この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

夜市。

2007-01-10 23:42:14 | 読書
 恒川光太郎著、『夜市』、読了。

 日本ホラー小説大賞受賞作。
 全選考委員激賞!!くわえてレビューを読む限り、およそこの作品の悪口をいっている人はいません。
 なので、自分もそれなりに期待して読んだんですけど、、、感想、どこまでもフツー。
 悪い出来とは思わないけど、心が震えるほど、涙が止まらないほど感動するってこともなかったなぁ。
 文章そのものも下手ではないけれど、如何せん、超絶技巧の持ち主である京極夏彦の小説を読み終えたばかりだったので、どうしたってそれに比べると霞んでしまいました。
 異界に飲み込まれた主人公たちが異界独自のルールに苦しみながらも脱出を図る、その際そのうちの一人が異界に取り残される、というプロットもよくあるような気がします。
 読んで損をしたとは思わないけれど、これを読まないと損をするよ!と人に薦める気にはなれません。

 ついでに選評にも一言言わせてもらうと、自分は『夜市』を読んでも頭の中に絵は浮かばなかったし、また涙腺を刺激されることもなかったし、エンディングを奇跡とも思わなかったし、完成度に舌を巻く、ということもなかったです。
 どちらかというと、ホラー小説大賞で落選し、選者からけちょんけちょんに貶された、『バトル・ロワイアル』の方がよほど心に響いたし、イメージが喚起されたし、読んでいて泣けもしました。
 どうもホラー小説大賞とは相性が悪いみたいなので、今後この賞の受賞作を読むのはやめようと思います。
 結局のところホラー小説大賞って作品の出来よりむしろ、選者三人が気に入るかどうかが重要なのではないでしょうか。
コメント (10)
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