団塊の世代の世間話

60年を生きてきた思いを綴った「ゼロマイナス1 団塊の世代の世間話」を上梓し、その延長でブログを発信。

「従軍慰安婦」写真展について

2012-06-27 08:59:23 | Weblog
 新宿ニコンサロンでいったんは中止に決まった「慰安婦」の写真展が実施されることになった。
 すでに朝日新聞などが報じていることだが、この経緯は、この時期に従軍慰安婦などの反日的な写真展をどうして開くのか、という右からの抗議があったために、運営のニコン側がトラブルを恐れて中止を決定した。
 これに作者の韓国人写真家の安世鴻さんが表現の自由を侵す、として抗議。東京地裁に写真展開催の仮処分を申請。これを受けて、地裁がこれまでのニコンサロンの運営などから判断して、開催すべし、と命令を下した、というわけだ。
 この問題について、いろいろと考えさせられる。ひとつはどうしてニコンサロンが、米国でも韓国でも盛り上がっている従軍慰安婦の写真展の開催をこの微妙な時期に決定したのか、というチェック機能の問題だ。
 まず右翼が動くことは予想されるし、それによって写真展の運営が阻害される可能性は高い。そんなことがどうしてチェックできなかったのか。写真展開催にニコン側が関与していたのか。あるいは外部の運営委員の強硬な開催要請があったのかどうか、というのが、これから調べられるだろう。
 もうひとつは、メーカー系ギャラリーに表現の自由が担保されるのかどうか、という問題だ。これが公的機関が運営しているギャラリーなら理解できる。しかしメーカー系は、写真文化の向上のため、という大義名分はあるが、あくまでメーカーの都合でやっていることで、そこにメーカーの利害を超えてまで表現の自由を守る必要性が生じるのかどうか。
 地裁は、メーカー系ギャラリーであっても、公的な使命を負っている、と判断したのだろうが、裁判官によっていくらでも変わる判例になるだろう。
 もともとトラブルを恐れるなら、作者もメーカー系ギャラリーでなく、フリーなプライベート系ギャラリーで開けば良かったのではないか。ニコンサロンにこだわる理由はないが、やはりステータスの高いギャラリーで注目を浴びたかったという気持ちはあったろうか。
 ネット上ではニコンが韓国ユーザーの歓心を買うために開催した、という意見があったが、ニコンは韓国で高いシェアを保持しており、ここで開催しなくても売れ続けていくだろう。買い控えといった過激な意見もあったが、そこまで熱くなることはないのではないか。
 とにかく政治色が強すぎる慰安婦問題だ。これに利権が絡んで、まだ戦前の日本を貶める勢力がいる。そうした勢力に利用されないことがメーカー系ギャラリーの基本的な姿勢であろう。
  
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