オモクロの路上ミニライブを観ている中に、AKR47のディレクターの黒羽がいた。筋向かいのコーヒーショップの二階席には、帽子を目深に被った大石クララもいた。
ミニライブが終わると、黒羽ディレクターは普通のファンのように拍手して、クララが待っているコーヒーショップの二階に上がった。
「どうだった」
握手会をやっているオモクロの子たちを見下ろしながら黒羽は聞いた。
「勉強になりました」
「そうか……それはよかった」
二人の会話は、あらかじめ決まっている。黒羽が、そう決めたのだ。黒羽は、クララの「勉強になりました」の言葉の響きや、表情から反応を観察して、オモクロがAKRの、いい当て馬になるかどうかを見たかったのだ。
クララの言葉には熱がなかった。論外なんだろうなあ……黒羽は、クララの反応をそう受け止めて苦笑いした。
そして、その苦笑いを、路上からしっかり見ていた男がいた。
オモクロのプロディユーサーの上杉である。
上杉は、最初から黒羽の存在には気がついていた。黒羽の向かいの子が大石クララであることも分かっている。
上杉は悔しかった。人知れず偵察にこられ苦笑されたことが。
――やっぱり、黒羽には勝てないか……。
そう思って、視線を落としたところで気がついた。いや、オーラを感じてしまった。
黒羽に負けないくらい冷めた目。だけど握手会をじっと見ている二人の少女……。
気がつくと、二人の少女に声をかけていた。
「ちょっといいかなあ……」
むろん二人の反応は、駅前であしらったデコボコニイチャンたちへの反応とは違っていた。
二人の少女は、その足でオモクロの所属事務所に向かった。あっけないほどの展開である。
それもそのはず、この出会いと展開をコントロールしていたのは、通行人の女の子に化けた雅部利恵である。利恵は、久々に天使らしい良いことができた……そう無邪気に喜んでいる。
利恵は、こうやって、ルリ子と美紀をアイドルにすることに成功した。
ミニライブが終わると、黒羽ディレクターは普通のファンのように拍手して、クララが待っているコーヒーショップの二階に上がった。
「どうだった」
握手会をやっているオモクロの子たちを見下ろしながら黒羽は聞いた。
「勉強になりました」
「そうか……それはよかった」
二人の会話は、あらかじめ決まっている。黒羽が、そう決めたのだ。黒羽は、クララの「勉強になりました」の言葉の響きや、表情から反応を観察して、オモクロがAKRの、いい当て馬になるかどうかを見たかったのだ。
クララの言葉には熱がなかった。論外なんだろうなあ……黒羽は、クララの反応をそう受け止めて苦笑いした。
そして、その苦笑いを、路上からしっかり見ていた男がいた。
オモクロのプロディユーサーの上杉である。
上杉は、最初から黒羽の存在には気がついていた。黒羽の向かいの子が大石クララであることも分かっている。
上杉は悔しかった。人知れず偵察にこられ苦笑されたことが。
――やっぱり、黒羽には勝てないか……。
そう思って、視線を落としたところで気がついた。いや、オーラを感じてしまった。
黒羽に負けないくらい冷めた目。だけど握手会をじっと見ている二人の少女……。
気がつくと、二人の少女に声をかけていた。
「ちょっといいかなあ……」
むろん二人の反応は、駅前であしらったデコボコニイチャンたちへの反応とは違っていた。
二人の少女は、その足でオモクロの所属事務所に向かった。あっけないほどの展開である。
それもそのはず、この出会いと展開をコントロールしていたのは、通行人の女の子に化けた雅部利恵である。利恵は、久々に天使らしい良いことができた……そう無邪気に喜んでいる。
利恵は、こうやって、ルリ子と美紀をアイドルにすることに成功した。
むろん白魔法でアイドルをやれるだけの素養は付けてある。ほんとうは、ルリ子のグループみんなをアイドルにしてやりたかったけど、オチコボレ天使の利恵には二人が精いっぱいなのだ。
かくして、ルリ子と美紀はオモクロのメンバーになった。
オモクロは、略称こそ変わらなかったが、正式名称は変わった。
オモシロクローバーではない。
想色クロ-バーである。
かくして、ルリ子と美紀はオモクロのメンバーになった。
オモクロは、略称こそ変わらなかったが、正式名称は変わった。
オモシロクローバーではない。
想色クロ-バーである。
オモシロ系の色は一掃され、清楚とビビットが同居したようなアイドルグループになった。
むろんセンターは、奇跡のようにのし上がってきた吉良ルリ子である……。
むろんセンターは、奇跡のようにのし上がってきた吉良ルリ子である……。