この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

独白するユニバーサル横メルカトル。

2007-01-11 23:36:16 | 読書
 平山夢明著、『独白するユニバーサル横メルカトル』、読了。

 このミステリーがスゴイ!2007年版、国内編第一位。

 確かにスゴイです。笑。
 『夜市』を読んでいてもちっともホラー小説を読んでいるって気にはならなかったんですけど、こっちは読んでる最中背中がゾクゾクしましたし、喉の奥を締め付けられるような息苦しさを覚えました。
 だからといって読むのをやめようという気にはならず、貪るように読んでしまいました。
 こんなことをいうと危ないヤツと思われるかもしれないけど(まぁ元から思われてるからいっか。笑。)、魂を揺さぶられるような作品も中にはありました。
 既存のモラルを根っこから吹き飛ばすようなパワーを持っているので、到底万人には薦められるものではありませんが、その手のお話が好きな人には至高の作品集といえるのではないでしょうか。

 以下、各作品へのごく短い感想など。

《ニコチンと少年/乞食と老婆》
 副題の“乞食と老婆”ってのがよくわからないんですけど、、、何かの比喩なんですかね?誰か意味を教えてください。
《オメガの聖餐》
 世にもグロテスクな異形の怪物が、実は誰よりも人間らしさをその身に備えていたっていうのにはちょっとジーンと来てしまいました。
《無垢の祈り》
 少女に唯一救いの手を差し伸べたのが連続殺人鬼だったという結末はうるっときてしまった。彼女には幸せになって欲しい。
《オペラントの肖像》
 一言で言うと『リベリオン』。嫌いではないけど、この作品集の中では一番つまらないと思う。
《卵男》
 《オベラントの肖像》の次につまらない。SF的アイディアを上手く生かしきってない感じ。
《すまじき熱帯》
 「すまじき」って初めて聞く言葉だった。広辞苑にも載ってなかったけど、作者の造語だろうか。現地人の言葉が一々笑えた。
《独白するユニバーサル横メルカトル》
 地図帖の一人語りという発想はすごいが、あれほどの知能を持つ“私”が人の死についてまったく理解していなかったというオチは説得力に欠けると思う。
《怪物のような顔の女と溶けた時計のような頭の男》
 この作品集の中で一番陰惨でむごたらしく、同時に一番切なくて愛に充ちている。こういう愛はゴメンだけど。笑。

 繰り返しますが、到底万人に薦められる作品集ではありません。ホラーに免疫のない人は読んじゃダメです。ご注意を。
コメント (9)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする