この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

登場人物の軽妙なやり取りが面白かった『陽気なギャングは三つ数えろ』。

2015-10-16 21:37:15 | 読書
 伊坂幸太郎著、『陽気なギャングは三つ数えろ』読了。


 『陽気なギャング』シリーズ、9年ぶりの新作『陽気なギャングは3つ数えろ』を読み終えました。
 登場人物たちの軽妙なやりとりが面白かったです。
 例えばこんな感じ。
 響野「ほら見ろ、私の言ったとおりだ」
 久遠「え、響野さん、何か言ったっけ?」
 響野「いや、私のことだから何か言ったに違いない」
 といった具合に。
 よくこんな軽妙なやり取りを思いつくものだと感心するような会話が本文のそこかしこで見られ、そのたびに自分は読みながらニンマリとしていました。
 こんなにニンマリとした読書体験ってちょっとなかったかもしれません。

 と書くと自分は本作を絶賛しているようですが、会話以外のところに目を向けると、正直いろいろ感心しない部分も結構ありました。

 例えば、最終章において陽気なギャングたち4人は火尻という悪徳記者を罠にハメるのですが、その計画が何だかずいぶん杜撰なもののように思えました。
 まず4人は害虫駆除業者を装ってあるマンションでクモの駆除をするふりをします。
 でも、そのマンションの住人はクモの駆除があるにもかかわらず、飼育している愛玩動物を他の場所に移そうとしないんです。
 害虫の駆除があるなら、当然殺虫剤がまかれるのは予想出来ることなので、飼育している動物を他に移さないなんてことは考えられないんだけどなぁ。可愛がっているならなおさら。
 
 そんな感じで、読んでいくと、他にも「うん?」って首をひねるような箇所があって、軽妙なやり取り自体は手放しで褒めてよいけれど、作品全体の出来としてはもう一つという何だか微妙な評価になってしまいました。

 作品の評価とは直接の関係はないのですが、作中で『キャンディマン』という映画のことに触れられていて、ちょっと嬉しかったです。
 ちなみに『キャンディマン』はその可愛いタイトルとは相違して、自分が恐ろしいホラー映画を10本挙げろと言われたら、確実にその中に入る一本です。
 その『キャンディマン』、いろいろと怖いシーンがあるのですが、何が一番怖いかと言って、キャンディマンに扮する役者さんの口からわらわらとミツバチが出てくるシーンがあるのです。
 今だったらそういったシーンは全部CGでやっちゃうんでしょうけれど、そういった技術がない当時は実際に役者さんがミツバチを口に含んで撮影したそうで、その話を聞いて、怖すぎるわ!と思いました。
 そういったエピソード抜きでも怖い映画ではあるんですけどね。

 最後、本筋とはまったく関係ない話になっちゃいましたね。
 ま、そういうこともあります。
 むしろそういうことばかりだったりして。笑。
 
コメント (2)
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