昼のガスパール・オカブ日記

閑人オカブの日常、つらつら思ったことなど。語るもせんなき繰り言を俳句を交えて独吟。

蕎麦搔

2017-12-12 03:05:18 | 俳句

オカブは蕎麦は大好きだが、この蕎麦搔というのは苦手だった。
冬になると、祖母がそば粉に湯を注いで練って作ってくれたが、粉っぽさが残る中で、かおるエグ味の何とも言えない野趣と言おうか、洗練されない味わいが嫌いだった。
しかし、蕎麦搔の風情は大好きである。
素朴なまでも素朴な冬の夜、この素朴な食べ物を味わうのは、子供心にも、俳味があろうと感じられた。
今は、蕎麦搔は大好きである。
歳を重ねるにつれ、好みも変わるものだ。
深大寺に行くと、そば粉を仕入れてくる。
それで蕎麦搔を作る。
季節の醍醐味と言える。

蕎麦搔や静か静かが静夜なり   素閑

師走入り人形町の蕎麦搔や   素閑

鉄瓶に湯気の上がりぬ蕎麦搔や   素閑

古里のなき江戸ものの蕎麦搔や   素閑

スキー宿茶請けと出すは蕎麦搔や   素閑

蕎麦搔や暮の町屋の雪模様   素閑


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寄せ鍋

2017-12-11 07:26:52 | 俳句

寒さが本番になってきた。
昨日も書いたが、寒いことは寒いが太平洋側の冬は、太陽の恵みに満たされているので、有難いものだ。
ヨーロッパの平野部の冬はどろんと曇天が続く。
鈍色の空と凍てつく周り。
都会の植樹の大半は落葉樹だから、眼を楽しませる緑もない。
こういう冬の中で、ドイツ人などは、どんどん鬱病になって行くという。
本当か噓かは分からないが、ヨーロッパの冬がそれだけ陰鬱なものであるかということは確かだ。
だから、彼らは生活の知恵で、冬にいろいろなイベントをやる。
感謝祭、クリスマス、舞踏会、夜会・・・・それなりの地位にいる人には、冬は一つの社交シーズンである。
日本の市井人であるオカブは冬は布団にくるまって丸くなっている。

寄せ鍋や帰り支度の大仕事   素閑

寄せ鍋や北の星見て愛でにけり   素閑

寄せ鍋に永久の友とぞ誓ひけり   素閑

貴きは妻と我が子の寄せ鍋や   素閑

朋輩の富裕の話寄せ鍋や   素閑






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冬田

2017-12-10 00:07:04 | 俳句

ここのところ、定まらない天候だ。
一昨日は絶好の冬日和。
昨日はどんより曇り、夕刻からは雨があった。
今日はまた、からりと晴れた冬晴れだ。
しかし、冬の晴れは有り難い。
この冬の好天は、太平洋側の特権である。
冬の陰鬱な天候は、心も圧し潰すかのようなものだ。
寒い寒いと言いながらも、太陽の恵みの幸せに浸れることは素晴らしいことだ。
これを見ている日本海側の方が居たらごめんなさい。
しかし、冬は冬で天は恵みを与えてくれる。
これも素晴らしいことだ。

一群れの枯れ芒染む冬田の陽   素閑

冬の田に山の下ろしの来たりけり   素閑

日本髪結ひて冬の田通りけり   素閑

冬の田や笹船浮かぶ日をまてり   素閑

村の果て冬田を駆ける童あり   素閑


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漱石忌

2017-12-09 00:07:07 | 俳句

当事者に良心があったなら・・・・
そういって悔やめる事件も社会には多い。
しかし、自分には社会的良心はないと思っている。
どんな事件にせよ、自分の本心は、新聞やテレビニュースの論調の正反対のものであることが多い。
そこで、こうした見方を抱いた自分を責めることになる。
しかし、自分を責めてもどうしようもない。
そうは言っても、ただただ、自分は世の中の屑と見做すだけである。
憲法、平和、子育て、福祉・・・・その他諸々・・・・・
変人が閑居して、ぶつぶつととんでもないことを独り言ちているに過ぎない。

学期末成果を問はず漱石忌   素閑

年金を憂うも愚か漱石忌   素閑

いづまひを正すも解くも漱石忌   素閑

卓袱台に梅干しひとつ漱石忌   素閑

漱石忌酒一合で偲びけり   素閑


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蠟八

2017-12-08 00:00:22 | 俳句

家族は大切であることは言うまでもない。
封建時代、日本の社会の最低単位は家族(家)であった。
明治に入り、絶対主義国家の形成が進む中で、国民・臣民の統治原理は家族主義であった。
臣民は、天皇の赤子というわけである。
終戦になって、天皇は象徴になった。
しかし、日本の家族主義は残り続けた。
松下電器(現パナソニック)の経営理念は家族主義である。
家族主義は一長一短がある。
いい意味での近代的個人主義が育ちにくいという弊害がある。
しかし、オカブは家族の重要性に焦点を当てた、家族本位の社会の在り方が望ましいと考えている。
だから、「男女共同参画」にも「子供は社会で育てる」という考えにも反対である。
これらは、母親から母親という重要な役割を奪って、一個の賃労働者の地位に貶める。
母性を奪い、母親以外の人間に子供を育てさせ、正常に育つわけがない。
少子高齢化の解消のカギは、女性の社会進出でも、保育園の増設でもないと思っている。
要は、女性が母親として安心して子育てに専念できる時期を、社会が保障し、子育てが終われば、なんらハンデなく、社会に復帰できる制度や意識を整えることが重要だと思っている。
しかし世の中は大競争の時代である。
ゆとりとかスローライフとかワークライフバランスとか耳障りのいい言葉に反して、確実にキツイ、世知辛い世の中になっている。
難しい問題である。

蠟八会巷の如仏に遭いにけり   素閑

蠟八の枯れた山田の土くれや   素閑

蠟八会肩すり合へり街の市   素閑

蠟八会しばれる足先さすりけり   素閑

蠟八会大疑団さへ冬和み   素閑

温糟の芋栗分けて食いにけり   素閑





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冬日和

2017-12-07 10:08:05 | 俳句

今日は、なにかと億劫な日だった。
やるべきこともせず、無為に過ごす時が続く。
世は、相撲だ、北朝鮮だと、いろいろ話題があるようだ。
まぁ、それはそれで、世人が気になり、取り立てて騒ぐべきことではあるのであろう。
しかし、こちらはわれ関せずである。
書類の束にに埋もれ、下手な俳句を詠んでいる。
明日、ミサイルが飛んでくる、ということになっても、腐った尻を上げずに、このまま過ごしているかと思う。
いささか煩わしいばかりだ。
何かと世間は忙しい。
昔と比べて、確実に世知辛い世の中になっている。
ただ、そういうことに無縁な、虱のような人間がここに一人いるというばかりである。

冬日和歳迎えのこと手に着かず   素閑

冬日和いのちの暇のあらばこそ   素閑

方辺をまろくたどるや冬日和   素閑

暮れる日を冬日和こそ恐れたり   素閑

冬日和明日は吹雪になりぬるか   素閑

あたりから野良猫集まる冬日和   素閑


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帰り花

2017-12-06 10:57:37 | 俳句

どうも、世のことに疎くなってきた。
新聞やテレビをにぎわすような事々ではない。
自分の身の回り、端的に言えば、家から出た先のことには興味がない。
他人様の家でなにが起ころうと、慶事であれ凶事であれ、あれ目出度い、あるいはお気の毒にと思うばかりである。
これでは、いけないと、外に出て、何らかの「社会参加」らしきことも、してみるのだが、した挙句はいざこざばかり起こしている。
周りも迷惑だろう。
まぁ、これも老人の戯言である。

世を捨ててうつろの日影帰り花   素閑

帰り花路地で遊ぶ子喜べり   素閑

山里に帰り花咲く田の流れ   素閑

弥勒佛脇にて咲けり帰り花   素閑

帰り花我が庭にもか手をかざし   素閑

 


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おでん

2017-12-05 00:38:48 | 俳句

昔は、夏冬問わず、おでんを食って酒を呑んでいた。
今から三十数年前のことである。
下北沢に『宮鍵』というおでん屋があった。
千客万来の人気店だった。
オカブもほとんど毎週末、通った。
それから、しばらくして結婚したこともあり、足が遠のいていた。
四年ほど前にふらりと訪れてみた。
店は、その当時の女将「おかあさん」の息子が継いでいた。
これはちょっと・・・・という感じだった。
それ以来『宮鍵』にも行っていないし、外でおでん酒をやることもない。
家で、かーたんの手作りのおでんで一杯やるのが一番である。

おでん酒与党野党と喧し   素閑

おでん鍋囲む面々したり顔   素閑

おでん食ふ墨田のへりの小雪かな   素閑

久闊を述べおでん酒さっそくに   素閑

俸給の話となりしおでん酒   素閑

小身の市井の人なりおでんかな   素閑

此処かつて田中英光食ふおでん   素閑


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紅葉散る

2017-12-04 01:53:50 | 俳句

先週の土曜日、かーたんの母校の『クリスマス賛美礼拝』の帰りに、三茶の『きゃんどる』に寄って、晩御飯をを食べてきた。
とにかく美味しいです、このお店。とにかく安いです、このお店。
夕刻、自由が丘から三茶にバスで着いて、すずらん通りの店のドアを開けると、ほぼ満席。
入れるかな?と思ったけれど、一階のテーブルに案内してもらってさて一安心。
まずはビール。
田舎風パテ、サワーキャベツとソーセージ、仔牛のミラノ風カツレツ、牛肉の頬肉赤ワイン煮。それにパン。日本産の栗を使った特製モンブランが二つ。珈琲。それにグラスワインが二杯。これで9800円!
超お勧めです。このお店!
食事が終わって、マスターが頼まないグラスを一杯、持ってくる。サービスのグラッパかなと思ったら、これがなんとアルコール度数50度の日本酒。大変貴重な品だった。
お腹も心も満足で家路についた。

散る紅葉前奏曲に舞ひにけり   素閑

奥山や紅葉散る沢人もなし   素閑

婚礼に招かれ裾に紅葉散る   素閑

こわ飯を蒸せる匂いや紅葉散る   素閑

饅頭を並べた先に紅葉散る   素閑


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待降節

2017-12-03 01:54:30 | 俳句

えーっと!
一応、今日は待降節である。
すなわちアドヴァント第一主日。
待降節(アドヴァント)というのは12月25日のクリスマス前の第四週前の日曜日から始まる。
要は、クリスマスの救世主の誕生を待ち望む期間ということである。
一応、と言ったのは、クリスチャンなら嬉しくて嬉しくてたまらないはずのこの季節だが、オカブにとっては気の重いことがいくつかあって、素直に喜ぶことができないのである。
まあ、しかしそんなことを言っていても始まらない。
アドヴェントクランツの蠟燭の灯が増えていくように、喜びもまた増えていくように願おう。
下は、シュトーレンというドイツのクリスマスシーズンの菓子。
姿が、イエス・キリストが産着にくるまっているのと似ているので貴ばれる。

待降節出前の階段駆け上がり   素閑

人混みに待降節の烏賊するめ   素閑

ガード下待降節のうめ焼酎   素閑

ミサンガを待降節に売るおんな   素閑

街行けば待降節に飢ゑしひと   素閑





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