週末には先にご紹介したイル・メールロさんのリサイタルにお邪魔して参りました。
下調べはチェンバロについて少し。
ピアノはハンマーで叩いて弦を振動させて音を出す「打弦楽器(だげんがっき)」、
チェンバロは爪で弾くことによって弦を振動させて音を出す「撥弦楽器(はつげんがっき)」
チェンバロは、音の強弱ではなく、アーティキュレーション(それぞれの音の結び付け方や区切り方)や、アゴーギク(速度を速くしたり遅くしたりと微妙に揺らし、音の表情や動きに変化をつける技法)を駆使して、繊細なタッチとしなやかなリズム感を表現して演奏します。
今回はソプラノ、リコーダーのかたとのアンサンブルでの演奏いらっしゃいましたので
アンサンブル名にもあるように鳥に関わる楽曲が多く、珍しくとても楽しめました。
ただ私の興味はひたすらチェンバロ!!
日本製のチェンバロは琳派の絵画を見るように美しく、華やかです。漆の宝箱を見るようです。
去年もお聞きしましたが、上羽さんの演奏には何かしっとりとした落ち着きが感じられます。
ピアノは「わたしがひいています」感が強く出て、聞く私も「ピアノ聞きます」という気持ちになるのですが
チェンバロは音自体に艶、芸術性があり、この楽器を愛する人、この楽器を信じる人の力がその音の後からにじみ出てくる。
そんな印象を受けるのです。演奏にはきっと大変な技術と経験、才能が必要なのでしょうけれど
それをストレートに強く押し出さない、音の表情が切なく、優しく素敵です。
時間に制約があり、最後までお聞きできなかったのが残念です。
また機会がありましたら演奏会にお邪魔したいと思います。