この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

日本人の読解力の低下が深刻。

2021-10-13 22:27:27 | 戯言
 日本人の読解力の低下が深刻なのだそうです(こちら)。
 件の記事から例題をそのまま引用しますね。

 Aの身長は150cm
 Bの身長は155cm
 Cの身長は160cm
 Dの身長は165cm
 Eの身長は170cm
 この5人の中で、Cの次に背が高い人は?

 という問題で、Bと答えた人が41.6%であるのに対してDと答えた人が46%だったそうです(正解はB)。
 この結果をもって日本人の読解力が低下していると筆者は主張したいようですが、この例題って読解力がどうこうというより。日本語って難しいね、という類いの問題であって、この一事で日本人の読解力が低下しているとは言えないと思います。

 ただし、それとは別に自分は日本人の読解力が確かに低下している、と思っています。
 口では相手のことを『嫌い』と言っているけど本当は好き、みたいな描写が、今は通じないのだそうです(こちら)。
 言葉を額面通りに受け取る人が増えているということは以前から感じていました。
 「私は無実だ!」と叫んでいる人が無実だとは限らないし、「妻とは別れる。一緒に暮らそう」といった男が本気で妻と別れようと思っているのかどうかはわかりません。
 それが当たり前だと思うのですが、言葉を額面通りに受け取る人は案外多いのです。

 同様に言葉の意味を深く考えない人もまた多い気がします。
 『マーターズ』というホラー映画がよく難解だ、といわれるのですが、自分はそうは思っていません。
 物語の終盤、死後の世界の存在を探る組織の首領であるマドモアゼルが拳銃自殺するのですが、その理由がわからないという人を多く見かけます。
 彼女は死ぬ直前、従者に向かって「疑いなさい」という言葉を発しています。
 「疑いなさい」と言ったということは彼女自身が疑っていることに他なりません。
 自分自身が疑ってないのに、他人に対して「疑え」というのはおかしいからです。
 では彼女は何を疑っていたのか?
 この場合文脈から「死後の世界(の存在)」であることがわかります。
 それ以外の目的語はちょっと考えられません。
 ではなぜ死後の世界の存在を探る組織の首領である彼女がそれを疑うようになったかというと、、、といった具合に与えられたヒントを一つ一つ丁寧に拾って考察していけば、『マーターズ』がどのような物語なのか、掴むのはそれほど難しくはない、と思うのです。
 ただ、『マーターズ』の場合、残酷描写がきつすぎるので、そのことが冷静な思考の妨げになっているのかもしれないですけどね。笑。

 読解力というのは文字通り「読み解く力」のことです。
 本質を見抜く力と言い換えてもよいでしょう。
 それは一朝一夕で身に付くものではありません。
 そのためにはより多くの物語に接する必要があります。
 それもただ表面的に物語を追うだけでなく、登場人物一人一人の心情に留意して物語を読んでいく、そうして初めて読み解く力は養えるのではないでしょうか。
 かくいう自分にそれが身に付いているかどうかは定かではありませんが。笑。
コメント
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