あるきメデス

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所沢市と三芳町境にあるボタンの多聞院と多福寺へ(埼玉)

2017-05-01 18:23:25 | ウオーキング
 2017年4月30日(日)

 今日も快晴となったので、所沢市の東北部、三芳町(みよしまち)との市町境付近にあ
る二つの寺を訪ねた。

 今回のコースも、所沢市役所発行の「ところざわウオーキングナビ4」北エリア、「先
人たちの息吹を感じ歴史を巡るコース」を参考にした。

 自宅を10時42分に出て北へ、いつもの市内ウオーキングルートのひとつ、弥生町か
ら市民体育館構内を東に抜ける。


 米軍所沢通信基地↑の北側、中新井の住宅地の北に出て砂川堀(すながわぼり)沿いの
車道を進む。畑の背高い小麦はもう穂を揃えて風に揺れている。



 畑の中の十字路に三つの石碑があった。真ん中は近年の改道記念碑、右は馬頭観音塔、
左は西国・坂東・秩父観音霊場などの供養塔である。左の塔だけ天保2年(1831)の
建立時期が読めた。近くに、摘み頃と思われる狭山茶の茶畑がある。


 下流から9㎞の標柱付近から、暗渠(あんきょ)だった砂川堀の流れが見えるようにな
る。東に平行する多聞院(たもんいん)通りに入ると、伊勢丹所沢センターの大きなビル
があり、新緑がいっぱいな平地林も残る。
     

 500mほどで砂川堀の調整池で、昨年7月の台風被害の復興工事中。調整池の先に橋
があり、左岸沿いに遊歩道があったので回った。
     
 流れ沿いにも平地林が残り、流れにはカルガモが泳ぐ。



 平地林が切れると広々とした畑作地帯。流れが左カーブする辺りも、台風被害の工事中
で遊歩道は通れない。

 そばの橋を渡って多聞院通りに戻ると、近くにうっそうとした森に囲まれた富(とめ)
の神明社があり、12時30分に正面の鳥居を入った。

 元禄9年(1696)、上富村、中富村、下富村の三ヶ村を開いた折に創立されたとか。


 拝殿の左手には、所沢が「川越いも」のルーツであることから、平成18年(2006)
年に栽培開始255周年を記念して祭られた「甘藷乃神(いものかみ)」の社殿があった。
            

 神明宮に接して東側に、お堂や幾つもの花などが見えたので回ってみた。なんと、ここ
が今日の主目的地の多聞院だった。

 というのも、2万5分の1地形図「所沢」では、多聞院はその先の車道の北なので、ま
だだと思っていたのだ。



 多聞院の境内も、モミジやケヤキなど豊富な緑に覆われていて、300本を越えるとい
うボタンがちょうど見頃。出店も幾つか見られ来訪者もかなりの数である。
    

        

    

        

    

 多聞院は、元禄7年(1694)に川越城主となった柳沢吉保(やなぎさわよしやす)
が武蔵野の開拓を計画し、吉保の命を受けた曽根権太夫らが地割りを進め、短冊形の耕地
を均等に配分して2年後に完成した上富(かみとめ)、中富(なかとみ)、下富(しもと
み)の三か村の祈願所として創建されたという。

 境内の毘沙門堂は明和3年(1766)の再建、江戸中期御堂建築の貴重なものとして、
所沢市指定文化財になっている。

 本尊は、約4㎝の純金の毘沙門天で武田信玄の守本尊だったといわれ、信玄の死後に人
の手に渡り、やがて吉保の手に移ったという。


 毘沙門堂の濡れ縁には、「身がわり寅(とら)」と呼ぶ黄色い小さな寅がたくさん奉納
されて並んでいる。毘沙門様の化身である寅に災いを託して納めたもののようだ。
    

 毘沙門堂の前に並ぶのも、狛犬ならぬ狛寅だった。
 

    
 境内ではほかに、「鬼の悟り」と呼ぶ石像↑や、菅笠を被った「笠地蔵」と呼ぶ六地蔵、
奥多摩新四国八十八か所霊場第36番土佐乃国青龍寺の小さいお堂などが目に入る。





 境内のボタンは、所沢市観光協会の「花の名所作り」の一貫として植樹されたとか。新
緑のモミジなどの樹林下で花を見せているので、境内を回りながら眺めた。


    

        

    




 ある一角にはクマガイソウの群落がたくさん花を見せ、シャクナゲやツツジも何か所か
で鮮やかな彩りを競っている。


 明日5月1日(月)には寅祭りが開催され、無病息災や東日本大震災復興祈願の護摩法
要が行われ、かなりの人出が予想されている。ボタンや新緑の観賞には、今日来た方が良
かったと思われた。

 境内を一巡してボタンや新緑などを鑑賞後、東側にある宝塔山会館で開催中の近くの神
米金(かめがね)写真倶楽部の写真展も観覧した。

 西側の神明社境内に戻ってベンチで昼食をして、13時35分に多聞院を後にする。


 多聞院前交差点を北西へ、道路の北側から三芳町となる。その三芳町側、多聞院墓地と
道路を挟んだ旭寝具(株)の建物が、地形図上の多聞院になっていた。建物の先を右折し
て次の多福寺(たふくじ)に向かう。

 新緑の平地林や墓地の横を400m前後で多福寺の境内林に入ると、大きなヤマツツジ
が3株ほどあり、たくさんの花が咲いている。


 さらに平地林と墓地の間を進み、東側の大きな山門をくぐって多福寺境内に入った。


 多福寺も、三富新田開拓入植者の菩提寺として元禄9年(1696)に柳沢吉保が建立
した寺。

 静かなたたずまいの境内、山門近くのフジ棚から花が下がり、きれいに整えられた新緑
のモミジなどが気持ちよい彩り。





 本堂に向かう右手に、大きなツツジが色鮮やかな花をいっぱい付けていた。
    


 多聞院の賑わいとはうって変わり、人気(ひとけ)の少ないこの寺の静けさは対照的で
ある。


     
 ツツジの横には色鮮やかなモミジもあり、近くには元禄時代(1688~1703)に
掘られた「元禄の井戸」が残る。

 三富の開拓をした際、一番の問題は飲用水で、柳沢吉保は上富地区に4か所の井戸を掘
ったが完全には水は出ず、近くの竹間沢村を流れる柳瀬川などから水を運んで生活したこ
ともあったとか。

 当時掘られた井戸で今も残されているのはこの井戸のみで、当時は「甘露水」と呼ばれ、
人々ののどを潤したという。

       
 山門横の鐘楼に下がる銅鐘は、柳沢吉保の家臣、曽根権太夫が多福寺に寄進したもの。
元禄9年(1696)に奉納され、三富新田開拓の様子が記されていて歴史資料としても
貴重なもののようで、埼玉県指定有形文化財である。




 山門を出た墓地際には、10数基の石像が並んでいる。左手の二つの建立時期は、寛政
3年(1791)と享保11年(1726)と刻まれていた。



 境内林の間を東に回って、方形屋根の木ノ宮地蔵堂に行く。

 地蔵堂は「富(とめ)の地蔵さま」として古来から親しまれ、江戸時代の古文書には、
延暦24年(805)坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)が北国遠征の際武蔵野で
道に迷い、地蔵菩薩に助けられその加護に感謝して地蔵堂を建立したと伝えられるという。

 現在の地蔵堂は安永6年(1777)の再建で、縁結び、子授け、子育てのお地蔵さま
として信仰され、4月下旬と8月下旬の縁日には多くの参拝者と出店で賑わうようだ。

       地蔵堂の東北側、道路近くには「甘藷の碑」がある。
       
 さつまいもは青木昆陽により広められたが、三芳町周辺では寛永4年(1751)、南
永井村(現、所沢市南永井)の吉田弥右衛門が千葉から種いもを取り寄せたのが始まりで、
江戸末期には畑の作物中最も多くなったとか。碑は、昭和18年(1943)に三富の人
々の手により建立されたという。

 ここが今日の最遠地で、14時16分に帰路に向かう。地蔵堂前の多聞院通りには、何
の供養か小さいお地蔵様がサクラの街路樹の下に祭られていた。
       

 多聞院通りを多聞院前交差点まで進んで左折し、南東に向かう。右手一帯は中富の畑が
広がり、小麦が穂を出していた。


 1㎞ほど進んで多聞院入口交差点で右折して、中富集落の家並みが続く県道56号・さ
いたまふじみ野所沢線に入る。両側に細い歩道はあるが車の交通量がかなりあり、気温が
上がり疲れも出てきた体にはやや煩わしい。


 地図上は北側に並行する細道があるのだが、集落の間を入っても確認できず県道を進む。
中富小入口交差点際に小さい神社があったが、何神社か分からなかった。


 広くて新しい県道126号・所沢堀兼狭山線の田宮交差点を横断、近くの松下交差点を
左折して県道に分かれ、すぐに右折して南東へ。

 家並みも少な目で、茶畑や右畑の向こうに林の残る静かな道となり、ようやく安心して
歩ける。

 T字路に出て右折し、今日の最後の目的地、中富民俗資料館に行くが閉館していた。市
のウオーキングナビでは第4日曜は開館になっていたが、4月から開館日を変更したばか
りだった。


 スーパー・ヤオコーの背後から県道56号に入り、米軍所沢通信基地の東側を進む。航
空管制部交差点を右折して、いつもの市内ウオーキングコースのエリアへ。
     
 市民文化センターや市役所前を通過して、西武新宿線航空公園駅↓を自由通路で越える。


 峰の坂交差点や宮本町交差点を経て、16時33分に帰宅した。
 
(天気 快晴、距離 16㎞、地図(1/2.5万) 所沢、歩行地 所沢市、三芳町、
 歩数 29,600)





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