この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

ハッピーフライト。

2008-11-15 23:19:55 | 新作映画
 矢口史靖監督、綾瀬はるか主演(?)、『ハッピーフライト』、11/15、Tジョイ久留米にて鑑賞。2008年49本目。

 序盤から中盤にかけて、矢口史靖監督の演出の上手さには甚く感心しました。 
 ジャンボジェット機内のスタッフ、管制塔の面々、ターミナルで働く人々、整備場のクルー、主な登場人物だけで軽く二十名は越すでしょう、その登場人物のすべてにきちんと性格付けが為されていて、さらに一人一人に何らかの見せ場が与えられているのですから、ひたすら見事だ、というしかありません。
 伏線の張り方もさりげなく、それでいて時が来ればきちんと回収され、展開は流れるように澱みなく、最後は(いい意味で)お約束的なハッピーエンディング。
 本作はコメディとして、非常に完成度の高い作品だと思いました。

 完成度の高い、といいましたが、完璧ではないんですよね。
 本作は一つだけ、欠点があります。
 それを欠点というには些か酷かもしれません。何しろそれは本作の長所の裏返しでもあるからです。
 本作の欠点、それは主役の綾瀬はるかが途中からまったく目立たなくなることです。『エグゼクティブ・デシジョン』のスティーブン・セガールの如く途中退場してしまったかのような錯覚すら覚えます(セガールと違って綾瀬はるかは本当にいなくなってしまうわけではないけれど)。
 まぁそれも前述の通りすべての登場人物に見せ場を与えようとしたら、その分主役が割りを食うのは致し方ないことですし、第一物語は後半ジャンボジェット機が無事空港に着陸出来るかどうかに主眼が移るので、一キャビン・アテンダントが活躍する場がなくても当然なんですけどね。
 でもやはり主役の最大の見せ場がケーキ作りというのでは、何だかなぁって気がしてしまいます。
 本作に不満を覚える人がいるとしたら、それは主役の不在によるのではないでしょうか。

 とはいえ、コメディとして非常に出来のよいことも事実ですので、本作は誰もが楽しめるエンターティメント映画であるのは間違いありません。
 また個人的には本作の監督であり、脚本家である矢口史靖の、ヒコーキへの熱意には驚かされるものがありました。本作を観ていると矢口史靖が本当にヒコーキが好きなんだってことが伝わってきましたしね。
 でも一番驚くべきは一歩間違えれば飛行機が墜落していたかもしれないというような映画の製作に全面協力したANAの太っ腹さなのかもしれないですけどね。笑。

 お気に入り度は★★★☆、お薦め度は★★★☆(★は五つで満点、☆は★の半分)といったところです。
コメント (4)
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