビー
- 雅部 利恵 落ちこぼれ天使
- デーモン マユの先生
- ルシファー 魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
- レミ エルフの王女
- ミファ レミの次の依頼人 他に、ジョルジュ(友だち) ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
- アニマ 異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
- 白雪姫
- 赤ずきん
- ドロシー
- 西の魔女 ニッシー(ドロシーはニシさんと呼ぶ)
- その他のファンタジーキャラ 狼男 赤ずきん 弱虫ライオン トト かかし ブリキマン ミナカタ
- 黒羽 英二 HIKARIプロのプロデューサー
- 光 ミツル ヒカリプロのフィクサー
- 浅野 拓美 オーディションの受験生
- 大石 クララ オーディションの受験生
- 服部 八重 オーディションの受験生
- 矢藤 絵萌 オーディションの受験生
- 上杉 オモクロのプロディューサー
- 片岡先生 マユたちの英語の先生