あるきメデス

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伊豆の湯の町 伊東を巡る(静岡)〈続き〉

2015-03-21 20:30:50 | JR東日本駅からハイキング
 2015年3月18日(水) <続き>

 市役所の食堂で昼食を済ませ、駐車場の隅から北東に接する日蓮宗の霊跡本山で広い境
内に幾つもの堂宇のある佛現寺に入る。


 日蓮聖人が伊東配流(はいる)の3年間、伊東家鬼門除けの毘沙門堂で修行し、42歳
の弘長3年(1263)に赦免されて鎌倉に帰ったが、その草庵跡がここ佛現寺だという。

 霊跡本山にふさわしい堂々たる本堂に相対して、新しい多宝塔が立ち、ほかに釈迦本仏
殿、毘沙門堂紫雲殿、常経殿、鐘楼、庫裡などが豊富な木々の間に広がる。
      

 寺には、「天狗の詫び証文」と呼ばれる判読不能の巻物が保管されているとか。

    
     境内の、コブシやムラサキモクレンが花を見せる。
          

 多宝塔の横から石段を下がり、市街地に入って北東に進む。信号のある交差点際の魚屋
さんに、幾つかの魚の生干しやみりん干しが並んでいた。
    


 松川の下流の橋近くに八幡神社が祭られ、隣接して静岡県内最古の交番建築という「伊
東観光番」と呼ぶ交番があった。
      

 橋のたもとの小公園には、伊東市の友好都市であるイタリアのリエティ市から2001
年に贈られたという、大きな「オリーブオイルの石臼」と、オリーブ娘と呼ぶ石のモザイ
ク画が置かれ、公園には10数本のオリーブの木もある。




 松川右岸の最下流沿いの遊歩道を進むと、江戸城築城石が数個並んでいた。

 江戸城大修築工事は慶長10年(1605)から半世紀にわたり、伊豆各地から石を切
り出したとか。特に伊東は20家に及ぶ西国大名により、56か所の石切場が開かれ、石
舟数千が伊東と江戸とを往復したという。

 並ぶ築城石には、大名の所有を示す刻印や、石を割ったときの穴や切り込みが残されて
いて、〇に十字は島津家のものらしい。
        

 海辺を走る国道135号の手前には、英国人ウィリアム・アダムス(日本名 三浦按針
(みうらあんじん))の事績を顕彰した「按針音頭」の歌碑がある。


 国道に出て右折して、ローソンのそばで交差点を渡り、海側の歩道を橋際に戻ると、小
スペースに幾つかのモニュメントが設けられていた。


 「日本初 洋式帆船建造の地」碑は、1604年頃、ウィリアム・アダムスが家康の命
を受け、ここ松川河口で日本最初の洋式帆船2隻を建造したことにちなむもの。

 傍らに「海の男 ウィリアム・アダムス」像もある。
  

 ウィリアム・アダムスは、オランダの東洋遠征艦隊の主任航海長として1600年4月、
いまの大分県臼杵市に漂着し、徳川家康に信頼されて航海術、砲術、天文学、数学などを
教えたという。

 4年後、ここで帆船2隻の建造をした功績などにより、三浦郡按針村(現在の横須賀市)
に250石の領地を与えられ、名を三浦按針とし、その後中国や南方貿易を営むなどして
おり、それらの業績を称えて碑が建造されたらしい。


 波間に浮かぶカモメの群れを見ながら渚橋を渡る。北東に突き出たなぎさ公園に入り、
園内にある伊東出身の彫刻家・重岡建治氏の彫刻を眺めながら海沿いを回り、北側の港の
横から国道に戻る。





 さらに進む国道沿いには、磯料理の店や干物製造直売所が幾つか並んでいる。


 二つ目の信号横の海辺には、木の下杢太郎が読んだ「海の入日」の詩碑が立っていた。
    

 国道を離れて南西への通りを進み、中ほどにあった「伊東市立木下杢太郎記念館」に入
館する。


 医学者にして、詩や戯曲、小説、評論、随筆、美術など広い分野で優れた業績を残した
木下杢太郎(本名 太田正雄)をたたえ、その資料を展示公開するため、生誕百年の昭和
60年(1985)に開館したもの。


 土蔵造りなまこ壁の建物は明治40年(1907)の建築。奥には天保6年(1835)
に建てられ、伊東市内に現存する最古の民家で、市指定文化財になっているた生家が、当
時のままの状態で保存されている。

    
 展示室を一巡し、杢太郎自筆の書状や全集、ノート、遺愛品、古書、「百花譜」と呼ぶ
植物画などを見る。
        


 また、真菌やハンセン病、皮膚腫瘍などの研究で高い評価を得たという、皮膚科の医学
者で東京帝大教授も務めたという太田正雄に関わる展示も見て、いままであまり知らなか
った木下杢太郎の、偉大な業績の数々をうかがい知ることができた。


 奥の生家にも回り、生活用具の並ぶ部屋や、杢太郎誕生の間↓なども観覧する。


 松川に近いスクランブル交差点まで戻る。西南に少しの、観光案内などをしているとい
う「伊東ふれあいセンター」に行くが、水曜は休館日だった。



 往路のアーケード街を抜け、湯の花通りの入口の市川製茶店に入って土産物を求める。
湯の花通りも逆行して、伊東市観光案内所には14時9分に戻った。


 10分後に発車の熱海行き上り電車は、往路と同じ伊豆急線からの「リゾート21」車両。
往路同様、約4時間かけて18時過ぎに帰宅した。

 下田など伊豆半島東岸には何度か訪れているが、いつも通過していた伊東市内を初めて
巡り、知らなかった伊東の歴史や旧跡、ゆかりの人など、多くの理解を深めることができ
たウオーキングだった。

(天気 晴、距離 7㎞、地図 駅からハイキング地図(1/2.5万 伊東)、歩行地
 伊東市、歩数 12,800)




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