「トリアージ」という言葉を知っているだろうか?
今評判のフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』で見ると
“トリアージ(Triage)は、災害医療における多数の傷病者を
重症度と緊急性によって分別する方法”となっている。
今朝のNHKニュースでは総務省消防庁はこの「トリアージ」の考えを
救急車の搬送基準にも取り入れようと検討会を開いているということを伝えていた。
近年、高齢化や人々の意識の変化に伴い、救急車の出動回数は飛躍的に増えている。
救急車を無料で病院に運んでくれるタクシー代わりに使う人までいて、
到着時間も遅れる傾向にあるといわれている。
しかし、このニュースを聞いて、自分の体験から疑問に思うことがある。
“傷病者を重症度と緊急性によって分別”するということだが、
いったい誰が分別するのだろう?
傷病の重症度とは必ずしも見かけによらない。
私の体験など多くのうちのほんの一例であるとは思うが…
くも膜下出血を起こしたとき、救急車が来た時点で
私は意識もはっきりとあったし、血圧も呼吸も正常であった。
自分自身で突然、頭に何かあったという感じが主訴で
人目にもわかることは、少しだけ嘔吐したことであった。
一方、過換気症候群の時は、呼吸はひどく乱れていたし、、
全身が痺れて、自分もとても苦しかった。
周りの素人が見て重症のように思うのは、過換気症候群だったと思う。
しかし、過換気症候群はそれで死ぬことはない。
くも膜下出血は遅れれば命にかかわったり、後遺症の軽重にもかかわる。
義父が脳梗塞の発作を起こしたときも、
義母は「お父さんがベッドから落ちたので、持ち上げるのを手伝って!」と
最初は全く、大変な状態だという意識がなかった。
義父は意識はあったが、しゃべり方がおかしかった。
「これは脳梗塞!」と私は思って、すぐに救急車を呼んだが、
義母は「救急車なんて呼ばなくてもいいんじゃない?」と始めは言っていた。
救急隊の人でさえ、「普段はどういう人ですか?」と聞いた。
91才の老人では普段からそんな状態の人もいないことはないという状態だった。
しかし、私が見た限り、普段の義父では考えられない状態だったので
急いで病院に運んでもらった。
果たして思った通り脳梗塞だった。
脳梗塞の手当は早かったが、間質性肺炎を罹っていたため
救急車で運ばれてわずか18日で他界した。
救急車の搬送基準に「トリアージ」の考えを入れるとなると
通報の内容を聞いただけで、重症では無く、
救急車で搬送する必要がないと判定されて来てもくれないのだろうか?
救急車が来て救急隊が判定して搬送の必要なしとして帰ってしまうのだろうか?
いずれにしろ、医師が患者を診て判定するのでなければ
大きな間違いも起こりやすいと思う。
また次々訴訟沙汰になるのでは、何の役にも立たない!