この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

観る前の予想を裏切る内容だった『ノア 約束の舟』。

2014-06-15 22:49:37 | 新作映画
 ダーレン・アロノフスキー監督、ラッセル・クロウ主演、『ノア 約束の舟』、6/15、イオンシネマ筑紫野にてポイントカードで鑑賞。2014年24本目。


 自分はまったくの無神論者です。古今東西、あらゆる宗教を信じていません。
 当然新約、旧約、どちらも聖書は未読です。世の中には無神論者であることを貫くためにあえて聖書を読むという人もいるかもしれませんが、自分はそういうタイプではないのです。
 なので、ノアや箱舟伝説についても知ってることは常識的な範囲で、詳しいことはほとんど知りません。

 その常識的な範囲の中で、自分は箱舟伝説の主人公たるノアは善良な人物であり、その善良さゆえに新世界を導く指導者として神に選ばれたのだと思ってました。
 が、違うんですよ。
 前述の通り、聖書の中でどうなのかは知りませんが、この映画の中でのノアは自分が考えていたような人物じゃないんですよ。善良な人物どころか、キチガイとすら言ってよい人間でした。
 何しろ生まれたばかりの赤子をその手で切り殺そうとするんですからね。到底まともとは言い難い。

 本作における神は、野生の動物たちは新世界で新たなる営みを送らせることにするが、人間は(最終的にノアも含めて)すべて滅ぼそうとするのです。
 ノアが神に選ばれたのは善良であるからではなく、盲目的なまでに従順であるから。
 その発想はちょっとなかったですね。
 この映画の中で描かれるノアの人物像は意外性があって面白かったです。

 ただ、面白いと思えることはそれぐらいかなぁ。
 神が自らの正義を示すために、善良な人間たちが死んでいく様を見るのはやっぱり愉快ではいられないんですよね。
 
 それから、本作は大洪水や箱舟そのものが極めてリアルに描かれているのですが、そうはいっても限度があるんですよ。
 箱舟は地球上のありとあらゆる動物をつがいで乗せているわけですが、それにしては箱舟が小さいな、とか、そもそも鳥はともかく動物たちは地面を這いずってきたのだけれど、よく大洪水に間に合ったな、とか、いろいろあるんです。
 リアルだけど、リアルに徹しきれてないんですよね。
 まぁそれを言えば登場人物が全員英語を話しているんですけどね。笑。

 何が言いたいかというと、作りがすごく中途半端ってことですね。スペクタクル映画としては迫力不足。同じような映画であれば、ローランド・エメリッヒ監督の『2012』の方がまだマシだった、と思います(『2012』自体好きな映画でも何でもないんだけど)。

 あとタイトルが、ちょっと問題だと思いました。
 だって全然「約束」のお話しじゃないですからね。
 配給会社の人って本当に映画を見てタイトルを決めているんだろうか、って疑問に思います。
 まぁそう思うのは何も本作が初めてってわけではないんですが。


 お気に入り度は★★、お薦め度は★★(★は五つで満点、☆は★の半分)です。

 
 
 
コメント
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