大橋むつおのブログ

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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ読書感想『はなとゆめ』

2013-11-29 07:56:35 | 読書感想
タキさんの押しつけ読書感想
『はなとゆめ』


これは悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に身内に流している読書感想ですが、もったいないので転載したものです。


と言うて白泉社の漫画雑誌ではありません。沖方丁の小説です。

 清少納言と その主人、藤原定子中宮の心の触れ合いを描いたお話しです。清少納言と言えば“枕草子”の作者、彼女がいかにしてこの“枕草子”を執筆に至ったのか……それを詳しく小説にしてあります。  前に告白したように、私、日本の古典は苦手であります。古語ですらヤバイのに ここに詩歌がからんでどこが“いとおかしいのか”なんざ サッパリです。ところが当代随一のストーリーテラー沖方丁にかかると解ったような気分になれることこそ“いと おかしけれ”ってなもんです。
 最近、「天地明察」以前の沖方原作アニメをWOWOWでやっとります。一発目はフランス革命前夜、そらサンジェルマン伯爵が出てきたり、ロベスピエールが魔術師まがいだったり……随分自由な発想なのですが、見る者を物語世界に引っ張り込んでいきます。
 本作も同じく、平安時代の宮廷物語、当時の文化の最先端にいた人々が何を面白いと感じたのか。正直、読み始めは戸惑いましたが、定子中宮に侍り始めた清少納言が徐々に慣れていったように、読者たる私も少しずつ慣れて行きました。と、言うよりは、日本人の文化が他人に対する思いやりの文化であってみれば、最低限その事に同意できれば この物語に入り込めるのは日本人であれば当たり前なのです。  清少納言が唯一の主人、最愛の主人と思い定めた中宮に捧げる想いが理解できるならば、それは間違いなく日本人である証拠であります。

 清少納言はこの時代の女性としては、有り得ないハッチャケタお姉さん風に描かれる事が多いのですが、例え“ハッチャケ姐御”に見えたにせよ、その内面には様々な想いがあったのだよ各々方というお話しであります
 えらく現世離れした王朝絵巻な小説ではありますが、通して感じるのは人に対する思いやり。清少納言の定子中宮に捧げる思いやりは全人生をかけたもの、これは今の日本人から消えかけている想いかもしれません。
しかし、この物語からそれが読み取れるならば、我々の深層に同じ想いが有るからだとおもいます。読まれた方は何を感じられるのでしょうか?


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