鳴かぬなら 信長転生記
どこまで狙ってるんだろう!?
コウちゃん……ボクと大橋姉さんに血の繋がりは無い。兄さんのお嫁さんだから、ほんとうは義姉さんと呼ぶべきだし、書くべきだ。
でもね、建業の宮殿で「義姉さん、この花壇の前で撮らせて!」と言ったとき、コウちゃんは「いいわよ」と気楽にポーズをとってくれて、こう言った。
「チュウボウが言ってくれる『義姉さん』には『姉さん』の響きがあるわね(^○^)」
「え?」
「音にしたら『ネエサン』でいっしょなんだけど、微妙に柔らかくって実の姉として呼んでくれてるみたいで、とっても嬉しいわ」
「え、あ、そうかなあ……特に意識はしてないんだけどね(#*´△`*#)」
「わたし、姉妹って妹の小橋だけでしょ、ほんとうの弟ができたみたいで、とっても嬉しいのよ(^▽^)」
「ア アハハハ ありがとう姉さん!」
うまいよ義姉さんは。
ほんとうの弟みたいということでボクが義姉さんを女として見る目を封じたんだ。
ボクは、やっと十四歳の、それこそ中坊なんだけど、五年もたてば一人前の男だ。義姉さんとの年齢的な距離はぐんと縮まって来る。それを見据えて、見事に釘を刺した。
実を言うと、兄さん(孫策)は嫉妬深い。
ボクが義姉さんを女として見ることは絶対に許さない。だけど、兄さんは鷹揚、温厚な国王として評判をとってきた。ボクと義姉さんの仲を疑ってそうそう邪険なこともできないし、させてはいけない。
ある日突然、妃、あるいは弟を、あるいはその両方を始末するとかね。そういうことは魏の曹操の専売特許だ。
そのまま『姉さん』の響きで呼ぶのも面白くないので、それからは『コウちゃん』という呼び方もしている。義姉さん、正しくは紅茶妃大橋だからね。間違ってはいないさ。
三蔵法師大説法会は予想をはるかに超えて、豊盃始まって以来のフェスティバルになってしまった。
このまま解散しては、熱が収まらずに、公園の中の人たちは勢いのままに街中に繰り出して、その様子に刺激された豊盃の人たちが……なんというか……暴れるよ。
豊盃は独立した自由都市だから、日常の治安維持のための警察組織しかない。街中がフィーバーしたら、きっと手が付けられない。
ピーーーーン!
マイクがハウリングする尖がった音がして、聴衆は一瞬身を縮こまらせる。
『みなさーーん! まだまだ熱は冷めませーん!』
ウオーーー!!
『豊大街大通りの使用許可を取っていますので、これからはパレードに移ります!』
ウオーーー!!
これで流れができた。三蔵法師を載せた馬を悟空・猪八戒・沙悟浄が囲んで先頭を行き、その後ろをコウちゃんとリュドミラが乗った馬車が続く。むろん、その後ろには、すでに満を超える群衆が続いていく。
「で、コウちゃん、この後はどうするの?」
ちょっと心配で馬車の傍に寄って聞いてみた。
「アハハ、考えてないわぁ」
「「え(¯□¯;) !?」」
馬車のリュドミラといっしょに驚いた。
「まあ、二時間もパレードすれば、みんなくたびれて自然解散になるんじゃないのぉ(^_^;)」
ああ、ちょっと尊敬しすぎたかなあ……
楽隊はボレロをマーチ風にしてくれて、パレードは豊大街ストリートを北に向かっての大行進になった。
そして、二キロちょっと行進し、そのあとは北の楼門を開けて豊盃の外に出てしまうという時、大行進の前に五十騎余りの騎兵が現れた……。
☆彡 主な登場人物
- 織田 信長 本能寺の変で討ち取られて転生 ニイ(三国志での偽名)
- 熱田 敦子(熱田大神) あっちゃん 信長担当の尾張の神さま
- 織田 市 信長の妹 シイ(三国志での偽名)
- 平手 美姫 信長のクラス担任
- 武田 信玄 同級生
- 上杉 謙信 同級生 配下に上杉四天王(直江兼続・柿崎景家・宇佐美定満・甘粕景持 )
- 古田 織部 茶華道部の眼鏡っ子 越後屋(三国志での偽名)
- 宮本 武蔵 孤高の剣聖
- 二宮 忠八 市の友だち 紙飛行機の神さま
- 雑賀 孫一 クラスメート
- 松平 元康 クラスメート 後の徳川家康
- リュドミラ 旧ソ連の女狙撃手 リュドミラ・ミハイロヴナ・パヴリィチェンコ 劉度(三国志での偽名)
- 今川 義元 学院生徒会長
- 坂本 乙女 学園生徒会長
- 曹茶姫 魏の女将軍 部下(備忘録 検品長) 曹操・曹素の妹
- 諸葛茶孔明 漢の軍師兼丞相
- 大橋紅茶妃 呉の孫策妃 コウちゃん
- 孫権 呉王孫策の弟 大橋の義弟
- 天照大神 御山の御祭神 弟に素戔嗚 部下に思金神(オモイカネノカミ) 一言主