●わっ、かわいい!これ、みんな手編み!
2年前の義妹からの手編みのクリスマスプレゼント。
トロムソに来てから、
雪国ならではのデザイン、しかも手編みには関心する。
「小さい頃から編んでるもの」
というセリフもよく聞く。
義母も この一人で、
若い頃、会議中でも編み物をしていたそうな。
そうすると、頭がよく働いたからだと言う。
それにしても、職場でそれが認められるなんて、
日本じゃ考えられない。
日頃も 時間ができると、彼女は編んでいた。
こういう環境にいると、
肩が凝るから編み物は絶対しない!と決めていた私でさえ
「ちょっと試してみるか」
という気になってくるから、不思議だ。
●「編み物でコミュニケーション!」の企みが・・・
義母とのコミュニケーションにもなるだろうと、
伺うように言ってみた。
「相方さんの帽子を編みたいんだけど・・・」
すると、待ってました!とばかりに
毛糸と編針が出てきた。
やられた(笑)。
私はその場で、避けてきた編み物をすることになった。
肩の凝らない姿勢から、編み方まで
義母は、何度でも見せて教えてくれる。
失敗はすっと直してくれ、
疲れた頃には、手作りケーキとコーヒーを出してくれる。
義妹も、子どもの頃から、
こうやって教わってきたらしい。
お蔭で、私も帽子ばかりだが、5個編むことができた。
そう言えば、
編みながらお喋りする「編み物カフェ」はあるけど、
「編み物教室」は、聞いたことがない。
この伝承こそが、ノルウェーの文化だと思う。
※でも、皆が好きで得意なわけではないので、あしからず。
●目測で サイズがぴったり!
2年前の9月、娘と息子が来訪した時、
義母は一度会っている娘のセーターを編んでくれていた。
私は息子に帽子をプレゼント。(もちろん義母の指導の元)
私も娘もお義母さんの手編みセーターで。
どうもサイズが小さかったらしいけど。。。(>_<)
すると、もうクリスマスには
この帽子に合うセーターを息子に編んでくれていたのである。
娘の時と同様、目測のサイズは、息子にぴったり!
義母は、毎年クリスマスまでに
子ども、孫やひ孫にと、どんだけ編むことか!
その中に私も、息子も娘も
入れてもらっていることに、感無量であった。
●義母から編み物が奪われて
その義母が、昨年8月末脳梗塞を起こし、
右腕が動かず喋ることができなくなってしまった。
もう編み物もできない。
私もお義母さんから教わることはできない。
孫娘の婿に、と編みかけていたセーターは、
義妹が、引き継いで編んだ。
ある日、入院中の母を訪ねると、
私に雑誌のあるページを見せる。
私:私が編むの?。
義母:(頷く)
私:私に編める?
義母:(大きく頷く)。
私:でも、編み方がわからない。
義母:(じっと私を見る。)
私:・・・じゃあ、義妹に教えてもらう?
義母:(うんうん、とにっこり大きく頷く。)
ヨレヨレ。裏のノルウェー語解説は難しすぎて理解不能。
それが、昨年11月の末。
密かに「義母へのクリスマスプレゼントにしよう」と、
義妹に教えてもらいながら、
私にしたら、猛スピードで編み始めた。
しかし、諸々の事情で間に合わず、
滞っている間に、コロナ波到来。
妹さんにも聞けず、ネットでもわからず、
セーターは、完成前に棚で眠ることになった。
●失くした帽子の生まれ変わりに励まされ
この冬を前に
友人から温かいサプライズを頂いた。
昨年、私は自分で編んで大喜びしていた帽子を失くして、落胆。
そこで彼女は、それと同じデザインの帽子を編んでくれたのだ。
この手袋に合わせて編んだ帽子が、質を上げて再現された!
私があれをもう一度編むには、時間がかかるだろう。
ズバリ!私のことをよくわかってくれている。
彼女は、子どもを産んだばかりで忙しいというのに・・・
そこで、私は思い立った。
やっぱり、お義母さんにプレゼントしよう!
そこで、また義妹さんに教えてもらい、
再び編み始めている。
●編み物をしている時間
音楽もかけず、編んでみる。
ゆっくりと 静かな時間
横で相方さんが何やら読みながら、
たまに話しかけてくる。
いろいろな人が、思い出と共に浮かんでくる。
こんな時間もいいなあ。
義母も、こんな時間が好きだったのだろうか。
編み物の面白さには、まだまだ程遠いところで
想いめぐらす初冬の夕べである。