大橋むつおのブログ

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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評『ゼロ・グラヴィティ』

2013-12-15 07:08:05 | 映画評
タキさんの押しつけ映画評
『ゼロ・グラヴィティ』


これは、悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に流している映画評ですが、もったいないので転載したものです。


こら、凄ぇ映画なんですが、まず文句を一つ“ゼロ・グラヴィティ”ってのは邦題です。

 原題は“GRAVITY”重力って意味です。それが“0”だから「無重力」っちゅうのが邦題、しかし 見終えての感覚からすれば原題のグラヴィティ=重力ってのがピッタリ。これが日本語タイトルならわからんでもないが、英語タイトルでなんでわざわざ“ゼロ”を付けたのやら……責任者出てこんかい!〓

 さて、気が収まったので後は褒め称えるのみ。映画には、記念碑的作品がたまにあらわれます。本作もまちがいなくそういう一本で、“グラヴィティ”以前と以後という風に表現されるでしょう。
 スペースSFが、かつて“2001年宇宙の旅”の前と後に分けられたように、後には“STAR WARS”の前と後に分けられたように、必ず“グラヴィティ”の前と後に分けられる表現になります。それは、宇宙空間を描くテクニックにもありますが、本作が単なるSFにとどまらず、人間存在の深い部分を描き出している事にもあ
ります。
 某監督の“ツリー オブ ライフ”なんてな一人よがりな作品が有りましたが、基本 本作は同じテーマです。ところが、某ツリーは眠気を耐えるのに必死にならなければ見通せなかったのに比べ、本作は全編ハラハラドキドキ、眠気? それって何? いや、じつに恐ろしい体験をサンドラ・ブロックと共にします、眠っているなど……何言うてまんねん。“エイリアン”を始めて見た恐怖にも似ていす。  本作、“2001年宇宙の旅”へのリスペクトに満ち溢れています。“2001年~”公開時、あまりの難解さに賛否両論、もしあの時本作が有ったならば「なるほどそうやったんか」とみんなが納得しただろうと思います。他には“エイリアン”のシガニー・ウィーバーのオマージュ、そしてリアルタイムムービーとしての挑戦……本作、信じられない事に91分の映画、宇宙空間で作業中 デブリ(宇宙ゴミ)に襲われ逃げる間もなく大惨事に巻き込まれる。
 ロシアが不用になった衛星を爆破したため発生したデブリが他の衛星をも巻き込んで予想以上のデブリの集団を産んでしまった。なんで“ロシア”なん?中国って言うたらんかい!実際、一番最近 衛星をミサイルで破壊したのは中国やんかいさ。主人公が最後に目指すのが中国の宇宙ステーション(現実にはそんな物は存在しない)であるから、皮肉にもなるとおもうんやけどね……まぁそらよろしいわいな。サンドラ・ブロック演じる主人公は、何の命綱も持たず宇宙空間に投げ出される、絶体絶命! これが怖い!ほんまに怖い。そこから救われ、しかし運命は二転三転、更なる窮地に放り込まれる。生還をあきらめるのも一度二度じゃない、それをなんとか乗り越えて行く。それがリアルタイムで描かれていく。“12人の怒れる男たち”を見る感動がある。
 “2001年~”“ツリー オブ ライフ”と同じく、人間の生と死 そして再生の物語、しかし 本作の90分の方が見る者の胸にガンガン迫って来る!映画の醍醐味ってのはまさにこれであります。  タイトルロールにNASA VOISE エド・ハリスの文字、エドは“アポロ13”でケープ・ケネディの地上管制官のボス/ジーンを演っていた人(あたしゃ大ファンです)こんなキャスティングもSF映画ファンにはたまらない。それと、本作、基本的に登場人物はS・ブロックとG・クルーニーの二人だけ。サンドラが本作でオスカー有力と言われる位なのでちょと置いといて、G・クルーニー……格好良すぎ! 男前! クルーニー演じるキャラクターは殆どの男が「こうありたい」と羨望の目で見る役柄、本作の飛行士マットは、そらもう究極であります。この時点でそんな選択を……しかも事も無げに出来る男……いやもう痺れた! 男ならほんまにこうありたい。
 まだまだ有ります。カットの撮り方を言うと、リアルタイム作品の殆どがそうであるように本作もワンカットが長い。しかも、ロングで撮っているシーンが人物に近寄っていくと いつの間にか自然に人物のヘルメットを通した画像になっている……なんでも無さそうで この撮影は凄い。
 テレビのCMで、宇宙船内でサンドラの涙が無重力で浮かび、その涙にサンドラが写っているのが凄いとか言っているが、こんなテクニックは前からある。しかし、使われているシーンが「ここしかないやろ」と思えるシーンなので効果抜群でした。
 これ以上は書きすぎになります。もっと書きたいけど、もう止め時。 後はご自分の目と体で感じて下さい。私、サンドラと一緒に宇宙を漂い、彼女があきらめた所では一緒に覚悟し、彼女の希望は私の希望で有りました。そして、ラスト……本作の題名は“ゼロ・グラヴィティ”ではなく“GRAVITY”でしか有り得ません。パンフレットにも“ゼロ・グラヴィティ”ではなく“GRAVITY”と有ります。なんで? ああ、これは文句じゃないんですが……う~ん、作品中に入る効果音楽が煩く感じる時が有ったかなぁ。ご存知のように宇宙空間は無音です。ここは音楽が無い方がええんとちゃうんか?と思うシーンが
幾つか有りました……まぁ、趣味の問題でありますら。

 兎に角、見て下さいませ、絶対損はありません。


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