小窓の上に、森芳雄の作品を2点飾らせていただきました。
特に「赤い部屋」については、このつれづれに何度も書かせていただいている記憶がありましたが、
カテゴリー検索をしてみても、この作品についての記事が見当たらず、結局この作品についてきちんと記事を書かせていただいた事が無かったのだと気づきました。
森芳雄の絵の上手さは十分に認めていても、なかなかピン!とくる作品に出会う事がなかった私が、現在、当店所有の油彩画の中で、この作品を「お気に入りトップ3」に入れていることに自分でも驚きます。
隣に並んでいる「鳥」は、森芳雄の評価を高めている一連の母子像の延長にある作品として、大変面白く、魅力的な「大人の作品」だと思っておりますが、それとは別に、「赤い部屋」は森芳雄の真の描写力、そして「物の見方」を味わえる作品だと思っています。
森芳雄の裸婦のシリーズの延長上にある作品というよりも、森芳雄の「色シリーズ」とお伝えした方がわかりやすいかもしれません。
何が描いてあるかわからないとおっしゃるのは、頭で絵をご覧になっている証拠。
そこから脱しようとするのが、抽象絵画でしょうけれど、その具象と抽象の間を行ったり来たりしながら
楽しめる、観る自分を広げられるのが、この作品の奥深さだろうと感じています。
美しさとはなんだろう?
困難に出会うたびに、「自分の眼は広がり、深まっているのだ」と信じたい気持ち。
その信仰にきちんと応えてくれる作品の一つにこの「赤い部屋」を挙げさせていただきたいと思います。