立春寒波で日本海側は大雪の2月6日(土)、関東百駅巡礼歩行の第62番
に参加した。集合地は東武日光線の合戦場(かつせんば)駅。関東もこの冬で
一番という寒さで、無人の駅に降りると風が冷たい。
参加者は、東京、神奈川、埼玉からの6人、ボックス型の小さな駅を背に記念
撮影して、11時にスタートした。
ときどき、風に乗ってパラパラと風花(かざはな)が舞う。
閑散とした駅前を東へ、細い路地を抜けて行くと、「家中村警防団器具置場」
と右書きで記された古い消防器具置き場があり、中には、自動車でなく人手で
引く消防ポンプ車が残っていた。
県道3号の合戦場郵便局横に出る。向かいの、古いりっぱな構えの民家前に、
「小平浪平生誕地」の石碑があった。
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小平浪平(おだいらなみへい)は1874年1月生まれ、明治・大正・昭和期の
実業家で、日立製作所の創業者で初代社長だという。
南側の三差路を西に入り、駅南側の踏切を渡って、駅舎の裏手にある磐根
(いわね)神社に入る。
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創立は慶長元年(1596)、現社殿は文久3年(1863)再建のものとか。
参道に並ぶ木製の小灯ろうは、ほかではあまり見ないものだった。
神社の背後から、上原の住宅地を通過、北端の小さい林を抜けて自動車学校
の前を通り、田園地帯に出た。
田んぼの真ん中に落葉樹の大木が立つ。太い幹にはしめ縄が巻かれ、ご神木
のようだが、何の木なのかは分からない。
三本木集落の西に進み、地図上の湿地マークのところへ。遊水地のような感じ
だが水は無い、しかしその下流からは、きれいな流れがかなりの水量で湧き出て
いた。
流れに沿って少し進み、杉木立に囲まれた鹿島神社に入り、冷たい風を避けて
昼食とする。境内には、開け放たれた神楽殿があった。
広々とした田園地帯に出ると、風がいっそう冷たい。北集落の北側で、細い
あぜ道を抜けたりして、標高66.5m三角点表示のある小さい隆起や、吹上小
の北を回って東北自動車道の下を抜け、片蓋集落に入った。
赤津川の橋を渡り、すぐ北にある下野(しもつけ)三十三観音23番札所の伊吹
山聖観世音の善応寺に上がる。
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無住だが、山号の伊吹山は「美濃と近江の境にある山にあらず下野なり」と記
され、平安時代以降、多くの歌人に詠(よ)まれた、「かくとたにえやはいふきの
さしも草 さしもしらしなもゆる思ひを」の歌も、この地を歌ったものだという。
畑のあぜ道や日陰に残る残雪の小道を抜けて、住吉神社に東側から入る。
境内は、杉やイチョウなど豊富な木立に囲まれていた。
近くの駐在所でトイレを借り、片蓋の古い民家の間を南に向かう。やはり杉木
立の多い長宮神社の先で東北自動車道と赤津川の橋を渡り、台集落の地福寺
に寄る。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/59/d2237a141bfcf74abde15d581ce83f8b.jpg)
境内に樹木は少ないが、新しい石灯ろうや、経箱を背負った玄蔵三蔵法師像、
伝教大師像などの石仏が幾つか奉納されていた。
東北自動車道の栃木IC付近で、交差する県道32号の南に回り、赤津川右岸
沿いをしばらく進む。川には、欄干の低い同じ形の古い橋が幾つもかかっていた。
右からの永野川と合流する永野川緑地公園のそばまで進み↓、川を離れて前方
に見える錦着山に向かう。
山の北東山ろくまで行き、北から西へと半周する坂道を上がって行くと、標高
80.5mの二等三角点があった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/15/4a61648c066d884928b138695eb5fd1a.jpg)
さらに北側から展望塔のような建物の下に回ったが↑、施錠されていて上が
れない。そばに、予科練の歌の石碑や、いかりを形取った鉄造のモニュメントが
ある。三角点と塔の間には護国神社があり、海軍ゆかりの地であるようだ。
高台なので、南側に栃木市街が一望でき、南東方には筑波山の双耳峰もよく
見える。桜やツツジも多く、花どきには賑わいそう。
神社の石段を下り、南東に延びる直線の細い通りを、市街の中心に向かう。
古くからの商店街だったようだが、多くの店が閉められていて、その面影は残
された看板で想像するしかない。
第一小と栃木市役所の間を流れる「県庁堀」と呼ばれるコイの泳ぐ用水沿いに
入った。東側の三差路際に「文豪 山本有三文学碑」があり、近くには、木造洋
館の旧栃木県庁舎も残っている。
清流の巴波川(うずまがわ)の橋を渡って東へ向かう。
南北に走る広い通り、「蔵の街大通り」に出た。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4a/9c/4a9f90bdb1fb5b9d96f6215ca7a73355.jpg)
信号を渡ったところが、山本有三の生家である「山本有三ふるさと文学館」。
入館はせずに駅の方向に向かう。
電線を地中化してすっきりした通りの両側には、蔵づくの古い商店が幾つも並
んでいる。蔵の街観光館に入って栃木市のパンフレットなどをもらい、少し話を
聞く。
蔵の街大通りを1㎞ほど進み、ゴールのJR両毛線と東武日光線の栃木駅に
16時ちょうどに着いた。16時7分発浅草行き区間快速にて帰路につく。
この日、宇都宮の最高気温は4℃、近くの小山では2.3℃とのこと。風もあり
体感温度はさらに低い感じ。手が冷たく、始終寒さを感じながらの歩きだった。
(天気 曇時々晴、参加 6人、距離 14㎞、地図(1/2.5万) 栃木、歩行地
都賀町、栃木市)
ちなみに都賀町は、近隣の栃木市、大平町、藤岡町と合併して3月29日に、
新しい栃木市となる。