この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

とても面白く読めた『六人の嘘つきな大学生』。

2023-05-19 21:54:16 | 読書
 ゴールデンウイークの旅行に際し、特別なものを何か用意したということはないのですが、唯一例外的に旅先で手持ち無沙汰になったら行かんなと思い(ハードな旅でしたが、実際手持ち無沙汰になった時があった)、以前から気になっていた『六人の嘘つきな大学生』をブックオフで買いました。
 とても面白く読めました。
 買って大正解でしたね。

 新興のIT企業の最終面接に残った六人の大学生たち。
 最終面接は当初聞かされていたものではなく、六人のうち誰が合格者に相応しいかを選ぶグループディスカッションだった。
 紛糾する最終面接だったが、六人を告発する文書が見つかり、事態は意外な展開を見せる。
 果たして告発者は誰なのか、そして合格者は誰になるのか。
 
 いやはや騙されましたね。
 何に騙されたかを言うとネタバレになるので言いませんが、何度も、そして気持ちよく騙されました。
 著者の浅倉秋成は図書館で借りた『失恋覚悟のラウンドアバウト』も悪くないなと思ったのですが、『六人の嘘つき大学生』ははっきりとよいと思いました。
 久しぶりに贔屓にしてもよいと思える作家と出会えたかな。
 次は『俺ではない炎上』を読んでみるつもりです。

 ネタバレ厳禁な作品だと思うので、あまり詳しいことは書きませんが、一つだけ、第一部の主人公である波多野祥吾が残した文書について。
 この文書は波多野祥吾の誠実さの表れだと思います。
 本当に告発するつもりで記したのであれば、送付を断念した時点で処分するのが妥当だから。
 残したとしても彼に利益はまったくないからね。
 敢えて残したのは、文書の発見者に自分の腹黒さを見せつけることで相手の精神的負担を減らしたのだと思うな。
 と、解釈したけどどうかな。

 どうでもいいことだけど、自分は旅行のためにこの作品のソフトカバーを買ったのだけれど、あと一ヶ月待つことが出来ていたら、文庫本が発売されていたみたい。
 いや、待てなかったんだけど、世の中そんなものだとは思いました。
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