この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

『ガタカ』で検索して来られた方に最初にお願いしたいこと。

2025-01-03 22:11:43 | 旧作映画
 自分はボンクラなので、普段映画を観てもその映画が何を訴えたいのか、どういう映画なのか、わからないことも多いです。
 ブログのレビュー記事にはわからない時は「わからない」とはっきり書きます。
 わからないのにわかった振りをしても仕方ないですからね。

 一方で稀に「わかる」映画もあります。
 例えばホラー映画の『マーターズ』がそうですね。
 一般的には延々と拷問が続く陰鬱なホラー映画と評されていますが、自分には寄る辺ない二人の女性の孤独な魂の邂逅を描いた感動作なのです。
 考察記事はそれなりの支持を得ています(こちら)。

 ただ、「わかる」映画の考察記事が常に支持されているわけではありません。
 その筆頭がSF映画の『ガタカ』です。
 自分が書いた『ガタカ』の考察記事を積極的に支持してくれた人は皆無です。
 支持してくれた人がいないぐらいならいい方で、考えの違いから最終的に喧嘩別れになることもあります(だいたい自分が一方的に罵られる)。
 どうして映画の解釈が違うぐらいで相手のことを罵れるのか、自分にはよくわからないです。
 あぁ、この人は自分とは考えが違うのだな、と思えないのでしょうか。

 なぜ『ガタカ』の解釈が異なるのか、理由はいくつかありますが、その一つに主人公ヴィンセントの弟であるアントンの人物像の捉え方が違うということが挙げられます。
 ここに来る人の多くがアントンはヴィンセントが乗り越えなければいけない大きな壁のような存在と捉えている節があります。
 自分の考えは違って、アントンはヴィンセントのよき理解者、ヴィンセントが宇宙飛行士になるという夢を叶えるために欠かせない人物だと思っています。

 『ガタカ』で検索してこられた方に最初なお願いしたいのは、もしあなたに生まれつき心臓に重い障害がある兄がいたとして、その兄から夜の海での遠泳勝負を挑まれたら、あなたはどうしますか?ということです。
 そんな勝負、受けたくないです。
 だって勝負の最中に兄が心臓発作を起こして、自分の目の前でブクブクと海に沈んでいくかもしれないんですよ?
 そんな姿、見たくないですよね。
 兄であるとか、家族であるとかといったことは関係なく、心臓に重い障害がある人間と遠泳勝負なんて、誰でもしたくないはずだ、自分はそう考えます。

 心臓に重い障害がある人間と遠泳勝負をしたくないというのはお前の勝手な決めつけだ、という方もいるかもしれませんね。
 もしそういう声が一定数あれば、自分は自分の考えの誤りを認めましょう。
 ただし、そういう声をあげた人たちのことを自分は「人でなし」と呼ばせてもらいます。
 だって、目の前で一人の人間が溺れ死んでも構わないというのですから、「人でなし」でなくて何なのですか?
 ともかく自分はアントンは「人でなし」でなかったと思うので、彼は兄との遠泳勝負をしたくなかったのだと考えます。

 しかし実際にはアントンは勝負を受けてますよね。
 なぜアントンは勝負を受けたのでしょう?
 勝負をしたくなかったのであれば、したくないと断ればいいだけのことじゃないですか。
 もし勝負を挑んできたのが縁もゆかりもない人間であれば、アントンも「心臓がいつ止まるかわからない相手と遠泳勝負はしたくない」とストレートに断ったことでしょう。
 そうすることで相手がどれほど傷ついたとしても、です。
 思うに、アントンはヴィンセントのことを不用意に傷つけたくなかったんですよ。
 先ほど、兄であるとか、家族であるとかといったことは関係なく、心臓に重い障害のある人間とは誰だって遠泳勝負はしたくないはずだ、と述べました。
 今度は、兄だから、家族であるから、アントンはヴィンセントのことを傷つけたくなかったのです。
 それ以外にアントンが勝負を受けた理由を自分は見つけられません。

 もしアントンがヴィンセントのことを傷つけたくなかったのであれば、彼は兄ヴィンセントのことを愛していた、そうなります。
 アントンがヴィンセントのことを愛していたという視点に立って物語を眺めれば、また別の『ガタカ』が浮かび上がるのではないか、自分はそう思うのです。
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2024年劇場鑑賞映画ベストテン!

2025-01-03 00:01:30 | 新作映画
 2024年に観た62本の劇場鑑賞映画の中から特に面白かった10本をランキング形式で紹介します。
 ちなみに面白くなかったワースト5については去年の12月の初めに発表しています(こちら)。

第1位『ゴールデンカムイ』
 2024年に観た映画の中で圧倒的に面白かったの乃がこの『ゴールデンカムイ』ですね。
 続きがネット配信のドラマだったのはいささか残念ですが、ドラマの続きは映画で、というよりマシかな。
 劇場映画もパート2が作られるそうなので、今から公開が楽しみです。

第2位『侍タイムスリッパ―』
 映画は何はともかく脚本が大切なんだということを知らしめた一作だと思います。
 なぜクライマックスで二人が真剣で戦わないといけないかはよくわからなかったのですが。笑。

第3位『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』
 映画は何はともかくアクションが大切だということを知らしめた一作だと思います(言ってることちゃうやん)。
 ドラマも含め、『ベイビーわるきゅーれ』、最高でした。

第4位『レッド・ワン』
 クリスマスを舞台にした映画がなぜクリスマスの時期に公開されないか長い間個人的に謎だったんですけど、この映画に関しては答えがありました。
 配信の時期をクリスマスに合わせたかったのですね。
 なるほど、と思いましたよ。
 ともあれ、映画はとても面白く、自分好みでした。

第5位『サユリ』
 怨霊にカウンターパンチを喰らわせるという確かに言われてみればこれまでにないホラー映画でした。

第6位『BISHU 世界でいちばん優しい服』
 とてもよく出来た主人公の成長物語であり、感動作だと思うのですが、ラストがいただけなかったです。

第7位『バーン・クルア 凶愛の家』
 とてもよく出来たホラー映画だと思いました。
 特にラストが秀逸!

第8位『劇場版 おいしい給食 Road to イカメシ』
 通常ドラマの続きは映画で!というスタンスはムカつくのですが、この『おいしい給食』に限っては素直に観に行っちゃいますね。
 更なる続編が作られるのを希望します。

第9位『JAWAN ジャワーン』
 唄あり、踊りあり、アクションあり、恋愛あり、これぞインド映画!といった映画でした。
 観終わってお腹一杯になりました。

第10位『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』
 これもなかなか面白かったですが、細かいところがいくつか気になりました。
 偽札を偽造するのって相当な罪のはずですが、そこら辺はどうなっているんだろう?

 2024年は全体的に邦画が豊作だった1年でしたが、決して洋画が衰退しているというわけでなく、ある程度公開時期のタイミングの問題だという気がします。
 2025年は『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』や『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』、それに『パディントン3』が公開されますからね。
 今から公開が楽しみです。
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