まず、洋服。いつも僕が着ているものよりゼロが一つも二つも多いブランド品の黒地のスーツを着させられた。シャツは上品な赤。まるでホストのようだ。全然似合わない。
次におしゃれな美容院。生まれて初めて髪を染めた。しかも派手な金色。不規則に立たせた髪は触ると痛いぐらいとがっている。まるでヤンキーだ。全然似合わない。
アサコさんも髪を切ることを美容師さんにすすめられていたけど、「髪の長さだけは絶対に変えたくない」といって、僕がセットされるのをじっとみていただけだった。ショートも似合いそうなのに。
最後にメガネ屋。使い捨てソフトコンタクトレンズを入れた。思ったより痛くない。
「さて出来あがり。どうよ?」
「どうよって……。げ」
店内の全身鏡の前に立たされて―思わずのけぞった。
「誰だこれ」
まるで別人だ。鏡に映っているのはあの冴えない正平ではなく、六本木のクラブにいるお兄ちゃんのようだ。(クラブには行ったことがないのであくまでもイメージの話だ)
それにコンタクトの視界の広さにも驚いた。今までは左右をみると必ず目に入った黒いフチもないし、顔を正面に向けたまま真横のものもきちんと見える。世界が明るい。
「こうやってあたしと立ってるとまるで恋人どうしみたいよね。じゃ、いこっか?」
腕をからめられドキマギする。女の人と腕を組むなんて初めてだ。赤くなった僕に気づいてか、アサコさんはひやかし気味に猫のような目をつりあげた。
次におしゃれな美容院。生まれて初めて髪を染めた。しかも派手な金色。不規則に立たせた髪は触ると痛いぐらいとがっている。まるでヤンキーだ。全然似合わない。
アサコさんも髪を切ることを美容師さんにすすめられていたけど、「髪の長さだけは絶対に変えたくない」といって、僕がセットされるのをじっとみていただけだった。ショートも似合いそうなのに。
最後にメガネ屋。使い捨てソフトコンタクトレンズを入れた。思ったより痛くない。
「さて出来あがり。どうよ?」
「どうよって……。げ」
店内の全身鏡の前に立たされて―思わずのけぞった。
「誰だこれ」
まるで別人だ。鏡に映っているのはあの冴えない正平ではなく、六本木のクラブにいるお兄ちゃんのようだ。(クラブには行ったことがないのであくまでもイメージの話だ)
それにコンタクトの視界の広さにも驚いた。今までは左右をみると必ず目に入った黒いフチもないし、顔を正面に向けたまま真横のものもきちんと見える。世界が明るい。
「こうやってあたしと立ってるとまるで恋人どうしみたいよね。じゃ、いこっか?」
腕をからめられドキマギする。女の人と腕を組むなんて初めてだ。赤くなった僕に気づいてか、アサコさんはひやかし気味に猫のような目をつりあげた。