つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

裏庭の椿

2024年03月25日 | 日記・エッセイ・コラム
椿はつぼみをつけるまでは楚々として上品な姿を保っていますが、ある時期を迎えると一斉に開花をはじめ、驚くような数の花をつけ、上品の姿はおろか、なぜか少しグロテスクな印象を見る者に与えます。

そして、咲いた花はやがて生気を失い、色あせるまでギリギリ樹木にぶら下がり、やがてまたほぼ一斉に落下します。

寺田寅彦は「藤の実」という作品で、5月に咲くあの美しい藤の花が、秋になると驚くほどの威力でそのさやから実を飛ばすこと、しかもそれもある時期に突然一斉に行われることに触れ、椿の落下、銀杏の落葉、しいては山火事などの災害、人のケガや病気の亢進などにも「潮時」というものがあるのではないかと述べています。

物理学者であった寺田が、随筆や俳句にもすぐれた作品を残したのは有名ですが、この「藤の実」を読むとき、「近代日本」の思想というものを強く感じ、何か少しホッとするような気持になります。

人が自然の中にいた、自然の一部であるという実感を持っていたのだと思います。

明日店の図書室に並ぶいくつかの画集を開けば、近代日本の画家たちの誰かが、今私が自宅の裏庭の一本の椿の木に感じている「気配」を、見事に表現してくれているでしょう。






例えば徳岡神泉の椿など。

この共感、信頼感こそ近代日本絵画の素晴らしさだと思っています。

いよいよ三月も最後の週になりました。今週もどうぞよろしくお願い致します。




藤の実の実験動画↓
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どこから?

2024年03月25日 | 日記・エッセイ・コラム
著作集の1は洋画論 現代日本 と題されています。

現代?というところに時代を感じますが、1巻に掲載されている作家、選ばれている画家は私どもがすでに「近代」の範疇に入れ、その作品を重視していますので、大変興味深く感じました。

掲載作家は

金山平三、岡鹿之助、山口薫、脇田和、森芳雄、牛島憲之、岡田謙三、児島善三郎、小絲源太郎、林武、海老原喜之助、長谷川三郎、土田文雄、金山康喜、梅原龍三郎


著作集の2は洋画論 近代日本 と題されています。
こちらはまさに「近代」を代表する画家たちの評論です。

浅井忠、黒田清輝、岡田三郎助、藤島武二、坂本繁二郎、中村彜、佐伯祐三、萬鉄五郎、国吉康雄、藤田嗣治、前田寛治、山下新太郎、安井曽太郎、熊谷守一

さて、わたしはどこから?どの作家についての文章から読み始めたでしょうか?

クイズというよりみなさまならどこから読み始めたいとお思いになりますか?

著作集に掲載の画家の中からお好きな一人をお教えください。
理由とかそういうものはいりません。また鳥海青児展についてのご感想もお寄せください。

萬鉄五郎、鳥海展はブログの画像と違って実物は明るかった。

藤田嗣治、鳥海展には出かけられずに残念でした。ノートルダムを見てみたかった。

坂本繁二郎、鳥海青児という名前を初めて知りました。

というような簡単なコメントで構いません。

お彼岸で気持ちがまた少し凹んでしまっていますので、コメントをいただくと助かります(^^)

よろしくお願い致します。








コメント (5)
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